船窓夜話-第25話-トンキホ手テ-その2
2003/ 6/17 19:45
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投稿者: メッセージを送信 ilkuji_99

その以降、朴大統領の開発独裁に便乗し、船舶会社がだんだん増えてきて海運公社は古い船舶だけでは競争しきれなくなって廃船とか売船で船乗りの仕事先が減ってくるとこの二人を含めた多くの船員たちがK船舶会社のユニホォムに着替えることになった。

二人はK海運へ移った後、再び同じ船舶に乗船するようになった。2等航海士へ進級し、B号をはじめ、乗船経歴を積んだ後、1等航海士で発令を受け、待機中、釜山の中央洞にある会社に寄ったとき、当直をいっしょにしていた1等舵手に出会った。1舵手もストーキ(英語でstore keeper, 甲板長補)へ昇進したが休暇を終えてからも船が取れなく会社に出て来て人事担当者と口喧嘩をしていた。“アイゴ、初士(1航士)、お久しぶりですね・・・俺、船に乗せてくれませんか?”印象派の顔をしたストーキが1航士に哀願した。人事担当者の海務代理は1航士の2年後輩であり在学中、内務訓練のとき、バットを打ちながら訓練した先・後輩関係だった。“船しらべてみろ”と先輩がいうのに拒否する後輩はいない。配置をしていたら、つい又、同じ船に乗るようになった。

仁川港で乗船することにして乗船前日、みんな仁川のある酒場に集まり‘仁川のマッチ工場♪’も歌い‘姉はきんちゃくマンコ、妹は白いマンコ云々♪’と歌い、箸で食卓を叩きながら遊んでいた。実家が釜にあるストーキは上さんを連れて来て旅館に泊まっていて相席したものの、その上さんが、気分良く躍りながら‘姉は・・・’を歌う1航士を苦虫をかみつぶしたような顔で睨んでいては唄が終ると‘若い人の唄が何それ?’と叱った。照れ臭くなった1航士が自分の座布団に座ると“この婆が男たちが遊んでる所に来て何やってるの?”とストーキが止めるふりをするけど上さんは“若い人があまりにも生意気しないで”と本音を出す。相手にする価値がないと思うが1航士の表情は固くなっていた。歳上の夫に上司格の1航士に密かにコンプレックスを感じていただろうか。

翌日、交替船員が全員乗船した後、その夜も1航士は酒パーティを開いていたのに酒に相当酔うとストーキに不満を暴発させた。妻教育を間違ってさせた罪でストーキは鼻白んで目の前の酒だけ飲んでいた。つい彼らが初めて対面した時節に話は溯っていて1航士が“最初当直をしていたとき、あまりにも居眠っているから前面をみていこう’というとストーキは‘みている’というが居眠りながらみえるはずないじゃ?”という。そしたらストーキも負けずに“見ているのにいつもみろというとどうしたらいいんだ?”と反問する。そこで1航士“よし。全部いいけど頭を傾けてみているというと目が頭についているとのことか?”といって皆大笑いをした。

東南アジアと中近東を向かって航路を決めた本船は先ず日本で雑貨を載せた。50代の甲板長が荷役作業中にはメガフォンを取って甲板員たちに叫びながら甲板を縦横無尽縫う。彼より2才上のストーキは悪口をしながらも従わなければならない。その際、甲板部会食でもあれば酒酔いふりをしたストーキは上司の甲板長に悪口をやりまくり喧嘩を売る。周りの人が止めないと力では甲板長が勝てないのでもう会食の席を避けながら一人で遊ぶ。ストーキの考えでは経歴にせよ歳にせよ自分が上なのに甲板長だと威張るのが目障りらしい。甲板長は酒も飲めず、喫煙もできない。ただしある港に入港したらあっという間に消えてしまう。調べたらどこかで取った情報を元にして女のいる家を早速捜し出し個人プレイをするそうだ。そういえば酒、タバコが駄目なら何か他のことでも趣味を持たなければならないだろう。

ストーキのうるさがらせるせいか個人事情があったわけか、ある日、東南アジアのどっかの港で甲板長が下船を宣言した。甲板部船員が全員集まった所で甲板長はストーキに言った。“この機会できっと昇進しなさい”と。突然の下船で会社では後任者を探して送る時間的な余裕もなく、韓国から東南アジアまで飛んでいく航空券代も手強いためか後任者なしで中近東まで行ってくるように電文を送ってきた。やがて皆の視線はストーキに集中された。今度こそ彼が甲板長昇進の0順位だと。そういえば経歴だけでも彼みたいな適任者は他にいない。それに1航士が連れて来たし1航士の後輩たちが会社の船員人事件を取っているから期待するのも無理ではないはずだ。

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