綾辻行人 『最後の記憶』
角川書店 2002年8月 ISBN:4048733990
初めて綾辻氏の作品を読みました。
実はこの作品のについての綾辻氏のインタビューがyahooに出ていたので読んでみたいな…と思っていたところ運良く図書館でGet!新刊なのに全然待たずに読めました。
友人から「綾辻さんのはおもしろい…」といわれ読んでみたのですが…
この『最後の記憶』は彼が「本格ホラー小説」と称している作品でいわゆるスプラッタ系のホラーではなくひしひしと迫るような心理的な怖さがある作品です。
自分が痴呆に陥り現在の記憶から順々に記憶が消え印象の強いものだけが残っていく…その記憶が楽しいものならばまだしも強い恐怖の記憶だったとしたらどんなに苦しいだろう…とちょっと想像してしまいました(^_^;)毎日毎日恐怖の記憶が繰り返されるってすごく怖くないですか??
そして別の側面として遺伝病の恐怖ってことがかかれているように思いました。近年多くの病気に遺伝的要素があると言うことがわかりつつあります。心臓病やガン、精神分裂や遺伝的要素の強い痴呆などなど。自分の死のリスクがある程度まで予測できてしまうのです。この問題は多くの側面から問題視されています。もちろん精神的な負担、そして保険の破綻等々様々な側面で問題をはらんでいるのです。保険の話はここでは関係ないのでここには書きませんが…もし自分の親が苦しんで死んでいく様をみて自分も同じように苦しんで死ぬことがある程度の確率で定められたことだとしたら…死の恐怖って一段と大きいものになるのではないでしょうか?
そういう意味で綾辻氏のいう「本格ホラー」というのはスプラッタ系のごく一部の人しか目にすることのない殺人という残虐な光景などではなく、現実に起こりうる(すでに起こっている?)ある意味誰にでも起こりうる恐怖と決して誰もが体験するわけではない血なまぐさい「ホラー」とを掛け合わせた新しい作品なのではないでしょうか?
ある種、非常にリアルな話でありながら現実離れした恐怖が同居しているそんな作品なのではないかと私は感じました。