船窓夜話―第13話―瀬戸内海 IX
2002/11/ 9 14:42
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投稿者: メッセージを送信 ilkuji_99

実家のある釜山が遠くから夜景を現した。夜間入港のときはいつもレーダーを
つけて位置を確認しながら無線電話で釜山港湾統制所に入国を告げる。レーダー
上で釜山港湾と隣の海雲台海水浴場の海岸線があまり区別がつかない。そこで
船長初年のある人のエピソードが思い出す。釜山港に入ろうとしたが間違えて
海雲台海水浴場の海岸に座礁したけど夜なので知らずにエンジンを使っても
前へ進まない。

朝になってみたら船底が海水浴場の砂に摩擦され、海草など接着物が外れて
きれいになったとか。あの船長、ドッキング(船舶検査のための定期船体修理)
が要らなくなって会社から表彰をされたかは知らないけど。

海雲台は学校のとき、思い出がある海辺である。土曜日、外出して同期生と
一緒に頻繁に行った。理由はひとつ。女刈りには最適なところなんだ。海辺を
ひとりか二人散歩している女の子はまるで「アタシを誘ってよ」との様なもんだ。
気違いのように近づいて「お時間ありましたら紅茶でも」と誘ったら、まず
素敵な(?)制服の男なのでほとんど遠慮なしで付いてくる。

そしたら喫茶店に入って「お名前は?趣味は?」からはじめて連絡先を交換
したり気前のいい女なら当日Hもできる。制服に弱いのが女なのか。醜男の私も
制服のお陰でたまに肉報施をうけたのをここで告白する。

ある日は、といってももう夕方7時頃、暗くなったとき、二人で海辺をぶらぶら
歩いてたら、女の子が一人付いてきて、「あの・・・友達があなたにお話が
あるそうですが」と話かける。振り向いたらもう一人の女の子が電柱の後ろに
隠れていた。

通例の通り、喫茶店で紅茶を飲み、西面まで出た。 同期生と先話し掛けた
女の子は其々そのまま帰ったようだ。女の子は友達と二人で工場で働いてる
そうだ。寮の生活していてせっかく外出に出て、男刈りをしたようだが。金の
ない学生がホテル入れるわけはないし安い旅館にその子と投宿した。

1週間経ってから彼女から手紙が来た。「外宿した罪で何週間外出禁止された。
責任取りなさい」との内容だ。鉛筆で綴りも間違えた書き方だった。多分
田舎から金稼ぎに都市に出たケースであり、いわば産業戦士である。なんと
なくわるい気がした。一晩の快楽に将来をかける女なんて今はいないはずだが。

先ず外港に錨を降ろし、すぐ通船が来る。そしたら船長、機関長、1航海士
たちはさっそく上陸のため乗る。家庭があるから早く家族に会いにいくだろうが、
私など末端士官は停泊当直なのでそのまま本船で寝る。たまに埠頭が混んでて
次の日も接岸できないときは、また拘束される。

そこである日、同じ級数の機関士の誘いで二人で無線電話で通船を呼んで陸地に
逃げた。残った当番は甲板部見習と機関部見習だけ。船長や1航海士がわかったら
物凄く怒るはずだが仕方がない。会社が提供する定期通船なら無料だが個人的に
呼ぶからかなり高い。日本から持ってきた物を売っても通船代を払ったら残りは
ない。まるで通船代を払いに貿易(?)するような感じだ。(つづき)

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