雁字搦め

立っていられない
私の意識はもう正常ではない
湾曲した世界の中で
でっちあげた笑いの中で
優しいはずの雨音が
私の想いを取り上げる
暗闇に慣れ切った心が追いかけるものは
もう既に

胸に詰まる想いを吐き出せもせず
私を包んでくれるものが
今どこを彷徨っているのか
あんなに明るいのに
私には影を落とす

微かに揺らめく小さな炎は
残された光ではなかったか
ぼんやり霞んだ意識は
何のための躊躇か

私が求めていたものは
その場限りの優しさなどではない
わかっているくせに
立ち止まって笑いかける

自己保存だと言う私と
自己放棄だという貴方と
その間を流れる感情に
小さな風を起こし
小さな迷い吹き消す
消え去る前のほんのひととき
私の心照らす

一瞬に擦り抜けた暗闇の中で
私は息をするたびに
ひとつづつ自分を見失う
            1979.2 sami 18歳

                                                by、布袋竹