学校災害から子供を守る全国連絡会総会で訴え
12月16日・東京
 12月16日東京麹町の全国教育文化会館で行われた学校災害から子どもを守る全国連絡会の第28回総会に原告の内藤夫妻と押尾代表が出席し、大日岳裁判の現況報告をしてきました。
総会での訴えは、今回で4回目で、大日岳裁判のことはとく知られており「その後どうなっていますか」「頑張ってください」との声援がありました。
 第一部の三番目の発言者として原告の内藤悟さんが「大日岳雪庇崩落事故と文科省の責任」について、一審で勝利し、控訴審が始まっていることを中心に報告(発言内容下記)。
 会場入り口に設置していただいた署名コーナーにはたくさんの協力がありました。

 署名用紙の持ち帰りや詳しい資料の請求もあり、支援のひろがりが感じられます。



             総会で発言した原告の内藤悟さんの発言内容

 私、大日岳遭難訴訟原告の内藤です。本日は第28回全国学災連総会記念シンポジュウムの場に遺族を代表して参加させて頂き誠にありがとうございます。
登山の事故は、2000年3月に発生しました。早いもので息子が当時の文部省の登山研修中に北アルプス大日岳で死亡してから6年と9ヶ月、富山地裁に提訴してから4年と9ヶ月が経過しました。そして、今年の4月26日に私達の主張が全面的に認められ、国家賠償法という大変な裁判で勝訴することが出来ました。私達がこの裁判で勝つことが出来ましたのも、皆様方からいただいた多くの署名と暖かいご支援が逢ったからでございます。
この事故は、当時の文部省が企画・主催し、各大学の学長推薦を受けて学校教育の一環として行われた冬山での安全を学ぶための研修登山中に発生したのです。
 北アルプス大日岳頂上付近で講師の指示に従い27名が休憩中、その地点が雪庇上だったために崩壊し、11名が転落、そのうち2名の学生、溝上国秀さん(当時神戸大学2年生)と、私の息子、内藤三恭司(当時東京都立大学2年生)が雪崩に巻き込まれ死亡した事故です。     
つまり、私達息子達には何の落ち度も無かったのです。

 ところが事故からすぐ文部科学省は、自らの人選で事故調査委員会を立ち上げ、非公開で審議を行い、委員会の第二分科会座長には、文部科学省登山研修所友の会の会長をすえ、つまり身内の人間を座長として、事故調査報告書を作成しました。そしてこの報告書は全文78頁中、1頁にも満たない僅か17行しか事故の原因・追求に触れて無く、結論は前例のない巨大な雪庇は「予見不可能すなわち不可抗力」でした。
 そして、この事故調査報告書を尊重して、「講師らの判断に過失はなく、そのため国にも責任無し」という最終結論を私達遺族に伝えました。
この研修登山は、個人で登った一般登山ではないのです。

冬山登山での「安全を学ぶ」ために、冬山での危険箇所を予見して、その結果、事故を未然に防止するための研修です。冬山での危険箇所を予見するための研修で、巨大な雪庇だから危険箇所を予見出来なかった。そして、あげくのはてに予見不可能、不可抗力として、誰も責任を取らない。これでは、また同じ事故が繰り返され、事故の再発防止につながらない。
 事故の真相究明をする事によってはじめて事故の再発防止につながるのであり、このままでは息子たちが死をもって教えてくれたことが無駄になってしまう。大日岳の事故を教訓として二度と同じ悲劇を繰り返さないために、何故、研修で事故が発生したのか。息子を失った原因は何だったのか。 事故の真実を明らかにし、事故の再発防止を強く願い、私達は富山地裁に提訴しました。
そして、富山地裁に提訴してから4年が経過した今年の4月26日に、私達の主張が全面的に認められ勝訴することが出来ました。

 今回の判決では、この登山事故は「予見不可能」な自然現象が原因ではなく、人為的ミスだと認めた上で、講師は国内では一流の登山家だが、大日岳山頂付近の風下側に出来た40mの雪庇を10mと見誤ったことにより事故が起きたと認定しました。そして、山の事故は自己責任が原則だが、研修では研修生は講師の判断に従わざるを得ず、主催者側は通常の登山以上の安全策が求められるとしました。
 このように、私達の主張が全面的に認められ、国家賠償法という大変な裁判で勝訴することが出来ましたのも、皆様方から頂きました19万筆の署名と暖かいご支援が逢ったからだと思っています。しかし、国は判決を不服として控訴したので、名古屋高等裁判所金沢支部でまた新たな裁判を行うことになりました。
高裁では進行協議が1回行われ、3日後の12月19日に2回目の進行協議が行われた後、今後の裁判の方向性が決まると聞いています。
 私達は控訴されてから、国と裁判所に対して新たに署名活動を行っています。国に対しては、即日控訴を取り下げ判決を受け入れ、過ちを認め謝罪すること。また、裁判所には公平な判決を求める趣旨の署名活動を行い、現在、9万筆、累計28万筆を頂き、当初目標であった30万筆にもう少しで達成するところです。
高裁での裁判は短期間で終了すると聞いています。
全国学災連の皆様方には本日配布させて頂きました資料の中に、控訴審に向けた新たな署名用紙が入っていますので、署名して頂きますようよろしくお願いいたします。