その13 モモち、地獄をみる!
最近、モモちは『ガム』に凝っているらしい。
今日も、ママちが帰ってくると
「おかえり〜」と口をクチャクチャさせながら、出迎えに来た。
ママち『・・・で、今日は何味?』
ママちも、連続3日目ともなると、怒るより先に呆れてしまう。
今更ながらに「やばい!」と逃げ出すモモちの尻尾を掴まえ、口を開けさせると、ミントの匂い。
ママち『・・今日は、クール○ントガムか?ハァ、まったくも〜っ!』
ガムを吐き出させながら、溜息をつくママちであった。
ママち『何回も言ってるけど、モモちの手の届くとこに食べ物は置いちゃダメでしょ!』
夜、帰ってきたパパちを叱るママち。
パパちは『は〜い。』と気の無い返事をする。口からクー○ミントガムのいい匂いをさせて。・・・
そう、モモちはパパちの服のポケットを漁って、ガムを手に入れていたのである。
しかし、なぜパパちはそんなにガムを持ち歩いているのか?・・・
実はパパち、かなりのヘビースモーカー。1日2〜3箱は当たり前である。
けれど、パパちの健康とマンションの壁紙の為に(黄ばむから)、タバコの量を減らす事を決意。
それで毎日、ガムで気を紛らわせているのであった。・・・
ママち『まだ食べてないだけマシだけど、喉に詰まるかもしれないんだよ!危ないでしょ!』
まだ怒ってるママち。
しかし、パパちは能天気なもので、
パパち『モモちはお利口だから大丈夫。ね〜、モモちゃん!』
とモモちと戯れている。
バカにつける薬なし。・・そんな言葉がママちの頭をよぎる。
確かに今までは、大丈夫だった。でも、この先は・・・?
そう、パパちにもママちにも、この先の事は予想できなかった。
パパちが気を付けるようになってから、我が家は平和な日々が続いていた。
帰ってくる。・・寝癖のついた顔で走ってくるモモち。
平和だ。
けれど、悲劇は確実に忍び寄っていたのである。
ママち『ただいま〜、モモち!モモち〜?』
ママち、今帰宅。もう一度呼んでみるが、
いつも玄関先に走ってくるはずのモモちが・・・こない。
こういう時は、イタズラした時。
ママち、半ば諦めてリビングに向かう。
ママち『・・・・モモち?!』
ママちは見た!
カーテンに顔を突っ込んで隠れたつもりのモモち(♀・2歳)と
モモちの足元に散らばっている『茶色のカス』のようなものを!・・・
ママち『モモち!それ・・タバコでしょ?!食べたのッ?!』
もう大抵の事には動じないママちであるが、今回は青ざめてしまう。
子供にとっては、タバコ数本誤飲すれば『致死量』だと言われる。
まして、小型犬にとっては一本でも危ないかもしれない。
考えてる余裕はない!
ママち、モモちを捕獲して・・・・・・
ママち『モモち!口を開けなさいっ!』
モモち『ウガガガガガガガ・・・・・』
モモち『グエッ!ガッガッガッ!!!』
浴室で、ママちにシャワーヘッドを口に突っ込まれたモモち、ムセまくる。
しかし、ママちはそんな事には構っていられない。
ママち『モモち!早く吐き出しなさい!』
そしてママち、再度シャワーヘッドを突っ込む。
モモち『ウゴゴゴゴ・・・・・』(既に涙目)
その晩帰ってきたパパちが見たものは、・・・・・・・
へたり込んでるモモちとママち。
ママちは、モモちが無事だったという安堵感で一杯だが、当のモモちは
「いきなりシャワーヘッドを口に突っ込まれて、苦しかった」らしく、魂が抜けた状態。
パパち『モモち、・・・・可哀想に・・・・・。』
静かなリビングに、パパちのつぶやき声だけが響く。
尻尾を振る気力さえ無いモモちは、涙の溜まった瞳でパパちを見上げるだけだった。
そして・・この日から、モモちはタバコの箱を避ける様になった。
まさに『身をもって危険な事を学習』したわけだ。
モモちには良い薬になったのかもしれない。
そしてその後のママちは・・・・・・?
ママち『パパち、ママちったら才能あるのかもよ?素質って言うのかなぁ?』
モモち救命活動の後、ママちは
「隠されていた救命救急士の才能が、今、開花したのでは?」
と勝手な勘違いをしている。
パパちは、ママちの戯言を聞き流しながら、今日もガムを噛んでいる。
また平和な日々が続いていく。
ママちの才能が今後必要にならないようにと、心から願うパパちとママちであった。・・・
・・・・・・・・・・・・・・多分、続く。