我が愛するプレーリードッグの命の記録です。
結果的にはとても短い記録になりましたが、小さな体で
頑張った菊ちゃんの生きた証を残したいと思います。
2001/06/19 火曜日     予感

ここ2〜3年程この時期はいつも元気がなくなるのです。去年はショック療法という勝手な名目でシャワーを無理やりしてしまった。するとウンチを何十個とぶちまけ元気になったのです。
今回もそんなことだろうと思っていました。ところが痩せてきたのです。エサも食べない、ちょっとした段差も越えられなくなりました。ウンチは正常の3分の一しかありません。
あまり慣れていないので触ることはできなかったのですが、お腹を触らせるようになったのです。
軟らかいはずのお腹に、硬い大きな腫瘤を見つけました。
それが始まりなのです。


2001/06/20 水曜日    告知

他の動物たちもお世話になっている病院へ行きました。無防備な医者を一発流血させたのはさすがです。ところがレントゲンを撮らせたのにはびっくり。去年夏バテで受診した時は菊ちゃん診療拒否。何もできなかったのに。明らかに弱っている・・・。そう思わずにはいられませんでした。
2枚のフイルムの中で腫瘍は映し出されていました。2ヶ所。一部は石灰化しているそうです。
気づくのが遅かった。苦しい思いをさせてしまった。でも後悔は後。今はどうするかってこと。
良性か悪性かは病理で調べないと何とも言えないが、食欲がない、体重減少などの症状や障害が起きている以上、良性であってもこの子にとれば悪いものなんだと言われる。
手術するにも状態が悪くリスクが高いこと、開腹してみなければ腫瘍の状態がわからないということ。手術には立会いその場で状況が説明され同意を求めるということでした。
内服治療としてアガリクスも使うことになりました。人と一緒ですね。
そして最悪の場合には薬で眠らせる・・・・安楽死という選択です。
ツラそうな菊ちゃんを前にして、そうすればいいのか答えが出ない。でも迷っている時間はありません。手術に踏み切ることにしました。内服治療では間に合わない状況です。
生命力と可能性、そして運に賭けることにしました。
飼い主のエゴと思われても仕方がありません。少しの延命であっても、まだ一緒に居たかったのです。その結果命を落としたとしても何かに役立ててもらえるならばと思いました。
手術は22日、午後1時から始まります。試験開腹として。


2001/06/21 木曜日    息を感じて

夜中なかなか寝付けない。気がつくと菊ちゃんの様子を見に行く。よかった息をしている。
朝になって見ると半白目状態。声を掛けると頭を持ち上げます。それからゴソゴソし始め、唯一食べられるスイカを3cmほど食べる。ゆっくりゆっくり噛んで、飲み込むのに10分はかかっている。
ウンチもドンドン小さくなっていく。ハムスターのようだ。通過障害からでしょう。
今日は夜勤。夜が心配です。明日朝私が帰ってくるまで待っていてね。
どうか命が繋がっていますように。


2001/06/22 金曜日    奇跡への願い

家を出る前オスのちゃるさんが菊ちゃんの毛繕いをしている。きっと帰ってくるからね。
午後12時に酸素ボックスという酸素の管がつけられている衣装ケースに入れられました。
抵抗しない。
1時間かけて酸素を投与するのは血中濃度を上げ、術中に心臓が止まることのないようにするためだと説明をされた。もう一度レントゲンフイルムを前に説明を受けた。
肝臓に腫瘍が見つかった場合は諦めてもらう。脾臓腫瘍の可能性が一番強く、他臓器との癒着がなければ切除は可能。しかし癒着があれば撮ることはできない。麻酔をかけた後はすぐに開腹します。術衣は着ない。時間を短縮します。今の状態からみてそれだけリスクが高いのです。
麻酔にも耐えられないかもしれませんと。
全て納得をして午後1時10分より手術が開始になります。
午後1時10分麻酔が導入、およそ15分で剃毛、血管確保が施行されました。心電図モニターから聞こえてくる菊ちゃんの心拍は乱れています。いつ聞こえなくなるか不安で一杯でした。
開始から25分たったところで呼ばれました。最初に目に飛び込んできたのはゴルフボール大に腫れた脾臓でした。菊ちゃんを苦しめているものがそこにあります。
ピンクの丸い消しゴムがあったとします。消すと所々黒くなります。まさにそんな感じです。
普段は胃の左下に位置するはずの臓器が、胃をおしのけて姿を現していました。
そして口内炎があちこちにできるように癌は転移していました。
脾臓の癒着は思ったより強かったのです。菊ちゃんの体から何一つとして悪いものを取ってあげることはできませんでした。病理検査のため脾臓組織の一部を採取しました。
(後日亡くなってからの結果では、癌細胞が見つかっています)
半ば諦めていた部分もあるけれど、覚悟もした。けれどここまで癌が拡がっていたとは想像もしていませんでした。そして閉創。麻酔から醒めた菊ちゃんは点滴が入っている腕をブルルンっと振って嫌がり、ぐるるる〜とうなり声を上げた。首には傷を噛まないようにエリザベスカラーが巻かれる。これはもっと嫌。仕方がありません。プレは自咬があるので糸などは一発で噛み切ってしまうでしょう。
呼吸も安定し、経過観察のため再び酸素ボックスへ入れられる。何もなければ夜にも退院です。
術後説明を受ける。内容は、脾臓が腫大し中は壊死を起こしている。一部胃上部まで腫大し周りの血管を巻き込んでいた。小腸にも転移巣がみられ、脾臓は腸間膜に強く癒着し摘出不可能だったと。
気づいてあげられなくてゴメン、苦しい思いをさせてゴメン。手術頑張ったね・・・。
夜菊ちゃんを迎に行く。内服のアガリクスを飲ませる。かつおだしの匂い。指につけ無理やり舐めさせる。虐待をしているようです。少しでも腫瘍が小さくなって楽になりますようにと、願いを込めながら。菊ちゃんは首に巻いたカラーが気になって取ろうと必死。これは外せないの・・・。
術後からチョロチョロと出ていた腹水もだいぶ治まってきた。キャーッホと力強い声。何日ぶりでしょう。奇跡を信じるような声でした。
ちゃるさん、菊ちゃんが帰ってきたよ。おかえり。
命を繋いでくれた医師に心から感謝します。


2001/06/23 土曜日    生きるということ

前日帰ってきてから、タオルが腹水で濡れるので何度か取替え、気がついたら日付が変わっている。カラーを取らないように注意する。タオルを頭からかぶり菊ちゃんは寝ている。どうやら腹水は止まったようです。朝になり薬の時間。タオルで抱っこ固定。傷があるので難しい。またもや無理矢理。何かいい方法はないのかなぁ。いつものエサを湯でふやかせるが食べない。スイカを一口食べた。ビタミン臭いオシッコを5回するが便は出ない。傷も赤くなっていない。脱毛はひどい。つまんだ分だけ抜ける。
夜になってメロンを気に入って自分で食べようとうるけど、カラーがあるので手が届かない。
相変わらずカラーを取ろうともがく。あんなに好きだったメロンは一口。ゆっくり食べる。いつもならちゃるさんと取り合って丸呑みするのに・・・・。時々白目をむいて寝るのでドキリとさせられてしまう。


2001/06/24 日曜日    慣れてほしい

朝。菊ちゃんはタオルと格闘している。また薬の時間です。
抗生剤と、アガリクスを水溶きの食欲増進剤で溶いたものを用意する。いつものタオル巻き。
嫌がる、嫌がる。抗生剤はうまく飲めたけどアガリクスはこぼれた。もともと少ないのに・・・。
抱っこが本当に嫌なんでしょう。そろそろ諦めてくれないかしら。
お天気のはずが、朝から雨。菊ちゃんの体が冷たい。ヒーターを入れてみる。ちょっと暑い。余計に脱水になってしまう。撤去する。プレは水をたくさん飲みますが菊ちゃんは一口。初めての水。
スイカも一口食べる。あとはタオルを好きな形に作って眠ってしまいました。


2001/06/25 月曜日    ありがとう、また逢えるね

夜勤から帰ってきたばかりの私の目に飛び込んできた菊ちゃんは、息も絶え絶えでした。
病院に行くような状態ではありません。そんな状態でも意識はありました。
ケージから出し、今まで菊ちゃんを嫌がらせたカラーを外し、タオルでくるみ抱き上げました。
息のある間にちゃるさんに逢わせよう。金網にへばりついて様子を見ているちゃるさんに菊ちゃんを寄せました。ほんの3秒ほどちゃるさんは菊ちゃんの鼻先に自分の鼻をつけて、目を閉じました。不思議な別れでした。
もう頑張ってとは言えません。本当に頑張ったね、痛かったね、よく我慢したね。もういいよ、ゆっくりおやすみ。そのうち目に力が無くなり、意識が落ちました。弱いながらも規則的だった呼吸が乱れ、途切れ始めました。「菊ちゃん!」と呼んでポンポンと背中を叩くと、ふぅーっと何かを思い出したように2,3回息を数え、静かに息を引き取りました。私が帰宅して30分でした。
待っていてくれたのかな。こんな飼い主でゴメンね。ありがとう、忘れないよ。
午前10時30分 享年4歳でした。


2001/06/26 火曜日    空へ

近くの動物霊園で火葬してもらいました。お棺に入れるとき涙が止まらない。
期待していなかったのに骨拾いもできた。白く小さなきれいな骨だった。
壺に骨を入れるときには、涙はでませんでした。菊ちゃんが空へ持っていってくれたのでしょうか。


2001/06/27 水曜日    ソロモンの指輪

飼い始めた頃は情報も乏しく、飼育下での寿命は4〜5年といわれていました。
今ではエサが改良され、情報が集められ、エキゾチックアニマルを診療・治療できる獣医が増えて寿命を延ばすことができるようになりました。
発病から運命を受け入れるまで時間が短く、選択肢も限られていました。賛否両論はあるでしょうが、体が温かく息を感じる命を、その場で止めることはできませんでした。
結果として命を縮め苦しませたことは、後悔して已みません。
菊は寿命を全うしたと言えるでしょうか?ソロモンの指輪があれば何を話せたでしょうか・
菊は何を選択したでしょう、是非聞いてみたかったと思います。


2001/06/29 金曜日    終焉

これで菊ちゃんの闘病記は終わりです。
よくなることを願い、信じ、同じ境遇の飼い主の方に勇気を与える事ができればと思いましたが、
不安や、不快感を持たれた方もいることと、申し訳なく思っています。
皆様のプレが今後幸せに、健康で寿命を全うできますようにお祈りいたします。


2001/08/11 土曜日    あとがき

今日が49日です。動物霊園で経木をもらっていたので。燃やすことにしました。
煙は静かに昇っていきます。
菊ちゃん、なくなった動物たちが行くという虹の楽園には着きましたか?傷は治った?痛かったり、苦しかったりしない?
巡りめぐって逢えるときがあるでしょうか。きっと逢えるよね。またね、菊ちゃん。


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