船窓夜話―第13話―瀬戸内海 IV
2002/10/27 10:41
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投稿者: メッセージを送信 you_beaut

再び8時に始まる午前当直時間。鏡のように静かな水面上を走ると小さな島が
あちこち散在していた。どこかで松木の松葉の香りが風に乗って来る。海上公園
と呼ばれてもおかしくないほど綺麗な海だ。船を下りてオーストラリアに来
ようと手続きをしていたとき、偶然に商戦学校の同期生に出会ったところ、
釜山ー大阪間の旅客船に乗るように決まったと喜んでた。

内海を鑑賞しながら釜山まで、もしくは大阪に行く乗客のため、新設した航路だ
そうだ。商船と旅客船は又、雰囲気や業務が異なってくる。旅客船には航海士が
制服を着て働くのが普通だが、機関室勤務の機関士が当直の終わった後、制服を
着て客室や船内巡視をするなんてそんな規定は無い。きっと女子乗客を誘うため
だろうな。たまに船酔いをする女性乗客を助けて乗客個室に入れた後、仲よく
なり、セックスを楽しむケースも珍しくないという。

遠洋船に乗ったとき、通信長がいうには自分とHをしたときは歓声を上げてた
女乗客が目的地に着いたら埠頭に迎えにきた夫をみて、泣きながら「アナタ!」と叫んだとか。女特有の心理か。

商船には乗客がいないのでそんな楽しみさえない。東経135度直下の明石市が
見え始めた。天文台のドーム式屋根が朝日で光っていた。そろそろ神戸入港を準備する時間だ。(つづき)

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