「なぁ、オレのこと好き?」 そんなことをいきなり尋ねてきたのは、 オレが家庭教師のバイトで教えている高校生、堂本剛18歳だ。 彼は高3で、オレは大学生のバイトなんやけども、色々ありまして、 今はまぁ、恋人同士っちゅうか、なんちゅうか・・・。 ちゅうかあんま言わせんなや、恥ずかしいっちゅうねん。 まぁ、そういうことなんやけども、剛はよくオレにこの質問をしてくる。 オレが普段好きだの愛してるだの言わない所為もあるんやろうけども、 そんなんオレのガラちゃうからなぁ。 「なんやねんいきなり、今は勉強中でしょうが」 今はカテキョの真っ最中。 「お前の一番苦手な理科やってんねんから、ちゃんと集中しなさい」 「え〜、だってあんまりよー分からんねんも〜ん」 そう言って、上目遣いで睨んでくる。 そういうことは勉強中じゃない、プライベートな時間にやってくれ! オレかて一応仕事やねんから・・・。 「ほら、分からんかったら教えたるから、どこが分からんの?」 気を取り直して聞いてみるが、どうやら拗ねてしまったらしく、 剛は、そっぽを向いてふくれてしまった。 「おーい、何拗ねてんねん」 持っていたシャーペンで、剛の頬を突付いてみる。 すると剛は、相変わらず怒った顔のまま、さっきと同じ質問をしてきた。 「・・・オレのこと好き?」 そんな分かりきったことを何度も繰り返し聞く剛に、 シャーペンを机の上に置くと、オレは剛の頭を自分の肩に抱き寄せた。 「なぁ〜んやねん、どした?なんかあったんか?」 髪を撫でながら諭すように聞くと、剛は少し強がったような口調で、ポツリポツリと話し始めた。 「・・・オレかてな、光ちゃんのこと信じてないわけやないねんけどな、 でもやっぱり。ときどき不安になんねんやんか」 「不安?」 「そう・・・オレな、コレでも5つも歳離れてんの結構気にしてんねんで? 23歳から見たら18なんてまだまだガキやろなとか、オレがあと5年早く生まれてたら一緒に学校行けたなとか、 光ちゃんただでさえモテるのに、大学には綺麗な人いっぱいいてはるんちゃうかな〜とか・・・」 剛がそんなことを考えてたなんて、思ってもみなかったオレは、剛の頭を、さっきより、少しだけ強く抱き寄せた。 「ゴメンなぁ、オレあんま言葉にするのうまくないからさ、それで剛のこと不安にさせてたんやなぁ」 「ううん、オレがわがままなだけやもん」 「いや、そんなことない。 ・・・オレさ、これからはもっと気を付けるから、そういうことはどんどん言ってな」 剛が小さく頷き、そこへ光一が顔を近づけた。 2人の唇がもう少しで重なりそうになった瞬間に、剛が言った。 「じゃあ、もう休憩にしてもいい?」 「・・・へっ?」 「いやぁ、もう疲れてもうてん、あっ!じゃあお茶持ってくるわ」 光一が返事をする前に、彼はお茶を取りに部屋を出て行ってしまった。 閉まった部屋のドアを呆然と見つめていた光一は、 はっと我に返ると、誰もいなくなったドアに向かって1人呟いた。 「・・・今のっていいムードとかっていう奴ちゃうの?」 どうやらオレは、あの年下の彼に翻弄されてしまっているようです。 でもまぁ、そんなあいつが好きなんで仕方ないっすけどね・・・。 男なんて、そんなもんです。 まぁ、いいや。 +End+