「仕事忙しいから、中々会われへんのやろ?せっかく出来た彼女なんやから、大事にしてやれよ」 なんて、軽口を光一に言ってから、僕は部屋に戻る。 光一は、仕事が終わったあとでも、彼女に会う為に、合宿所からバイクを走らせる。 彼を好きだという気持ちを胸の奥に押し込めながら、 また僕の一日が終わろうとしている。 集めまくったスニーカーで埋め尽くされる部屋・・・。 相方のことが好きやなんて、一生言えへんし、言うつもりもない。 唯一出来る事と言えば、「がんばれよ」なんて言いながら、彼女とのことを応援してやることぐらい。 なんや、健気やねぇ、僕も・・・。 自分で言うのもアレやけど、自分で言ってやるしかないやろ? 18歳の自分は、もう大人なのか、それともまだ子供なのか? それもよく分からないままで、 ただひとつ確かなことは、確実に毎日が過ぎていくということだけ。 「もう疲れたな」って、一人になると、そんな弱気な言葉が漏れ出して・・・。 自分の気持ちに泣きたくなって、 枕に顔を埋めると、時計の音だけが、やけに耳に残った。 カーテンの隙間から覗く細い月。 点滅する留守電の赤いランプ。 それはいつもと変らない日常で、僕の気持ちも変ってはくれない・・・。 曇った夜空が、星達を隠していた・・・・。 ++++++++++++ くだらない会話。 耳に入る綺麗事。 くだらないと思うのに、その会話に笑顔で付き合い、 友人からの相談に、気がつけば綺麗事を言っている自分。 一体いつからそうなってしまったのか・・・? 自分でも気付かないうちに、少しずつ汚れ始める。 悲鳴をあげるもう一人の自分をどこかにしまいながらも、 その自分に向かって助けを求める。 そんな自分を、素直じゃない部分が押し込める。 傷つくことを恐がって、 素直になるのを躊躇って・・・。 でもまだ大丈夫。 多分まだ演じられる。 悲しい顔を君に見せることなく、もう少しだけなら、やっていけそうだった・・・。 ++++++++++ それなのに、そう思っていたのに、 もう僕の心が、壊れてしまうんじゃないかと思った。 光一が彼女と2人でいる所を、僕は見てしまった。 僕の知らない顔で笑う光一。 そんな彼を、すごく遠くに感じた。 でもそれは最初から分かっていたことで、 僕が勝手に好きになって、勝手に傷ついて、泣いてるだけ。 愛して欲しいなんて望まない。 だからこのまま傍にいさせて欲しい。 例え心が壊れても、それを見せたりしないから。 ・・・ココロの破片がなくなるころに、きみは何をしているだろう・・・・。 ***END***