「起きろ〜」 遠くで自分を呼ぶ声が聞こえる。 白い靄がかかったような夢と現実の狭間で、 自分を起こす声が聞こえる。 「剛く〜ん、つよし〜、おーい」 明らかに光一の声。 うっさい・・・眠い・・・。 自分の貪欲な睡眠欲が勝ったため、 まだ掛けつづける声を無視して、布団を頭から被りなおす。 「・・・寝ーるなっちゅうの」 そう言って布団の上からがばっと抱きついてくる光一。 普段だったら笑って抱き締め返すような状況も、 今の自分にはうざいだけ。 「・・・ぅざい・・・」 どうやら心の声が口にも出ていたようだ。 途端に光一の非難の声が聞こえる。 「ひ〜ど〜い〜つよしくん最近冷たい〜〜」 朝っぱらから何キャラやねん・・・。 いつもの男前はどこいってん? いや、別にこいつのことを王子とは思ってへんけども、 それなりにあるやんか? 今日は壊れすぎやって・・・。 疲れとるんか?そうか、そうか、そやからこんな訳の分からんキャラになってもうてんな・・・。 自分の中で勝手に自己完結した俺は、 もぞもぞと布団から腕を出し、光一の頭を胸元に抱き寄せた。 「はいはい、いい子、いい子」 ある意味寝ぼけつつの俺の行動に驚いたらしき光一は、 「なんやねん、急に」などとブツブツ言っていたものの、 いつの間にか黙って、剛の背中とベッドの隙間に両手を挟み込み、 抱き締め返してきた。 「・・・あ〜・・・なんか癒されるかも・・・」 「う〜ん、なんでなんか分からんけど抱き合うと癒される気ぃするよな〜・・・」 妙に間延びした2人の会話。 どちらからともなくあくびが零れる。 そのあくびが移って、もうひとりもあくび。 その状況がおかしくて、くすくすと笑っていたら、 睡魔が再び押し寄せてきた。 今度は2人で寝てしまおう。 時間はたっぷりあるのだから。 数分後に聞こえてきた2人分の寝息。 その光景はとても幸せそうで、誰もそれを邪魔するものはいない。 結局ミイラ取りがミイラになった訳だが、 それはそれである日の休日の朝・・・・。 ***end***