縁側に二人で座ってそっと肩を抱き寄せると、くたりと頭を肩に預けてくる。 「スタッフさんに見られたらどうすんねん」 甘えた口調で抗議する剛に、少しだけ笑って言い返した。 「離れまで来るような勇者はおらんやろ」 「確かに…」 舞台が終わったご褒美に用意されていたのは、番組の企画とはいえ剛と箱根で一泊旅行という嬉しいものだった。 番組的には剛を呼ぶ事によって、剛だけのファンもテレビの前に引っぱり出し視聴率を稼ぐことが出来る。 事務所的にはいつまでも消えない解散説を払拭する為に仲がいいことを自然にPRする事が出来る。 俺たち的には、仕事という免罪符を片手に、一緒にいることが出来る…っと、正に一石二鳥どころか三鳥モノの仕事だった。 カメラが止まりスタッフに挨拶をして、明日の確認をとれば完全なプライベートタイム。 離れの和室を完全に剛と二人きりで使えると聞いた時には、顔の筋肉が緩むのを押さえるに必死だった。 「月が綺麗やなぁ」 のんびりとした剛の声に誘われて見上げれば、ここ数年見たこともないような満天の星空に、ぽっかりと浮かぶ月。 その凛とした美しさに二人でしばし見とれた。 「こおちゃんは月みたいや」 「月?」 「うん。冷たくて綺麗で。孤高なトコなんて、そっくりやわ」 そう言うと上目使いで覗きこまれ 「舞台見てな、思ってん。こおちゃんは月やなぁって」 そして、そっと瞳が閉じられる。 少しだけ開いた唇に、長いこと閉じこめていた欲望がぞろりと蠢いた。 そのまま引きよせられるように自分のそれを重ねる。舌は簡単に剛の口腔に招き入れられた。 熱い剛の口腔を舌で丹念に楽しむ。お互い飲みきれない唾液が口許から溢れたが知ったことではない 散々その感覚を楽しんでから解放してやる。 「…はぁ……」 濡れた唇から吐息が漏れた。力の抜けた身体がくたりと寄りかかってくる。 肩に置いていた手はそのままに、もう片方を剛の膝裏へ入れ、ふわりと抱き上げる。 「こおちゃん、腰は??」 驚き見開かれる剛の瞳を覗き込む。 腰が弱い俺が無理な体勢から抱き上げた事に抗議している剛の姿が愛しくて。 つい笑いながら言葉を紡いだ。 「月はな、太陽があるから輝けんねん」 「は?それ何?」 「わからんかったら、えぇねん。それより。…しよっか」 ◆   ◆   ◆ いつものベッドではなく旅館の布団に剛が身体を投げ出しているという姿に興奮した。 首筋に舌を這わせると、剛もいつもより大きく身体をふるわせる。 浴衣の合わせ目からするりと手を忍ばせると、びくんと身体が跳ねた。 「何?いつもより感度えぇやん」 わざとからかうと、大きな瞳が悔しそうに睨み付けてくる。 その姿は可愛らしい以外なにものでもなくて。少し笑えた。 ◆   ◆   ◆ 月は衛星だから自ら輝く事は出来ない。 太陽という、ガスを核融合反応することにより光を放つ恒星の光を反射して輝いている。 月は輝く為に永遠に太陽を求め続けるのだ。 「だから、俺は永遠にオマエを求めるんよ……」 囁く声は気を失ってしまった剛に、果たして届くのだろうか…… +++++++++ 【祝福屋】のうたたねさんからのいただきものでございます。 記念すべき、サイトへの初いただきもの! お姉、ありがとうね。 今度一緒に交換小説ぜひやりましょう! お姉の小説のように、余韻の残せるようなお話を書けるようになりたいっす。 来年の目標だな〜・・・