「嘘?!マジで?!」 光一の部屋に、長瀬のバカでかい声が響いた・・・。 あれはいつだったか・・・。 俺と剛がまだ付き合いだす前。 そう、あの日俺は剛に告白されたんや。 もちろん、愛の告白っちゅう奴を・・・・・・。 話は4年前に遡る。 前から俺の剛への気持ちについて相談しとったおっちゃんに、俺は即行ベルで連絡した。 『ツヨシ二コクハクサレタ』 その後すぐにおっちゃんからも連絡があり、仕事が終わってから俺の部屋に来ることになった。 「良かったな、光一!!でもやっぱりさぁ、つよちゃんも光一のこと好きだったんだね!俺が前にも言ったじゃん!!」 そう言って、長瀬が光一の肩をバシバシと叩きまくる。 しかし、嬉しいはずの光一は、ずっと押し黙ったままだった。 「・・・・まだ、返事してない」 「へっ?どういうこと?」 「返事は、ちょっと待ってくれって・・・・」 「そう言ったの?!なんで?光一ずっとつよちゃんのこと好きだって言ってたじゃん!!」 長瀬が驚くのも分かる。 光一だって、ずっと前から剛のことが好きだったんだから、剛に告白されて、そりゃあうれしい。 けど、正直驚いた。 まさか、剛が自分のことをそんな風に想っててくれてたなんて、考えてもみなかったから・・・。 そりゃあそうなったらいいなぁ〜とか、そういうことを考えなかったわけじゃないけど、 それはあくまで自分の妄想なわけであって、剛の口からはっきり聞いたときは、 夢かと思った。 でも、どうやらそうじゃないらしい。 その時、どこか冷静な自分が、一瞬で色んなことを考えた。 俺達は男同士で相方で・・・。 剛は俺といて幸せになれるのか・・・? 俺は剛のことを幸せに出来るのか・・・? もしかしたら、出来ないかもしれない・・・。 剛を苦しめるだけかもしれない・・・。 そう思った。 かといって、断ることも出来なかった。 剛の気持ちが、ほんまに嬉しかったから・・・・。 「で?、結果言った言葉が返事は待ってくれ?」 呆れるように言った長瀬に、光一は頷いた。 「なんで?つよちゃんから好きだって言われたんなら何も問題ないでしょうが?」 あ!勢いで押し倒しちゃったとか?!などと言っている長瀬の頭をふざけんな!と叩いた光一だったが、 また重苦しい雰囲気を纏い始めた。 殴られた後頭部をさすりながら、探るように光一の顔を見ていた長瀬は、急に『まさか!!」という顔になった。 「もしかして、男同士だからとか、相方だし・・・みたいなこと考えてないよね?今更・・・」 「・・・・・・・・・・・・・」 何も答えなくても、その顔が図星だと言っている。 「・・・・・バカじゃないの?」 「そんなこと言うけどな、実際そうなったら色々考えてまうやろが!!」 いつもと違い、ウジウジと悩む光一に、とうとう長瀬がキレた。 「ちょっと光ちゃん!さっきから黙って聞いてりゃあね・・・」 「黙ってへんやろ・・・」 長瀬のキレように、光一がぼそりと呟く。 しかし、そんな呟きも、今の長瀬には届いていないようで、彼は更に声を張り上げた。 「世の中にはね、いっくら相手のこと想ったって実らない恋はたくさんあるんだよ?! それなのに、両思いの相手との恋を、光一は男同士だからって理由で諦めようとしてんだよ?! そんなことしてたらね、バチ当たるよ、バチ!!」 そう叫び終わった長瀬は、相当疲れていたらしく、ふっと意識が途切れたかと思うと、 テーブルに突っ伏して寝てしまった。 すぐにグーグーと寝息を立て始める長瀬の寝顔を見ながら、 さっきのすごい剣幕に、想いの通わない片思いでもしてるのかと心配にもなったが、 このさいそんなことはどうでもいい。 何はともあれ、この親友の言葉によって、光一は全てのことを決心したのである。 今の2人の関係は、彼無くしては、無かったと言えよう・・・。 この日から2ヶ月後、長瀬は、今度は剛から相談を受けることになる・・・。 「なぁ、長ちゃん、僕って魅力ないんかなぁ〜?」 「え?なんで?」 「だって・・・」 そう言った剛は、自分で言って真っ赤になった。 それを見て何かを察した長瀬は、まさかと思いながらも聞いてみた。 「もしかして、まだ光一何もしてこないの?」 それにコクリと頷く剛に、長瀬はめちゃくちゃ驚いた。 「あいつって、本命には慎重なタイプだったんだ・・・意外だ・・・」 ぼそっと口から出た言葉は、剛には聞こえなかったらしく、「何?」と聞いてくる。 「いや、なんでもない・・・・あ、でも、光一だって、つよちゃんのこと大事に思ってるから中々出来ないんじゃない?」 「そうなんかなぁ・・・・・」 「そうだよ、きっと!」 「そっかなぁ・・・」 「うん、うん!!」 2人の事には、これから先も何かと引っ張り出される羽目になる長瀬智也。 彼に幸あれ・・・・・。 ***END**** 佐倉ゆきこ