シドニーブルース−14−釣り馬鹿と病身
2003/12/19 19:21
メッセージ: 1718 / 1718 投稿者: ilkuji_99
一週間の職場生活で溜まったストレスを解消しに海辺へ行ったりした。釣り針を投げて手の先に伝えて来る魚の口当たりを待つ。そしたら万事を暫く忘れて静かな水辺で瞑想に沈める。今までシドニーで釣れるところはどこでも大体行ってみた。ひとつ不便なことは針をリールで揚げるとき岩にひかかって沈子と針が頻繁に切られるのだ。海辺の水面下の岩に引っかかるのだ。投げるたびに沈子を一つづつ無くすには限りないし、毎度結びかえるのがなかなか面倒くさい。
そのとき我らの前を白い泡沫を残し悠々に走るモーターボートがあった。つい船で釣ったらどうかと思った。水辺じゃなく水の真ん中で釣りをしたら揚げるとき引っかかる心配もないはず。お金を借りてモーターボートを購入した。男同士で釣るときはいいけど女を乗せたらちょっと困ることがある。小便をしたいとき男同士なら適当に水の上にそのまま失礼してもいいが、女がいるのにアレを引き出すのもあれだし・・・船が小さいので重さの中心を低めようと正座した姿勢で放尿するのに日本人たちはオートで及び腰の座りで放尿することを「マーメイド・ポーズ」と呼ぶらしい。座ってたれる姿勢が人魚の座ったポーズと似ているからそう名づけたようだ。誰も教えてくれなかったのにそういう姿勢を取るのは人間の自己保護本能かな。
ある日は友たち数人と船で出るようになったのにある友の彼女が付いて来るというから断わった。釣る途中、ビールを飲めば小便を頻繁にしないといけないし女がいたらたれるのもあれだし・・・しかし女は聴かないできっと付いてくる。仕方なくいっしょに乗って出たのに他の男が尿意が耐えられなく、仕方なく、振向いて放尿しながらぶつぶついう。
女を乗せるにはトイレのついているヨットを買えば良かったけど釣り程度の目的でヨットまで買うのももったいない。どっちでも余裕があればいいけど。それで今度乗るときはポータブル用便器を用意した。それはプラスティック瓶と漏斗だった。瓶は男性用だし、瓶の入口に漏斗をつけたら女性用になる。なぜ女性用は漏斗がつくかは聞かないように。本当に知らなくて聞く馬鹿はいないはずだ。一度使い方を皆の前で説明したらば女を連れてきた友がもうひとさじすくい取って「もしかしてあの瓶の底にカメラを装置したんじゃないか」と聞く。
ボートは5人定員なので小さいがモーターが40馬力なのでスワトル(アックセレーター)を完全に引張ればモーターのプロペラだけ沈んで船首は水上に上がったまま凄い速度で走って恐いほどだ。夜間にシドニーハーバーをボートで走ったことがある。ダーリング・ハーバーからローズベイへ戻ってくるコースだったが途中で浮標(ブイ)が何個所あり、ライトがちらつくので避けてゆける。
浮標は大きなドラムサイズだが一個所は点燈してない状態で浮かんでいるのを発見した。それも近づいてから隣りに座ってた友が教えてくれたんで助かったけど、もし全速力で走ってて浮標と衝突したとしたらボートはばらばらになる。走るとき見過ごしたらどうなったはずか。くらっとした。平日に早速、港湾庁に電話をかけた。浮標の位置を教えたあと、危険なの撤去するか点燈するように提案したところ、向うはその問題は自分たちの所管じゃないといって別の番号を教えてくれた。いわれた通り番号を押したのに、また別の番号を教えてもらった。三番目にやっと担当者をつかんで話したが、この人曰く「点燈しない浮標なない。笑わせるな!」という。筆者が直接みつけたんでもう一度確認してみるようにいっても同じ答えだけを繰り返しては切ってしまった。何問題もないのになんで言いかかりをつけるのかとの態度だった。病身たち、やってみろ。私は良心的にやることはやった。これから何が起きてもお前らの責任だと思うしかなかった。
そのときから正確に3週間後、TVニュースをみていた途中、びっくりした。夜間に3名がボートを全速力で走っては問題のその浮標とぶつかって大破した事件を報道していた。3名の中、1名は即死、2名は重傷だった。カメラを通じてみた衝突現場は凄惨だった。筆者の提報を受けても笑わせるなと無理押ししたあいつの表情がどうだったかみたかった。ビンシンはどこにもいるのだ。こういうビンシンたちは自分は死なずに無実な他人たちを犠牲させる。ビンシンたちのため犠牲されたひとたちだけが運がわるかったと有耶無耶に過ぎることか。
(INDEXに戻る)(1つ前に戻る)(第15話に進む)