素堂消息 元禄12年(己卯)1699(58歳)

〔『海道東行』序文。貞因編。〕

〔『芭蕉庵六物』〕

 

◇素堂、『海道東行』序文。貞因編。(未見)                                                           

(二月下旬、難波の夕陽軒良因東下の紀行『海道東行』に素堂序す)

◆江戸大火事.

◇素堂、『伊達衣』発句一入集。等躬編。

わが蔓ををのが手引の西瓜哉        素堂

◇素堂、『面々硯』入集。調和編。

◇素堂、『泊船集』発句一入集。風国編。

御手洗や半バ流るゝ年わすれ        素堂

◇素堂、『蓑笠』発句一入集。舎羅編。

はりまのくにゝ旅立れける人をおしミて

立ちされよ今は都に帰る厂          素堂

◇素堂、『皮籠摺』発句一入集。涼莵編。

露ながく釜に落来る筧かな          素堂

 

◇素堂、『芭蕉庵六物』

芭蕉が愛用した二見の文台・大瓢・小瓢・檜笠・菊の繪・茶羽織の六物を石川丈山の「詩仙堂六物」に擬して素堂が命名したもの。

〔芭蕉庵六物〕

石川丈山の六物になぞらへて

其一

 文台 号二見 武陽隠士曾良に在

西行法師、二見の浦にてくぼかなる石をひろいて硯となし、

扇を敷きて文台とし玉ふにより、

はせを庵の文台の扇を絵がきて、是をふた見とよぶ。

時、鏡台になしとはいえども、台あらでは文の屋とす所なく、

浮世に伝ふることもかたかるべし。

玉の床より賎がふせ家に至まで、台それぞれになきことあたはず。

されば此台にもいくばくの風月をのせきたるや、其おもき事はかりがたし。

銘曰 

四友之外 

窓前並面 

写西行風       

開芭蕉翁

筆海作航 

文山為桟 

不欠不崩       

寿応月硯

(其二〜其六は別掲)