【学園ラブコメディー】 講義が終わり、昼休みになって、 騒がしくなり始めたキャンパス。 そんな中、とある教室の前で、女の子達が2〜3人でうろうろしていた。 いかにも軽そうな男が彼女達に声をかける。 「どうしたの?誰か探してんの?」 すると彼女達は、思い切ったように聞いてきた。 「あの・・・・・堂本さんいらっしゃいませんか?」 「あ〜・・・どっちの?」 どうやらこのクラスには、堂本と言う名前の男が2人いるらしかった。 1人の女の子が、頬を少し紅潮させながらも、 「光一さんの方です」 と早口に言った。 すると、目の前に立っていた男も、後ろの方で聞いていた男達も、 みんなして一斉に笑い出した。 そして少しお調子者ちっくな男が、 楽しそうにきゃらきゃら笑いながら、ドウモトコウイチという人物の居場所を教えてくれた。 「光一ね〜、さっき奥さんと一緒に学食行ったよ」 「そうそう、今日は愛妻弁当なんじゃね〜の〜?あっはっは」 そんなコトバと共に、男達の爆笑が渦巻いている。 呆気に取られている彼女達を残して、男達の話はどんどん進んでいった。 「愛妻弁当か〜・・・それはねえな〜〜だって今日剛怒ってたもん」 「なんで?」 「光一の奴さ、昨夜剛がやめろっつってのに中出ししたらしくてさ、朝殴られたらしいぜ?」 「なんだよそれ〜あっはっはっはっは!バカじゃんあいつ」 「な〜普通に殴られてるからな・・・ホント光一も懲りねえよな」 「ホントホント、それにしても毎日お盛んですこと」 「あいつらどっちも親と同居してっからさ、ラブホのご休憩御用達なの」 「マジで?あはは、つうかさ、教室でヤろうとして光一の奴殴られたってホントなわけ?」 「うん、そらしいよ」 「つうかあいつ剛に殴られてばっかだよな」 「あんな顔して意外とマゾだったりしね」 「剛の方が実はサドだったりしてな」 「ていうかさ、最近剛クンまた艶っぽくなったんじゃない?僕ホントそう思うもん」 「な〜、やっぱず〜っと男にヤられてると違うのかね?」 「痛くないのかな?」 「そりゃー多少は痛いだろなぁ・・・・」 「でも痛みが快感になってくんじゃねえの?」 「はぁ〜・・・なるほどね」 ドウモトくん達の親しい友人達の話を聞いてしまった女の子達は、 光一君がホモだということを知り、そしてあんなに生々しい話を聞き、 呆然としてしまい、何もコトバに出来ずに自分達の教室に帰って行った。 「あれ?そういえばここに女の子達いなかったっけ?」 そう言った少しかわいらしい系のドウモト君達の友人の1人がそっちの方向を指差すと、 そこで話をしていた皆がそっちを振り向いた。 しかし、そこにはもう誰もいなくなっていて、 廊下の窓から入り込む気持ちのいい太陽の光だけが差し込んでいた。 こうして、ドウモトコウイチに憧れる女子学生の数は、また今日も減ったのだった。 そんなことは別に、堂本光一本人も気にもしてはいないだろうけれど・・・・・ +++++++++ ところ変わって学生食堂。 安くて早くて大盛りでうまい! こんな良い場所が、学生達で賑わないはずがない。 先程噂されていた当の本人達も、今この場所にいた。 並んで食事をしているものの、 普段となんだか雰囲気が違う。 いつもだったら、剛の作ってきた弁当を持って2人で周りがイライラするような空気を作り出しながら食べているくせに、 今日は剛は弁当持参だったが、光一の方は学食のカレーを食べていた。 「・・・・・・・・・・う〜ん、カレーもたまにはうまいな〜あっはっは・・・な?剛」 「やったら明日から毎日学食にすればええやん」 昨日から怒らせてしまっている剛の機嫌を、どうにかして取ろうとする光一だが、 必死になればなるだけ墓穴を掘ってしまうようだ。 今だってそう。 いつもの愛妻弁当(by悪友達)を持ってきてくれなかったため、 学食で昼食を取る事にしたのだが、 隣には座っているものの、ひとことも喋ろうとしない剛の重い沈黙に耐えかねて、 光一が発した言葉は、更に剛の怒りのボルテージを上げるだけのものだった。 「別に俺が毎朝作ってこぉへんかったって学食で食えばええことやし?その方が好きなもん好きなだけ食えるもんな?」 うぁ〜・・・めっちゃ怒ってるがな 「いや、そういう意味ちゃうくてな〜、俺はお前の弁当が一番好きやねん〜やから明日は作ってきてぇ〜や〜」 「知るかハゲ!」 そう言い捨てると、食べ終わった弁当の包みを持って、光一を置いてさっさと教室に戻って行ってしまった。 その後姿を見ながら、光一は昨日のことを後悔していた。 「はぁ〜・・・完全に怒ってる・・・・まさかあんなにキレるとは思わへんかったからな〜・・・」 でもあれはちょっとタイミング悪かったやろ・・・ そう呟くと、皿に残っていたカレーを、口の中にかっ込んだ。 +++++++ 午後の講義も終え、 学生達が家路に着き出す頃、学生専用の駐輪場で、 光一は自分のバイクの前に立ち、悩んでいた。 「こねえだろうな〜・・・」 ここに来ないだろうと予想するのは、もちろん剛のこと。 なぜ彼があんなに怒っているのかというと、 昨日学校内でキスをしていたら、どうしても気分が盛り上がってしまい、 そのまま全てそこでやってしまおうとしたのだ。 剛はやめろと言ったのだが、中々止めない光一に、 段々抵抗も薄れ、服も半分くらい脱がされていたときに、 丁度同じクラスの三宅に見られてしまったのだ。 つうか、自分達のことはクラス中が知ってるわけだし、 別に剛もそのことを知らないわけじゃない。 ただ、現場を知人に見られたことがショックだったらしい。 確かに俺も悪いけど、あいつだって結構その気になってた気すんだけどな〜・・・ そんなこと言ったら余計怒るので、絶対本人に向かっては言わないけど。 毎日光一のバイクで登校している2人だが、 今日は剛もかなり怒っていたので、 勝手に帰ってしまったかもしれない。 このままここで待っていても仕方が無いし、とりあえず家に戻ろうと思い、 ヘルメットを被ってキーを差し込んだときに、 後ろから剛の声がした。 「なんやねん、オレ置いて帰るんか?」 少し視線は下方向を見ながらも、どうやら少しは機嫌が治ってきたようだ。 「剛の事待っとったんやで?」 そんな俺の言葉に、なぜか少し安心したような顔になって、 「そっか」 とだけ言い、いつものようにバイクの後ろに跨った。 どんなケンカをしても、大体1日経てば元の鞘に収まってしまう。 クラスメイトにバカップルだの熟年夫婦だの言われるのは、きっとそういうことも関係しているのだろう。 ま、何にせよ、剛の機嫌が治ってよかったわ。 こいつに無視されるのだけは辛いかんな。 とりあえず、学校で欲情するなってことは、教訓ですな。 +++++++++++++++ その2週間後、普通に講義を受けて帰ろうとしていた2人の前に、 長瀬と三宅と森田が立ちふさがった。 「なに?」 そう剛が聞くと、森田が開口一番「合コン付き合ってくれ!」とのたまった。 何故カップルで合コンに参加しなければいけないんだと拒否する2人に、 3人はなおも頼みこんできた。 こうなった経過は、3日前に遡る。 3日前、3人が合コンをしようと隣の学部の可愛い子を誘いに行ったら、 どうやら堂本夫婦(と呼ばれている)に興味があるらしく、 一度そばで2人のいちゃつきぶりを見てみたいらしい。 「あの2人なら許せるもんね、剛クンと光一君ってお似合いだと思うし」 「そう、一回でいいから間近で見てみたいと思ってたの」 「ど〜しよ〜あたし本物見るの初めてだよvv」 そう口々にはやし立てる彼女達が、年に2回程有明に行っていることを彼等は知らない。 知らないって素晴らしい。 しかし彼女達は、合コンよりも、生で堂本夫婦が見られるということが大切らしい。 「堂本君達が行くんだったらいいよこっちもあと2人見たいって子達連れてくし」 そう言って、じゃあまたねと去って行ってしまった。 大学の中でも粒揃いの3人、どうにかしてゲットしたいところだ。 しかし、彼女達が何故そんなに生でホモカップルを見たいのかという理由は分からないが、 堂本達を連れて行くだけでいいのなら安いもんだ! そう思った3人は、何度も2人に切り出そう切り出そうとしたものの、 いちゃいちゃいちゃいちゃして2人の世界を作り出している奴等には中々切り出せず、 結局約束の日になってしまったのだった。 とにかく頼むしかないのだ。 「頼むよ〜、会費なんて取んないしさ人数合わせでいてくれるだけでいいから」 「そうそう、ただで食事出来るわけだしいいじゃん」 「そんなん言うこと自体がオカシイやろ、大体人数合わせやったら他の奴誘えばええやろ」 ばっさりと光一に言われ、言葉に詰まる三宅。 う〜んう〜んと唸る3人を尻目にいちゃつき出す2人だったが、 見ていられなくなったのか、剛が助け舟を出してくれた。 「ええやん、今日どこも行く予定なかったし・・・光一と一緒なら別にええよ?」 その言葉にいち早く反応したのは3人ではなく光一だった。 「え〜なんで合コンなんて行かなあかんね〜ん」 「ええやん、そういうのってちょっと見てみたかったし・・・あかん?」 最後の「あかん?」は上目遣いだった。 「え〜」とまだブツブツ言っているものの、 光一がそれに勝てるわけもなく、 最終的には「しょーがねーな〜」と、ニヤけた顔で承諾したのだった。 それを見た3人は、剛に感謝するとともに、 ドウモトコウイチ弱ぇ〜〜・・・と、改めて実感するのだった。 そうして今日の合コンは、今夜6時、 代官山のイタ飯屋にて、決行されることとなった・・・ 彼女達の興味が、2人の観察のみに注がれるということに男3人は気づく筈もなく、 ルンルン気分で講義が終わるのを待つのであった。 +++++++++++++++++++++++++++++