
投稿者: ilkuji_99 日本の水島で古鉄を載せ、2週間ノン・ストップで走って到着したスエズ運河。
一旦入口で停泊しながら運河通過の手続と順番を待つことになった。運河の幅と
水深が限られていて一機に10台くらいの船が一列で通過したらば今度は反対
側からこちらへ来る船が同じ方式で通過するのだ。連日続けた航海で皆疲れた
気配だが、やがてこの運河の入口で順番を待ちながらやっと暇を持つようになった。
船内の娯楽だとしても音楽を聴いたり読書、もしくはフラーというカード
ゲームをやる程度だ。フラーとはセブンブリッジ・ゲームだけど韓国では海軍
下士官の昇進試験に出題されるほど海軍や商船で普く楽しんでいる。筆者も
運が良かったか同僚士官たちとのゲームではかなり勝つほうだった。掛け物は
主に免税で買ったタバコで、わざと買う必要のないほど勝ってた。あるときは
食事時間以外には連続三日間寝ずに継続したこともある。一度没入したら
時間の流れを知らないほど続けるのがこのゲームである。とにかく当時は体力が
良かっただろう。
たまにはブリッジ(運転室)にあがっていって停泊中の他船と無線電話(VHF)
で通話をしたりする。程よく韓国船員たちが乗船した船舶が本選の近所に
停泊中なのでその船の1等航海士と通話をしたところ、穀物を満載して運河に
着いたのに吃水(船体に当たる水面線)が運河の水深より深くてその状態では
通過不可との判定を受けたそうだ。貨物担当の1航士の手落ちだった。問題を
解決するにはbargeを呼んで、吃水が浅くなるまで貨物を汲み取るか、それとも
運河通過を諦めてアフリカ大陸を数千マイルにかけて回っていくしかない。
運河の土手道を従って道路と鉄路が平行で走るので船舶が運河を通過するとき、
陸路と海路上の交通手段が並んで走る面白い現状もみれる。4日経ってから
パイロットが乗船し、通過を始めた。各船舶にパイロット一名づつ乗って、
船舶間距離1KMを維持しながら運河に入った。ところで本船に上船した
エジプト人のパイロットはブリッジのVHFを取って他船のパイロットと話する
ことで無我夢中でちゃんと操船しているか不安だった。決まった針路をちょっと
だけ外れたら運河壁とぶつかってしまう。
中間まで入ると再び停泊させる。本来湖水数個所を人工水路で連結したので
湖水に入るといきなり水域が広がる。そこでパイロットが交替され、アレック
サンドリアを左にして運河を抜け出た。約10時間かかった長い水路だった。
そこから波が荒くなる地中海に入り、ジブロ・オルターを向かって全速力で
走りはじめた。
双眼鏡で観る絵のような都市アレックサンドリア。昔アレックサンドリア大王が
立てたとの由緒深い都市に入れなく惜しかった。先輩に聴いた話ではそこに
入港し、郵便局で10枚以上の手紙を送ってくれるようにカウンターに頼んで
から出たけど、もう一枚郵送したくて再び入ったところ、さきに任せた手紙に
付いている切手を同じ職員が全部はずしていたとか。切手がそんなに高いかは
知らないものの、根性のよくない所だったという。まあ一人をみて全部を評価
するのも正しくないはずだろう。
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