『緑の風が吹いてる丘で〜前編〜』 俺があいつへの気持ちに気づいたとき、あいつは恋をしていた。 相手は担任の教師で、あいつは本気だった そんなことのショックが覚めぬうちに、俺は偶然見てしまったんだ あいつの父親と教師の不倫現場を・・・ だから俺は反対した あいつを傷つけたくなかったから・・・。 あいつが傷つかないようにしてやる、 それが、このやり場の無い気持ちの中で、唯一俺に出来ることだと思ったから。 そんな時、あいつは俺に話してくれた。 父親に対する、本当の自分の気持ちを 俺は黙って聞いていた。 なぜかそれが、一番良いような気がして・・・・・。 今だけでも、そばに居たいと思った。 それからしばらくして、2人の噂が広まった。 そして倉橋は甲斐を避けるようになったんだ それを知った俺は、倉橋の元へと向かった。 英語教材準備室で、志帆が用意をしていると、ふいに武司が入って来た。 「何か用?」 「・・・藤木の父親と付き合ってるんじゃないんですか?」 志帆が目を見開いた。 「偶然見たんです。先生と藤木の父親が一緒に居る所。なのに・・・どうしてあいつと?先生・・・・・」 「別れたわ、あの人とは・・・捨てられたって言った方がいいかしら・・・質問はそれだけ?」 「俺は、人を好きになる事は、もっと純粋なものだと思ってた。 あいつは人を疑う事を知らない・・・・。自分を傷つけても、決して人を傷つけない、そんなあいつをあんたは利用したのか?」 武司は、今の自分の気持ちをぶつけた 「復讐か?って、あの人に聞かれたわ」 志帆の表情に武司は息を詰めた 「相沢くん、そんなに心配なら、あなたが忠告してあげたら? 藤木くんに事実を話して・・・・・・そうすれば彼も二度と私には近づかない」 甲斐は図書室にいた。 周りにいる生徒達が囁きあっている 「皆の目が気にならねぇのか?」 武司は甲斐に声を掛けた 「別に・・・悪いことをしてるわけじゃない」 「理屈を聞いてるわけじゃねぇ、お前も倉橋もこのままじゃすまない。 藤木、諦めろ、いくら好きでもどうしようもないことだってあるんだ・・・・」 そう、どうしようもないんだ・・・・どんなに好きでも・・・・・。 それ以上言うことをためらった武司に甲斐は言った 「人を好きになったことあるかい?一分でも一秒でもその人と一緒にいたい。 初めてだよ、こんなのは・・・・・。あんなに悩んでた父さんのことも、今はちっぽけにしか思えないんだ。人を好きになる気持ちは、きっと悲しみより強いのかもしれない」 ・・・・分かってる、ずっと一緒に居たい気持ちも、こんな気持ちに初めてなったことも・・・俺も同じなんだから・・・。 だけど辛いんだ・・・好きになった分だけ、どんどん苦しくなっていく・・・。 武司はそれ以上何も言えなくなってしまった。 「心配かけてすまない、けど、きみには分かってほしいんだ」 武司には、もうどうしていいのか分からなくなってしまった・・・・・。 ***続く***