自作

デジタル照度計自作 

2001年11月21日 2号機登場!

水槽の明るさやメタハラの比較、劣化を測定する為に秋月電子通商の照度計キットを作ってみました。
市販品1万5〜6千円クラス??の照度計と同じ部品構成(デジタル電圧計とフォトダイオードとアンプ部)で¥2800は安い!
詳しい事はここ
このキットはそのまま組み立てれば即動作って物では有りません。
難易度トップクラスで原理を理解していないとまともに調整する事も出来ないと思いますので、まずは原理から。

原理
付属のフォトダイオードと言う光センサーは太陽電池の親戚で、太陽電池と同じように光を受光すると出力端子から電圧が発生します。
太陽電池と何が違うかと言えば、大電流が取り出せない代わりに暗い光から明るい光まで受光した光量に比例した電流が取り出せます
ので測定器向けです。

だったらフォトダイオードに直接電圧計と抵抗を接続すればいいじゃないか? って考え方も有りますが、それでも結構です。(^o^)
サンタマルタエイジ氏はこの方式で照度計を制作しておられます。 ここ
しかし暗い光での精度が悪くなる事と、レンジ切り替えが不可能なので私の場合キットの内容通りアンプを使用して組み立てました。
ま、メタハラの光量測定に限定すれば精度なんてあんまり関係無いのですけどね。一応いろんな用途用として・・

フォトダイオードの特性として端子が開放や抵抗負荷を接続した場合、受光した光量に比例した電圧、電流が取り出せません。
光量に比例した電流を取り出すには端子を限りなくショートに近い状態にして電流を取り出します。
フォトダイオードと抵抗を並列に接続して電圧を取り出す場合、抵抗をを小さくすれば直線性も上がりますが出力電圧が小さくなります
ので結局アンプが必要になってきます。

今回使用する回路はフォトダイオードの定番中の定番回路で、秋月のキットも同じ回路です。

基本回路図です。
秋月のキットはこの回路を単電源にして調整回路、分圧回路を付けた
物ですが、一応掲載出来ませんのでキットを買った人だけね!オペアンプのイマジナリーショートの特性をうまく利用した回路です。

オペアンプの+、−入力に接続されたフォトダイオードは理論的にショート状態となり、フォトダイオードに流れる電流Ioがそのまま
フィードバック抵抗を流れますので出力電圧 Vo=−IoR で算出出来ます。

出力端子をショートさせた場合の電流−照度特性
あ!・・あれ? 10000LXまでしか無い・・


付属していたフォトダイオードはシャープ製BS520で100LX(ルクス)受光すると0.55μAのショート電流が流れます。
上図の式より、フィードバック抵抗Rが10KΩの場合の出力電圧Voは、
    100LX   でVo 5.5mV
    1000LX  でVo 55mV
    10000LX でVo 550mV
付属している電圧計は200mV入力させると表示が”1999”となります。
太陽光が6月の12時で120000LXありますので、199999LXで表示”1999”とします。
あ!・・・れれれ! このセンサーは10000LXまでしか測定出来ない!
10000LXと言えば部屋の明かり程度ですよ! 
うちの250Wメタハラだって、直下では120000LXありますよ!
まあ普通照度計と言えばカメラの露出を計算する時に使ったり、部屋の明るさを測定するものだから10000LX以上は
必要ないって言えば必要ないけど・・
ちなみに私の会社にある照度計も50000LXまでで、太陽光を測定すると簡単に振り切ってしまいます。

秋月の説明書には「メーカー保証が10000LXまでで実際は15000LXまで直線性が有りますが、それ以上の照度を測定
する場合はセンサーにフィルターを付けてください。」
って書いてあります。
なるほどなるほど・・とりあえず組み立ててフィルター付けてみてそれから抵抗値を調整して199999LXで表示”1999”になる
ようにしましょう。

組み立て

まずは電圧計から組み立てです。 
組み立て自体はpHモニターの時にやっているので(pHモニターと同じ物 抵抗の実装が違うだけ)
楽勝!
半田付けのこつは、素早く適量に!です。
あまり長時間半田ゴテを当てると半田が酸化してしまいうまく付かなかったり、部品が壊れてしまいます。(半田ゴテの温度にもよりますが、4秒以内程度です。)
うまく出来た半田は富士山型で半田に艶が有ります。
初めての方は左の写真を参考にしてください。

組み立てが終わると電池を接続し、入力に200mVを入力してみます。
表示が1999になるようにボリュームを調整。 OK! OK!
ちなみに普通の方に200mVたって無理なので、この調整はしなくてもOKです。
最終的に照度が合えばいい事にします。

次にフォトダイオードのアンプ部の組み立てです。
実はこれが問題・・(-_-;) な・・なんとユニバーサルボードなのです!
ユニバーサルボードって言うとパターンが無いので、部品同士の接続は自分でやらなくてはいけません。
はっきり言って素人には無理! これをキットと呼んで良いのだろうか??
でも、ご丁寧にパターン図が添付されていますので、これを見て接続すれば何とかなるかも?

で・・でもこんなのを見て配線するようではプロのプライドがいたく傷つけられてしまう・・
結局パターン図無視して組み立てました。
わたくし一応製品の試作実験でしょっちゅうユニバーサルボードを組み立てているので、見ないでやった方が確実に早い。
でもHPに載せるには指示通りした方が良かったと・・\(__ ) ハンセイ
ま、参考までに画像を載せます。

早速フォトダイオードを接続して電池を繋いでみましょう。
をを! 光の強さに応じて出力電圧が増減してる。 OK! OK!

ボックスに入れる前にフォトダイオードのフィルターを探しましょう。
条件は200000LXの光が10000LX〜20000LXになれば良いので透過率5%〜10%です。
色つきは駄目! 色温度が変わってしまいますので乳白色が理想です。
アクリルのサンプルを見ていると数種類乳白色が有りましたが、透過率70〜80%なので数枚重ねて使用しないといけません。
いまいちだな〜と考えていたら・・・有った有った!良い物が!
左の物です。 これはシャドウマスクと言ってテレビのブラウン管に入っている物で、薄い鉄板にミクロンの穴が多数空いています。
透過率を測ってみると約10%! ぴったりです!

こんな物 普通は入手出来ないので、作ってみようと思われた方は乳白色アクリル3〜4枚重ねでやってください。


次はボックスに収納!
付属のアクリルケースには基板2枚も入らないので、何か良い物を見つける事に・・
条件として、光を通す事。 色温度が変わらない事(色が付いてない)。
ホームセンターで探していると乳白色の部品入れが有ったのでこれに決定!
透明アクリルケースでも良いと思います。

ケースのふたの部分にフォトダイオードとフィルターを取り付けます。
接着剤では付きそうになかったので、ホットボンドでくっつけてみました。

ケースの電圧計の裏の部分に添付しているシールド(シール)をノイズ防止の為に貼り付けますが、今回無くしてしまったので、代わりに銅箔テープを貼り付けて、電圧計の−V(電池のマイナス)に落とします。

このキットでいまいちなのが、電圧計とアンプ部で別々に006P(9V)の電池が必要な事です。
同じ電池を2個使うのなら一緒に出来ないか?と思われるでしょうが、アンプ部が仮想接地になっている為に一緒には出来ません。 2個載せましょう。
電源スイッチも2個の電池を切断しないといけないので2回路入りを使用します。

ゲイン切り替えスイッチは1C(1回路)のトグルスイッチを付けました。

基板間の接続図です。

最終仕上げではこのように銘板を付けてやりました。 どうでしょ??

配線が終わったら電源ON!
ををを! 光の強さに応じて表示が増減している! 成功ね!

調整

さーて・・それでは調整です。
秋月のキットの説明書では「1000LXを用意して下さい。と言っても容易では有りませんので、100Wの電球直下60cmの所にフォトダイオードが来るようにしてポジションA1/1端子にてDVM(電圧計の表示)が100.0mVを表示するようにF.S.ADJ VRを調整してください」って書いてある

100Wの電球直下60cm??? そんなのでいいの?? ま、仕方無いでしょうね。
私の場合、機材には恵まれているので左の画像のように調光ファイバー光源とセコニックの照度計を用意しました。
その他にデジタル・マルチ・メーターと波形観測用にオシロスコープも用意しました。

まず調光ファイバー光源とセコニックの照度計で正確な10000LXを作ります。
制作した照度計を置いて100と表示出来れば調整OKです。
ええ??あれれ?? 表示が全然違う!! なんで?(@_@)
秋月の照度計のアンプ部回路の計算を見直してみる事に。
ええ? 回路の抵抗値が全然でたらめ! 絶対! 100%! なんで?秋月さん?
だいたいね〜1000LXを用意してポジションA1/1端子にて表示が100.0mVって書いてあるけど、別の所にはポジションA1/1端子は20LXフルスケールって書いてあるのに・・・??1000LX
まで測定出来るわけ無いじゃん!
1000LXでフィードバック抵抗1MΩって事はオペアンプの出力が
    1000/100×0.55μ×1M=5.5V
ボリュームの調整範囲は2.75〜4.125Vなので、1/1端子で電圧計に入力するとオーバーレンジになってしまいます。
これは1/10端子の間違いでは・・・?
しかもアクリルケースのフィルターを通って約1/3に光量が落ちた計算か??
透明アクリルケースで光量1/3になるのかな〜??
どちらにしろフィルターを付けた場合は抵抗値の再計算が必要です!

結局設計し直す事に・・・(;´д`)トホホ
100000LXの光がフィルターを通って1/10になり10000LXになります。
フィードバック抵抗がポジションA 10KΩの場合は
    10000/100×0.55μ×10K=550mV
になりますので、100mVになるように抵抗で分圧して、そのまま電圧計に入力させますと表示が1000になります。

ポジションBも元の回路図通り1MΩにすると
    100/100×0.55μ×1M=550mV
になりますので、同様に分圧してそのまま電圧計に入力させますと表示が1000になります。

これで1/1レンジの測定範囲が0〜100000LXで1/10レンジが0〜1000LXです。
オペアンプから後ろの回路図は左の通り。

200000LXの光が入ると、フォトダイオードに20000LXが入り、入力オーバーになってしまいますが、少々のオーバーは大丈夫でしょ。
厳密に言うと直線性が損なわれますが、そこはホビー測定器と言う事で・・

フィルターへの適合範囲を広める為に調整範囲を広めに設計しましたが、調整しづらいと思われるので、多回転サーメットトリマーを付けてやりました。

まずオフセット調整。
フォトダイオードを外して表示が”000”になるように調整します。

再び調光ファイバー光源とセコニックの照度計で正確な10000LXを作ります。
ゲインボリュームで表示が”100”になるように調整すると完了です。
ポジションをBにすると100倍の表示になるはずですが、合わない場合はフィードバック抵抗1Mを換えてみるかオフセットボリュームを回してみます。(この場合暗い所の精度が悪くなります)

最終的には太陽光の下で、市販の照度計と数値が合うように調整して終わり。

まとめ

はっきり言ってこりゃ手強いです。
残念ながら自信の無い人は諦めた方が良さそうです。
水槽の明るさ限定ならサンタマルタエイジ式がお勧め! 心配だった精度も結構出てるし・・

肝心の精度ですが、人工照明の下ではちょっとの角度、位置の差で大幅に数値が変化しますので市販照度計との正確な比較は無理。
太陽光(平行光)で比較すると、各レンジ共にほぼ数値が合っていましたのでOKでしょう。

ホームセンターでケースを物色していたら、太陽電池式照度計が¥3,400で売られていました!
ショック!
確かに秋月の照度計は¥2,800ですが、スイッチやケースを買っていたら同じぐらいになります。
精度も感度も太陽電池式よりは桁違いに高性能なのですが、メタハラの明るさを測定するぐらいでしたら太陽電池式でもいいのでは・・
ま、探して見て下され。

2001年11月21日 2代目

2台目も作ってしまいました。 
2号機の改良点は
・1号機では250Wランプの直下でオーバーレンジしてしまう事がわかりましたので、2000000LXまで測定出来るようにしました。
・もう少し格好良く作りました。
こんな感じ
スイッチ類はシーソースイッチにしてすっきり!
レンジは×10000と×100
オペアンプのフィードバック抵抗を1/10にして高照度に対応しています。

2000000LXまで測定できる照度計って研究用以外売っていません!
(市販されてるのは50000LXがせいぜい)



測定上の注意!
よ〜く考えると、光源を測定する事ってむちゃくちゃ難しいんです。
光源と光を受ける面には逆二乗の法則って物が有って、照度計と電球との距離が半分になると照度は4倍になってしまいます。
だから測定時は電球からの距離を必ず一定にしないと大きな誤差を含んでしまいます。特に電球に近い場所では照度計の位置がミリ単位で大きく数値が動いてしまいます。
照明器具が違う物の明るさ比較はもっとシビア。 
灯具によっては電球が縦に付いている物と横に付いてる物が有りますので、灯具と照度計の距離を一定にすると後者の方が電球との距離が短い分、高い数値になってしまいます。
反射板の形状の差でも集光型と散光型では大いに差が出てしまいます。

同一灯具で電球の寿命を調べる場合
    必ず灯具から出来るだけ離れた一定の距離で毎回測定しましょう!
照明器具の比較をする場合。
    こりゃ難しい。 出来るだけ灯具から離れた水槽の水面上ぐらいが良いのでは? 目安程度の測定なら・・・

でも1台有れば結構遊べますよ。 どうでしょ?

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