■■下痢■■

下痢はいろいろな原因で起こる病気です。簡単なようにみえて、実際に下痢の原因を特定できることはほとんどなく、推測により治療を始めて治ればOKという曖昧なことが多いかもしれません。飼い主さんには下痢の原因が何なのかということよりは、急いで病院へ行くべき症状と、下痢を起こす可能性のあるもの(原因とはちょっと違います)をいくつか理解してもらえたらいいと思います。ただし、子犬や子猫などまだ幼い場合は、どんな症状でも下痢などがみられたらすぐに病院に行って下さい。

■■症状■■

水っぽい下痢を大量 にする

こんなときはすぐに病院へ行って下さい。 動物は小腸で大部分の水を吸収しますが、水のような下痢がたくさん出るときは、 小腸性の下痢の可能性があります。小腸では水の他に栄養素のほとんどを吸収するので、 小腸の調子が悪いと栄養を吸収できず、脱水して痩せていってしまいます。 こんなときに薬を飲ませるだけでは回復しにくいので、点滴など特別な処置が必要になると思われます。 また、アレルギー疾患などでも腸炎を起こすことがあり、 そういった場合は水のような下痢を吹き出すぐらいに排泄することもあります。


血便

もしも飼い主さんが飼っているのが子犬や子猫、あるいはワクチン(狂犬病ワクチンではなく混合ワクチン)接種をしていない場合に、大量 のどす黒い血便を大量にするようなときは、緊急で行ってみた方がいいかもしれません。非常に死亡率の高いパルボウイルス感染症という病気の可能性があります。ワクチン接種をしている場合、それ程急ぐ必要なないかもしれませんが、腸炎をおこしていることも考えられます。人でも時々便に血が混じることがあるかもしれませんが、キレイな赤い血が混じっていたら、大腸癌などとの鑑別 が必要になるでしょう。下痢の状態によっては当然炎症が起きているわけなので出血することもあります。また、 ある種の寄生虫感染でも出血がみられます。


便の形はあるが何度も排便する

あるいは粘膜のようなものが混ざっている場合、大腸性の下痢をまず考えます。大腸は栄養の吸収はあまりないので、 小腸性の下痢ほど痩せ衰えるということはないと思われますが、 大腸性の下痢単独で発症しているのかそれとも小腸性の下痢も伴っているのかの判断が必要となるので、 病院で診断してもらって下さい。また長期にわたって軟便を排泄し続けている場合は、 アレルギーの可能性もあると思われます。


その他

下痢には実に様々な症状があり、また飼い主さんのとらえ方によっても症状の解釈が違ってきます。 もしも上記のような症状とは異なる下痢の場合、今ここで私にも判断はつきませんが、 緊急か緊急でないかの判断は飼い主さんにまかされます。下痢によっては自宅でのある程度の処置で治ってしまうものもあります。 下記に記した方法を試す余裕があれば、症状がひどくならない限りやってみるのもいいかもしれません。 しかし、緊急でないように見えても、寄生虫による下痢や腸内細菌のバランスの崩れなど、 薬でないと治らないものあるいは薬で回復の補助をしたほうがよいものなどがあります。 自分で判断のつかない時や、2、3日待っても下痢が止まらない場合は、病院へ行って、 自分の行った処置についても説明した上で診断してもらいましょう。

 

■■治療■■

ここでは緊急でない場合、あるいは病院から薬をもらって帰ってきた場合の自宅での看護のしかたについて説明します。

緊急でないと判断し、心に余裕がある場合は、2、3日この方法をやってみて下痢が止まるかどうか確かめて下さい。ただし心配性な人にはお勧めしません。また、子犬や子猫もこの限りではありません。
犬猫の下痢には、ストレスが加わった場合や、人と同じように腐ったものを食べてお腹をこわす、といったような場合の下痢も当然あります。与えているドッグフードやキャットフードがドライの場合、わりと見逃しがちなのが賞味期限です。特に梅雨から夏場にかけては、古いフード与えてお腹をこわしてくる子が多くなります。また、ドライフードを紙袋などに入れてみるとよくわかりますが、結構脂肪分を含んでいます。脂肪は古くなると酸化してしまい、体にとってよくありません。最低でも1ヵ月で食べ切るぐらいの袋の大きさのフードを買って下さい。賞味期限は開封前のものなのでそれもお忘れなく。


さて、そのような「単にお腹をこわした」タイプの下痢の場合、あるいは病院でそのように診断されて病院から薬をもらって帰ってきた場合、自宅での処置で治ってしまうことがよくあります。病院で出される薬もそんなに強いものではなく、回復の助けになるものであることが多いかもしれません。このような場合自宅で一番最初にやらなければいけないことは、食餌をストップさせることです。吐いたりしていない場合は、水はあげてもかまわないでしょう。人でもお腹をこわしたらしばらく食事をとらないのが一番です。おかゆなどはある程度落ち着いてから考えることです。動物の場合も同じで、24時間から48時間は止めてみて下さい。そうすることで腸が自然に休まり、自分で回復することもあります。下痢が止まると今度はしばらく便がでなくなることもあります。48時間以上食餌をあげないことはないようにしてください。48時間食餌を止めても下痢が止まらない時はすぐに病院へ行って下さい。くれぐれも下痢が止まるまで何日も御飯をあげないなんてことがないようにして下さい。


下痢が止まったら、食餌を少しずついつもより回数を多くして与えます。その時の食餌はゆでたジャガイモ、白かゆ、カッテージチーズ、ゆでたササミ、牛の赤身、ヨーグルト(発酵乳)、などを与えます。これらはいわゆる脂肪分の少ない食餌で、考え方は人の場合と一緒です。下痢が完全に止まったら、食餌は徐々にもとも食餌に戻して下さい(当然食物アレルギーなどではない場合)。いつまでもこのような脂肪分のない手作りの食餌を与えていると、今度は栄養不足になってしまうので注意して下さい。


下痢をしている間は、ジャーキーなどのおやつはもちろん、牛乳やチーズ、バターなどは与えないようにし、 ドッグフードも処方食以外は食べさせないようにしてください。下痢に対応する処方食もあるので、 使ってみたい場合は病院に相談して下さい。下痢の時にふだんあげているフードをあげないほうがいい理由は、 脂肪分などの理由のほかにもう一つあります。下痢の時の腸はいたんでいるので、 蛋白質や脂肪を大きな形のまま吸収してしまうことが考えられ、 普段のフードの中に入っているそういった栄養素をそのままの形で吸収してしまうと、 それがアレルギーの原因になることがあります。 簡単に言えばそのフードに対してアレルギー反応を示すようになってしまう可能性があり、 今後下痢が治ってもそのフードを与えられなくなってしまうことになりかねかいからです。 普段自家製の食餌を与えている場合は、逆に下痢の時は下痢用の処方食を与えた方がいいかもしれません。

■■検査■■

おそらく単純な下痢の場合、最も最初に行う検査は糞便検査です。糞便検査は寄生虫感染や腸内細菌のバランス、未消化物の確認などができ、下痢の原因を推測する助けになります。糞便は新鮮なほどよく、多分病院で採便するとは思いますが、下痢の状態を観てもらうためにも、自宅から一番新しい下痢便をサランラップやビニル袋などに入れて持っていくことがベストでしょう。
重篤な下痢の場合うあアレルギーが疑われる場合は、血液検査や特別検査をすることがあるかもしれません。 獣医師の話をよく聞いて理解してください。

■■まとめ■■

下痢をおこす原因には内臓の病気やアレルギー、病原性大腸菌やウイルスなど、重症になるものもあります。 慣れている人は緊急か緊急でないかの判断がある程度つきますが、 心配でどうしたらいいかわからないという人は必ずどんな症状でも病院へ行って下さい。 また、子犬や子猫は上記であげたような「食餌をストップするやり方」を試すことができません。 幼いうちはエネルギーを体にたくわえる事ができないため、 食餌をストップすることですぐに低血糖などを起こすことがあるので止められないのです。 したがって、子犬や子猫の下痢はとてもやっかいで、ほっておくと最初はたいしたことがなくても、 どんどん悪化してしまうこともあります。子犬や子猫を飼う場合は、感染症や体質、病気などは仕方ありませんが、 飼い主さん自らが下痢を起こさせるようなことがないような食餌を与えて下さい。


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