彼女は、とても小さかった。一体どこからやってきたんだろう?と不思議になるくらい、小さかった。そして、彼女はとても愛くるしい姿をしていた。手のひらに乗るほど小さなカラダと、赤茶色のふわふわの毛、そしてまん丸の大きな瞳。どれをとってもかわいかった。チロは、我が子のごとく可愛がったものだ。
しかし、2匹のイヌを飼うなんて事、両親は許さなかった。私たちの知らない間に、チャゲは父の知り合いの工場においてこられてしまったのだ。それを知ったときは、本当にショックだった。父を憎んだ。私自身の幼さを憎んだりもした。
2日後、チャゲは戻ってきた。車でも30分のところにおいてきたというのに、戻ってきたのだ!! その時の喜び、みなさんには分かってもらえるだろうか。あの小さなカラダのどこにそれほどの力があったのだろう? もしかしたら、父は近所の畑にでもおいてきただけだったのかも知れない。でも、そんなことはどうでもよかった。それ以来、チャゲは我が家の一員となった。
成長するにつれ、彼女は人間よりもチロを主人と思うようになっていった。私たちの言う事なんて、全然聞かない子になっていた。かわいい姿にだまされ、怒ることが出来なかったと言うこともあるのかもしれない。
チロとチャゲでは、体の大きさがまるで違う。しかし、餌の量は同じだけ与えていた。そのため、チャゲはコロコロのイヌになってしまった。可哀相に、チャゲは散歩に行くのもかなりおっくうそうになっていた。イヌらしくないイヌだった。
チロが死んで、3〜4年がすぎてからチャゲもチロと同じ症状を見せるようになった。おかしな咳。。。あの時の悲しみがこみ上げてくる。彼女もチロ同様、フィラリアだった。フィラリアとは、心臓に寄生虫が住み着いてしまうと言うものらしいが、どれほど辛かったことだろう。洗濯物を取り込んでいるときに、動かないチャゲに気づいた。
叔父の近所の三つ又へ彼女を埋めた。そして、秋にはたくさんの花に囲まれるようにと、コスモスの種も一緒にまいた。
関東鉄道常総線に乗ったら、宗道駅から下妻駅に向かう途中左側に、コスモスの花がたくさん咲いているのを見かけることでしょう。そこには今も、チャゲが眠っているのです。