犬 |
私は、犬と人間の間には、はっきりと一線を画し、犬は所詮犬でしかない。と思おうと努めている。 何故ならば、犬は、人間の7倍の速さで年をとると、先日のテレビのコマーシャルでも言っていたが、 必ず早く別れが来る事を知っているからである。 しかし、飼い主の突き放した受け入れ方に対しても、いつも犬は尻尾をふり、体をすりよせてくる。 困った事にそのつぶらな瞳が、いつも私をとらえてはなさない。 ほんのかすかな家人の帰宅の気配でも、歓喜してソワソワする。 屁理屈も言わなければ、責任転嫁もしない。 不満を抱かず、感謝だけを抱く。 何時間ほうっておかれても文句も言わず、帰ってくれば、全身で、歓迎する寛容さ。 人間の子供では決してこうはいかないだろう。 犬と戯れながら私は思う。 犬とは、私自身は、勿論の事、過去に出会った何者よりも崇高な生き物ではないだろうかと。 しかし、犬は、所詮、犬でしかない。何故ならば、人間がいなければ、崇高な犬格も保てないであろ うから。