シドニーブルーズ-11-阪神淡路大震災とビザ
2003/11/15 16:39
メッセージ: 1569 / 1579

投稿者: メッセージを送信 ilkuji_99

日本の某私立大卒の男は学校のとき付き合ってた女性と結婚して暫く小さな会社で職場生活をしたけど将来へのビジョンもなく、従身雇用制が定着した社会で一職場に首を吊るのが情けないように思われ脱出口を探したかった。そういう理由で海外へ出る道を調べてた途中、ワーキングホリデイ制度のある豪州に来ることにした。

大学時の専攻が人文系だったので他にやることもなく、みんな簡単にできるドライバーガイドをしはじめた。ドライバーガイドとは海外観光客たちをミニバスやセダンに載せて運転しながら同時にマイクで案内、市内観光やブルーマウンティンに行ってくることだ。その会社の社長が在日出身だが大阪に住んだという。この頃は客とインタービューをしたら訛りで大体出身地がわかる。

社長がそちらの出身のせいか雇われるガイドもみんな関西出身だ。彼らの会食に参加したらば関西弁が乱舞する。「わからへんよ」「おおきに」などなど他地方の人が慣れないと聴きにくい場合もあるらしい。本来関西弁はドラマなどでヤクザ言葉でよく使われる。ヤクザが多いせいか。ある女性客は大阪出身だが旦那さんが刑務所看守だったので刑務所の塀を間にした看守たちの宿所に住んでいた。

刑務所の庭には罪囚たちの運動のためにバレボール場があるが、スパイキングとブロキングをするため飛び上がると塀の向こうに手が見える。さて、ほとんどが手棒だそうだ。ヤクザ世界では親分に忠誠心をみせるため、もしくは規律を違反した場合、指を切るのだが残っている指が少ないほど貫禄を認められるらしい。ある罪囚は指が一本もなかったという。

特別な技術や経歴なしで申請できるビザが就業ビザだが、この男もその会社のスポンサーシップビザを申請するために他の移民弁護士を訪ねたが駄目だといわれ、筆者に相談しに来た。一般弁護士の場合、大体、移民法律を軽くみて法典も調べずに相談、手続することが多いわけで失敗することが多い。頻繁に変わる移民法に精通していて経歴のおおい弁護士か移民法務士を選定するのが何より大切である。

会社規模も小さくスタッフには永住権所持者がほとんどなかったので難しいケースだったが運良く二人ともビザが下りた。その後しばらくして関西地震が起った。神戸、大阪を中心に数万名の死傷者が発生、多くの建物、家屋などが破壊された。筆者を通じてビザを取った男が家族の住んでいる神戸に電話したところ、両親が使う本軒に繋げて建てた自分たちの部屋が完全に潰れて痕跡も残らなかったそうだ。

もしビザが下りなかったとしたら日本に戻って行ったはずだし、そしたら夫婦が寝ている間に死亡したかも知れなかったのにビザが下りて生残ったそうだ。この業界で仕事をしながら生命を救うことがあるならこういう場合だろうか。

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