ローラという名前は、予定通り父が付けた。
米国TVドラマ「大草原の小さな家」のヒロイン「ローラ・インガルス」からきている。
活発で利発で家族思いの少女。
まさに理想である。

1996年11月末
ウチに来たローラは、非常にいい子であった。
鳴かない・壊さない・走り回らない・・・今では信じられない?!

家族となって1週間程たった頃、いつも母が行く喫茶店のママさんが犬好きの常連のお客様を伴ってローラを見に訪ねてきた。
そのお客様には母もよく喫茶店でお会いすることがあり、自らも飼っておられるワンコについて良く話をされていた。
市内や近郊に数店舗を持つアパレル会社の社長Mさんである。
屈託の無いダンディーな方で、どちらかと言えば猫派のママさんに付いて私とローラにお土産を持ってこのむさ苦しいウサギ小屋に入って来られたのである。

Mさんは、ローラを見るなり眉も目尻も下げて「お〜よちよち!ローラちゃんでちゅか?」といきなり赤ちゃん言葉で呼びかけた。
母もママさんもちょっとそのギャップに耳を疑ったが、すぐに二人で顔を見合わせ「ぷぷ・・」と笑いあった。
まるで孫をあやすおじいちゃんであった。
Mさんは早速お土産のジャーキーを取り出しローラに差し出したが、ローラはお座りしたまま不審そうにMさんとジャーキーを交互に見比べるだけで、口にする気配を見せなかった。
「そうか・・・ローラちゃんには、これじゃまだ大きいか・・・」
そう言ってMさんはジャーキーを小さく千切って、今度はローラの口元に直接手で差し出したが、それでもローラは頂こうとせず母の方を見てその目で何かを訴えていた。
母がまさか・・・と感じながらも「ローラいただきなさい。・・・よし!」と言ってみた。
その言葉にローラは安心したように・・しかし恐る恐るMさんの手から小さなジャーキーを口にしたのである。
これには、Mさんのみならず母も驚いた!
たかだか生まれて2ヶ月ほどの子犬が、飼い主の許可無く他人から物を貰わないなんて??
我が家に来て、当然のことながらご飯の際に「待て」と「よし」は教えてはいたが、今回の場合は「待て」の指示をしてはいない・・・
となると、「飼い主以外から物を貰ってはいけない」と彼女は知っていたのか?
しかも・・・この母が飼い主で、Mさんは他人であることも理解しているというのか?
これはスゴイ!!
おまけにMさんはこのことにエラク感動して「ローラちゃんはすごいな〜〜」と言いながらローラをいきなり抱き上げた。
ローラはジタバタしたり逃げようとしたりはしなかったが、その目は明らかに母に向けられ助けを求めているようだった。
「へ〜〜〜来てたった1週間くらいで、こんなに飼い主に懐くものかな〜〜」とMさんは感心している様子であった。
母もそれには驚き、そしてとても嬉しく思った。
ローラは、天才だ!!(オヤバカ)と本当に思った瞬間である。
しかし・・・神童も後はタダの人・・・犬も例外ではないようである。

ローラ誕生