no.131 夢は「海馬」からの贈り物 (斉藤 聡)
2003/11/12


 先月のこのコーナーで、オスが子育てをするタツノオトシゴの生態を紹介しました。お父さんのおなかにある揺りかごのような袋の中で育つタツノオトシゴの赤ちゃんは、いったいどんな夢を見ているのだろうかという話でした。今回はその続きを書きます。

 夢を食べると言われる獏(ばく)という動物がいますが、人間以外の生き物も夢を見るのでしょうか?

 わが家のいやしん坊の犬・ノワールちゃんを見ていると、寝ている時に口を動かしながらよだれをたらし、声まで出すことがあります。きっと骨でもかじっている夢を見ているのでしょう。少なくとも、犬は夢を見ているようです。

 それでは、夢とはそもそもどうして見るものなのでしょう。科学的には、睡眠中に脳の中にある「海馬」という部分が、起きている間に経験した出来事を記憶するデータとして処理している時に見られる現象と言われています。

 海馬という部位の名称は、脳を断面図にすると、タツノオトシゴ(英語でシー・ホース。つまり海の馬)の形に似ていることから付けられました。私たちが毎日見ている夢は、タツノオトシゴからのプレゼントなのですね。

 漢方薬にも用いられるタツノオトシゴは、疲労回復や滋養強壮に良いとされています。これを飲むときっと、揺りかごに揺られているような良い夢が見られるに違いありません。

 私が小さいころに見た夢、そして思い描いていた将来の夢、もう忘れてしまった夢。タツノオトシゴのことを考えていると、子供のころに置き忘れてきた夢を探しに行きたくなりました。