幻想妖魔旅館
栞 vs グラシャラボラス編

赤き月が昇る上空に二つの影が揺らめく・・・
「oh なんて赤い月だ・・この赤き月の元この大地も貴方の鮮血で染めてあげましょう・・」
グラシャラボラスはそう言うとマントを翻した、遠くでもひしひし伝わる強烈な魔力が伺えられる。
「く・・・なんて力なの・・でも私は負けませんわ!えーと・・えーと・・・『グラタン』さん!」
その突拍子もない発言に悪魔は失落する。
「NO!何言いますかエンジェルガール!ミーの名は『グラシャラボラス』デース!」
「グ・・グラ・・タン・・」
グラシャラボラスにはおちょくっている様に聞こえるが、栞は本気である。
「そこまで私を本気にさせますか・・エンジェルガール・・・」
グラシャラボラスが指を鳴らすと、魔方陣から赤い獣が現れた、かなりの大きさである
「犬?いやそれよりももっと大きい・・それに全身が血で・・・」
「まずは・・こいつで貴方の実力を試させて貰いマース・・GO!『ブラッドハウンド』」
赤き獣は屋根伝いに栞に襲い掛かってきた
「こんな犬、空中に逃げれば・・」
栞は白き翼をはためかせ、空中へと飛んだ・・・・が
「チッチッチッ甘いですよ・・・エンジェルガール・・」
赤き獣の背中から突如真っ赤な翼が生え、飛び上がってきた!
「嘘でしょ!こんなの!!」
栞は慌てふためき逃げるばかり、一方グラシャラの方は何処からか机とテーブルを出し
紅茶を飲みながら観戦していた。
「どうしました、エンジェルガール・・そのままだとそいつに食い殺されますよ!HAHAHA!」
その言葉に腹を立てた栞は、身を翻し、術符を目の前に翳した
「相手は血、そして獣・・・とすれば術はこれ!」
栞は目の前に術符を五法星の形に配置すると、印を結んだ
「灼熱の魂とその熱き炎によりて、汝の敵を焼き尽くせ!『炎竜召喚!』」
中空の術符に赤き炎が纏い、その魔方陣より灼熱の竜が召喚された!
「炎竜!その犬とグラタンさんを食らい尽くしちゃって!」
炎竜は一直線にブラッドハウンドに襲い掛かった、血で出来ているとしても獣は獣
さすがに炎は苦手らしく、後方に下がり逃げようとした・・が
それより先に炎竜が食らい付き、血が沸騰する音と共に飲み込まれた・・・
「よーっし、次はグラタンさんに・・・いっけーっ!!」
炎竜は次にグラシャラボラスに襲い掛かった
「ほほう・・これはまた、面白い物を・・・しかし・・・」
炎竜は余裕の表情のグラシャラボラスを一口の元に飲み込んだ!・・・が
突如、今度は炎竜の身体が大きく膨らみ、破裂した・・・
「そ・・・そんな・・・」
グラシャラボラスは片手を挙げ、以前余裕の表情である、そして辺りには、細かくなった火の粉が舞っていた・・
「なるほど・・・確かにかなりの腕前ですが・・私には通じません、さて・・今度は此方の番デスカ?」
グラシャラボラスは両手を挙げると、上空に雷雲が突如として現れる
「翼もろとも焼け落ちなさい!『ルーディング・バルス!』」
上空からまるで意思を持ったかの様に雷が栞目掛け放たれる!
「雷・・・それなら!!」
栞は地上舞い降りると、地面に術符を付け唱える
「大地に眠りし障壁の気よ、雷の気を受けて大地へと戻せ『地衛晶!』」
栞の上に茶色で大きな五法星の形をした障壁が現れた
雷(電気)は大地に戻す・・・五行相克ではないがそれに似た術式対応がこの世界にはある。
雷は全て障壁に阻まれ、栞は無傷である。
その後、グラシャラボラスが炎を出せば水にて対応し、氷を出せば雷にて打ち消す・・
つまり・・炎<水<氷<雷<大地<風<炎・・となるのである
「チィッ!小娘が・・ならば!」
グラシャラボラスは中空から剣を取り出し、栞に襲い掛かった
栞は術式タイプ、麗牙や棗のような接近戦は大の苦手である
栞はそれでも小刀にて一撃を受け止めるが、小刀は衝撃によりはじかれる・・
「く・・・」
グラシャラボラスは剣を栞の喉元に突きつける
「ふふふ・・魔界の魔導師といわれるこの私がまさか接近戦に出るとは・・
だが、これで終わりです、エンジェルガール!貴方の魂はこの私がもらいマース!」
絶体絶命の栞にグラシャラボラスは剣を振り上げ打ち下ろした!
その瞬間である、グラシャラの打ち下ろした剣は砕け、脆くも灰になり崩れ落ちる・・・
そして、栞の身体はまばゆく光り輝き、オーラを纏って中空に浮かんでいた
「な・・・何事・・」
突然の眩い光りに眼を覆ったグラシャラ、次の瞬間、絶大なまでの魔力の波動が彼を襲った
「こ・・・これは・・・」
そこに浮かんでいたのは栞であり、栞ではなかった・・・
全身光に包まれ、絶大なまでの魔力が身体から放出されている。
そう・・・栞はピンチに陥った時、『オーバーヒートモード』に突入するのである
そして栞は片手をグラシャラの方へ向けるとこう言い放った
「・・・・死になさい・・・」
この言葉にグラシャラは大いに怒り、学者風の姿から一遍、黒尽くめの悪魔の姿に戻り栞に襲い掛かった
「ふんっ!姿が変わったとて何が出来る! 死ぬのは・・貴様だぁーっ!!」
グラシャラは指の先から長き爪を光らせ、一気に間合いを詰めた・・・・・・が
「・・・・無駄よ・・・」
栞の片手から無数の光の矢が放たれ、突進してくるグラシャラの身体を貫いた
「ク・・・グゥゥゥ・・・」
グラシャラは光の矢を受け、屋根に落下した・・・聖と魔、相反する属性の攻撃は
グラシャラとって致命的なダメージとなった。
「・・・まだやる気・・」
上空からグラシャラを見据える栞、普段のおっとりした感じは欠片も見当たらない
「マ・・・マダダ・・・コノママデハ・・・アノカタノヤボウガ・・・」
「野望? 」
グラシャラは瀕死の重傷を負いながらもまだ戦う気だ、その身体にもはや勝機などない
「キサマモロトモ・・・ジゴクニィィー!!」
グラシャラは残った余力で接近し栞に掴みかかった
しかし栞は平然としている。
「ワレノイノチノホノオデモエツキヨォォォ−−―ッ!!」
グラシャラの身体は突如発火し、栞もろとも燃え尽きる自滅覚悟だった・・・が
「愚かな・・・消し飛びなさいっ!!」
栞の背中から光の羽がグラシャラを払い飛ばすように広げられた
「ギェェェーーーッ」
その衝撃にグラシャラは断末魔の悲鳴を上げ、身体は四散し光と共に消えうせた・・・
「・・・終わっ・・・た・・・」
栞の身体から光が消えうせ、元の姿に戻るとその場に倒れ込んだ・・・
どうやら気力の限界を過ぎていたらしい
「此方は何とかなりましたが・・麗牙さんや棗姉さまは・・」
栞はフラフラしながらも起き上がるとその場を後にした・・


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