なにかの本に書いてあった 愛というのは、お互いを見つめることじゃなく お互いが同じ方向を見つめることだと。 そうなのかと、恋愛感を綴ったそのコトバに納得しかけて、 そんな難しいこと簡単にできひんやんと、難色を示す。 人間は何故恋愛をするのか・・・ 恋をして、愛を知り、傷ついたり喜んだりする 恋愛感情なんて、一番複雑な感情だ でも、複雑だから憧れる。 傷つくことを分かっていても、 愛する喜びの方が大きい。 そんな風に、自分なりの答えに辿り着く 答えを探しながら、軽く紫煙が揺れる。 そんな煙を見つめながら、自分の恋愛を考えてみたりする。 男同士の恋愛なんて、決してロマンチックなもんじゃないけど、 生物としての当たり前のことを代償に、俺達は互いの幸せを手に入れた。 しかし、愛し愛されていても孤独は付き纏うもので・・・ ちょっと寂しいな〜なんて そんなことを考えて、俺はひとりで笑った。 【氷雨】 いつの間にか、俺は剛のことを好きになっていた。 気持ちはどんどん膨らんでいく一方で、 そのなかで伝えられるのはほんの一部。 それは俺に孤独を感じさせ、共に優越感も運んでくる。 けれど素直な自分を曝け出すのは、抵抗を感じてしまう。 リアルな感情を実感する一方で、それを押さえ込もうとする感情もある。 あいつの辛そうな顔を見るたびに、 俺が強くならなければと、守ってやらなければと・・・そう思う。 真綿で首を締め付けられているような感覚に陥りながらも、 それはそれで甘く緩い快感を俺に覚えさせる。 剛の表情や態度で、俺は傷ついたり、強くなれたりする。 剛の笑顔だけが、真実の俺に気付いててくれた・・・ 剛の涙だけが・・・真実の俺に気付かせてくれた・・・ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 剛のことは愛してる。 でも、諦めなければならない恋だっていうことも分かってる。 俺には仕事のパートナーとしてあいつを守ってやる事しか出来ない。 あいつへの気持ちを紛らわせたくて、彼女を作ったりもした。 そんな自分に時折、俺は何処にいるんだと問い掛けたくなる。 剛の存在は俺にとって、浮かんでは消える夢のようなもので 掴みそこねて目が覚める。 いつも浅い夢に抱かれて、 それだけで嬉しくて、 でも時間が経てば経つほどに、傷つきながら強くなっていく自分がいる。 たった一度だけ剛が寝ているときに唇を重ねた事があった。 卑怯な行為だとは思ったけど、それでも抑えきれない感情だった。 たった一度だけ重ねた唇を今も大事に想ってる。 そんなことを考えながら恋人に口付ける俺は最低だろうか 剛のことばかり考えている俺に気付かない筈も無く、 彼女は「他に好きな女でも出来たの?」と俺を問いただした。 もう潮時だと思った。 もう無理だ。 彼女に「愛してる」と嘘をつくことも、 嘘を吐きながらキスすることも・・・。 だって俺は気付いてしまった。 俺を見る剛の瞳の色に・・・ 本当は気付いていた、俺に彼女がいると知ったときに見せた あいつの切なそうな瞳にも。 だけど気付かない振りをしていただけだった。 苦しむのは俺だけでいいと思ったから・・・。 諦めようと思ったから・・・。 それなのに、そんな眼で見ないでくれよ。 思わず口にしてしまいそうになる「愛してる」と・・・ 素直な自分を曝け出してもいいのだろうか・・・? 剛は受け止めてくれるのだろうか 優しい光を・・・信じてみようか ◇ ◇ ◇ ◇