チェリー
「じゃあ公園で。夜7時に」
彼女との待ち合わせ場所は、街中にある小さな公園だった。
吐く息が白い。今日はクリスマスイヴである。
7時30分になっていた。まだ彼女は来ていない。
ずっと前から、僕は彼女に惚れていた。かれこれ3年にはなるだろうか。
彼女ほどいい女はいない。いるはずがない。顔、スタイル、性格、どれを取っても悪いところなどないのだ。
そんな彼女にいつ告白しようかと迷いながら、3年も過ぎてしまった。
そして今日、クリスマスイヴに告白しようと決め、僕は電話で彼女を強引に誘ったのだった。彼女の了解を得る前に、僕は電話を切っていた。
カバンからMDを取り出す。寒くて引きちぎれそうな耳に当てる。
待ち合わせ時間はとっくに過ぎている。
……ここに来ないということが、彼女の僕に対する気持ちなのだろうか。
MDからスピッツの「チェリー」が流れている。
「愛してるの響きだけで、強くなれる気がしたよ」
その通りだ。彼女を愛することによって、僕はこの3年間を生きてきた。そして…その間に、僕は強くなったはずだ。
8時になった。やはり彼女は来ない…。
…涙が溢れてきた。
必死に涙を拭く。だが涙は正直で、とめどなく溢れ出してくる。
不意に、目の前に小さな子猫がいることに気がついた。それを抱き上げて言う。
「お前、寂しいか。俺もだ。俺たち、仲間なんだな」
子猫が頷いたような気がした。
何度も繰り返して聞いている「チェリー」が僕の気持ちを表すかのように響いている。
…いつかまたこの場所で、君とめぐり会いたい…と。
執筆後記
私の書いた記念すべき第一作目です。彼女にフラれた男の切なさを書いてみました。はっきり言って暗いですが、ご容赦を。また書きますのでよろしく!
〜雑感〜
執筆後記があるので控えておきましょう。
ふられる…、これを恐れていたら恋愛は出来ないんだろうけどね。