シドニーブルース−第1話−悲恋−2
2003/ 8/26 20:21
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投稿者: メッセージを送信 ilkuji_99

その食堂にある日、異変が発生した。顔が小さく体が細い奇麗な20代のウェイトレスが入ったのだ。日本人社会では肉の味よりもうあの娘さんを見にいくという話がでるほど人気者になった。彼女は韓国で女警察出身であの店のオーナーのめいだそうだ。男はみんな用事もなく誰もが彼女にいいかけたりデート申請もする。筆者の会社の広告を出しているある日系新聞社の営業担当者は同行した筆者に通訳を頼んで熱心にデート申請をした。この男、結婚指輪を指からそっと引張りだしポケットに入れたあと、野菜皿を持って来た彼女に「週末にはなにをするのか」と聞いた。その娘は乗馬練習しに行くと答えたところ、男曰く「私が馬になってやれば駄目か」と懇請した。

筆者との記者のインタービュー記事が韓国系新聞に載ったあとからこの娘さんの態度がすこしづつ友好的に変わるのを感じだ。たまたま「酒を飲みすぎると良くないよ」とか心配の言葉もかけてくれた。当時独身だった筆者はある日、日本女性のお客さんを連れていった。なかなか美人だったがそのウェイトレスが我らを見た一瞬、表情が冷たく変わる。それからその日に限ってとても不親切に筆者を待遇した。わけが分からなかったが仕方なかった。次にいったことろ、他の女従業員が耳打ちしたことは、その娘さんが実は筆者のことが好きだったが奇麗な日本人女性を連れて来たのでとても傷ついたそうだ。多分恋人だと誤解したらしい。その後、その娘さんがみえなくなり、みんなわけを知りたがったが、噂によるとお嫁にいったそうだ。傷ついたままに。

ある日は日本人秘書を連れていって食事をしながら酒を飲んでいたら隣のテーブルに一人で座っていた男がこちらに声をかけた。韓国語はしゃべっているものの、少し片言だと思ったら、自分は日本人で奥さんが韓国人だと自己紹介をした。隔意なしに対話をしていたら、この男、みんなで一緒にカラオケボックスに行こうと提案した。そこでいっしょに出ていって彼が住んでいるコリアタウンに行って奥さんを呼び出した。階段を織りて来る奥さんはあのウェイトレスだった。筆者も慌てたが向こうもとても慌てたらしい。暫くあの二人で話してから日本人男が筆者に来て奥さんが行かないというと伝えた。ぼっとした状態で車を運転して帰って来た。お嫁にいった相手があの男だったのか。わけがわからない秘書は「せっかくここまで来たのに」とぶつぶついう。

あと数年経って、筆者も結婚して家族を連れてコリアタウンへドライブにいって韓国ビデオ屋に寄った。子供を抱いてテープを借りにカウンターに立っていたらある中年女性が子供を抱いて入口を入り筆者に挨拶をする。別に会った記憶がないと思って無視したのに近づいて隣に立つのをみたらあのウェイトレスだった。挨拶をして簡単に話したら自分の子供も2才だそうだ。いきなりビビアン・リー主演の「草原の光」という映画の場面が思い出した。

死ぬほど愛してたが運命は二人を分けておいて最後には他の女と結婚した男が子供を抱いてビビアン・リーに会って挨拶だけ交換してまた別れるのが最後の場面だと憶えているけど、彼女と筆者も偶然に予期してないときにそんなところで会ったが二人共それぞれ子供を抱いてお互いをぼっと見つめることで終わった。たとえ映画みたいに熱烈な愛の表現はしなかったものの、内心お互い好んでいてても終にそれぞれの道を歩いていってしまったのだ。帰って来る車の中で悔恨が満潮のように押し寄った。草原の光よ、花の栄光よ。

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