膀胱穿刺
まず膀胱にパンパンにたまったオシッコを出します。その場合、お腹を軽く押して出なければ、膀胱穿刺といって、お腹から針を刺して尿を直接抜きます。「お腹を押す」と簡単に書いてはいますが、飼い主さんは絶対にやらないでください。お腹を押して出ない場合というのは尿道に石がつまったり、尿道が炎症を起こしてふさがってしまったりして、尿の出口がないことをしめしています。そんな時に無理矢理お腹を押しては、膀胱がお腹の中で破裂して、腹膜炎を初めとするとんでもない事態になってしまうからです。
点滴
血液検査で腎臓機能に異常がでてしまっていた場合、膀胱穿刺により膀胱をある程度楽にしたら、あるいはそれより先に点滴を開始します。尿が長期間体内にとどまっていたことと、極度の脱水により腎臓の機能は落ちてきています。一刻も早くその状態を脱出しなくてはいけません。
尿道カテーテル
膀胱穿刺で尿を抜くことができても、膀胱には石や結晶があることが多いため、ほとんどの場合は尿道カテーテルを挿入して膀胱の中を何度も洗います。ただし、炎症を起こした尿道は狭くなっていたり、ふさがっていたり、途中に石がつまっていたりするので、簡単にカテーテルが入らない場合もあります。カテーテルが入ったら、膀胱を洗うことで、多少は砂が洗い流されて減ると思われますが、完全になくすことは難しいでしょう。尿道閉塞を起こした(つまってしまっていた)猫では、しばらくカテーテルをつけたままにし、オシッコを垂れ流しの状態にしておきます。炎症を止めるための薬を投与して、落ち着いた後にカテーテルをぬ
きますが、当然またつまってしまうこともあります。
カテーテルを使用するこの方法には、色々な議論があります。カテーテルを入れることで感染が起きやすい状況をつくってしまったり、尿道を傷つけて逆に炎症を広げてしまったり。鎮静剤を使うか使わないかも獣医師によって違います。けれど、下部尿路疾患における尿道栓塞の場合は緊急を要するため、上記のようなリスクをおっても命を救う方が先であると考えます。
食餌療法
尿道がふさがってしまう原因にはもちろん腫瘍や炎症による閉塞など様々ありますが、猫の場合はほとんどが尿石症による尿道の閉塞が原因で、膀胱炎も細菌感染よりは石により膀胱粘膜が傷ついておこることのほうが圧倒的に多いようです。したがって、尿石症と同じような食餌管理あるいは薬による治療が必要になってきます。ややこしいけれど、尿石症になることで膀胱炎になりやすく、また逆に(特に犬の場合細菌感染による)膀胱炎になることで、尿石症になりやすくもなります。
外科手術
何度も何度も「またオシッコがつまった」といって病院へ通
うことになってしまう猫には、外科手術をする場合があります。オス猫の場合はメス猫よりも膀胱から尿道口までの距離(尿道)が長く、石が詰まりやすい構造になっています。そのため、陰茎を切って先のほうの細い尿道をなくしてしまう(早い話が女の子のような状態にしてあげる)ことで、石の詰まる確率を下げてあげるというものです。ですが、術後の管理が大変で、感染性の膀胱炎を起こしやすくなり、それを繰り返すということも少なくないため、現在ではあまり勧められていません。尿道はどんなに狭くても、その子のサイズであって、今まで尿がでていたのですから、炎症が起きる前の状態に戻してやれば、理論的には尿がでるということになります。ですから、陰茎マッサージをしたり、内科的な治療をしたりするのが第一選択であると思います。
内服
薬は主に炎症を抑える薬が使われます。猫の場合細菌感染による膀胱炎は犬より少ないので、抗生物質は使われないこともありますが、尿道カテーテルを入れたり、手術をして尿道をいじったりしている場合は、大事をとって抗生物質が処方されることもあるでしょう。