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1990年に、ある国立病院から、衰弱しきっていた一頭の白い犬が、その見るも無惨な姿を見かねた人達によって救出されました。
シロと名づけられたその犬は、まだ一才くらいで、飼い主の都合によって動物管理事務所に持ち込まれ、実験動物として、その病院に1300円で払い下げられたのです。
発見当時は、実験後の手当てもされずに傷口が酷く化膿し、全身が皮膚病に侵されて、歩くことも出来ないほどでした。
そのあまりに痛々しい姿は、人々の心に強い衝撃を与え、シロの事件をきっかけに、動物実験の残酷な一面が、世の人々に知られることになりました。
「動物実験は医学や科学の進歩のために必要」「かわいそうだが、我々の役にたってくれているのでしかたがない」という声を日頃よく耳にしますが、果たして本当にそれだけで済ませられるものなのでしょうか。
シロの事件が物語るように、動物実験が、使用された動物にこの上ない苦痛をもたらす可能性がある以上、そのあり方については、人間の役に立つのであれば動物に対して何をしてもいい、というものではないはずです。
ところが、欧米諸国では動物実験に関して免許制度や査察制度等の法的な規制があるのに対し、日本には法的規制が全く存在しません。日本においても罰則を伴う法的な規制が必要です。
1999年に改正された動物愛護法でも、動物実験については改正されませんでした。従来通り、実験に差支えない範囲で出来るだけ動物に苦痛を与えないように、となっているだけです。
動物愛護法は2005年に見直しされますが、その時に動物実験についても改正がなされるよう、強く求めてゆく必要があります。
また、動物実験が私たちにもたらす恩恵については、当たり前の事実ですが、動物と人間とは構造的、生理的な違いがあり、薬物に対する反応も異なります。
更に、実験室で人工的に作り出した疾患や障害と、人間が日常生活の中で罹った病気にも違いがあります。そのため、動物実験の結果を人間に当てはめて、思わぬ事態が生じた、ということもあります。
例えば、動物実験に関心のある人なら誰でもご存知のように、かつて(1960年代)、動物実験の段階では安全とみなされたサリドマイドは、人間には大きな被害をもたらしました。その他、ペニシリン、アスピリン、クロロホルム等、種によって反応が違う薬はたくさんあります。
1998年、イギリスでは、化粧品の動物実験全廃が決定されました。ドイツやオランダは法律で化粧品の動物実験を禁止しています。化粧品における動物実験の全廃は、ヨーロッパ諸国に拡がっています。動物実験をしていない化粧品は、動物実験を必要としない安全な化粧品といえるでしょう。
病気の分野でも、人間や動物を機械的にとらえる実験医学は決して唯一万能のものではありません。 生命全体の働きを重視するホリスティック医学にもっと目を向けることは、多くの動物の犠牲をなくしてゆけるのみならず、人間の体にとっても優しいあり方です。
また私たち自身も、病気を未然に防ぐために、日々の生活を工夫することはもちろん必要ですし、他の生命や環境を大切にする生き方は、私達人間の健康を守る生き方でもあると気づく必要があります。
地球に生きる命は全て繋がっているのですから。
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