第六章
            


アタリ、即ヒット。

アルペンスキー、ワールドカップ会場で一躍有名になった雫石スキー場。
そのふもとにあるのが、ここ御所湖である。

それよりも、ダイワ鮎マスターズ東北大会の会場でもある雫石川の支流
竜川がある所と、言ったほうがピンと来る釣り人が
多いじゃないんかと思うのですが(そ〜でもないか)
その下流にあるダムが、この御所湖であります。
春の暖かさに促されるように、山々のが雪代水に変わり
一気に流れ出る5月の連休の前御所湖が満水状態となります。
この一瞬の間だけ雫石駅ウラにナイスなインレットが出現するのだ。
それに合わせるように、ワカサギの産卵がピークを迎える。
それにつられる様に、このインレットにいろんな魚が大量に集結するのです。
すると待ってましたとばかりに、湖にいるアメマスもわかさぎの後を追うようにして集まり
そして釣り人も集まり、お祭り騒ぎとなるのだ。

夕方の4時も過ぎると時合ができ
雫石川がとうとうと流れ込んできているインレットがにわかに騒がしくなってくるのだ。


あばれるんじゃね〜ぞ

1987年当時オラはバリバリのフライマンで、わかさぎをイミテートした
シルバースメルトもどきで、そのアメマスを狙うのでありました。
そしてインレットにできた中州に立ち
ちょうど対岸にある沈み岩の後方の巻き返しの
たるみポイントに照準を合わせわかさぎの群れを追い詰めているアメマスを
ポイントしキャストを繰り返すのである。
時折でかいアメマスが、インレットの重い流れの中を横切るように見えて
とても興奮する光景が見える。 

その当時このアメマスを狙う釣り人は、圧倒的にフライフィッシャーマンが多く
ルアーマンは数える程度しかいなかった。
又、その頃のルアーマンには、まだミノーという武器は知られて無く
もっぱらスプーンで狙うものだから、わかさぎに狂っているアメマスに
当然のごとくソッポを向かれてしまうのである。
たま〜に30cm位のアメマスが間違って掛かるくらいなモンでずる賢い大物は
なかなかヒットしてくれないようだった。

それでもスプーンで、きっちりと掛ける人はいるものでその名人が
この時初めて出会い、知り合いとなったウメさんその人である。
ウメさんの場合、スプーンを使うのは使うのだが、そこは釣り研究家の面目躍如。
釣果を上げているフライマンから当たり毛ばりを貰い受け
スプーンにリーダーを結びつけそこに例のフライを結んだモノ。
ドジャースプーン&キャストトレーラーってヤツですか、そういう釣法を独自に編み出し
尚且つ釣果を上げ、きっちりと答えを出すあたりは
「恐るべしウメさん」シンキングフィシャーマンであった。


イッチョ上がり〜と。

オラがミノーを作り始めた翌年、やはり夕まずめの御所湖。
インレットを意識したのはモチロンのことで、
狂ったようにワカサギを追いかけるアメマスを思い浮かべながら
御所湖のワカサギをイメージし
一冬掛けて作ったのは言うまでもない事である。

雫石駅ウラのインレットポイントが、まだ形成されて無い1ヶ月ほど早い時期。
まだ湖岸には氷が残っている寒い頃です。
出来上がったばっかりの御所湖ミノーのスイムテストを兼ねて
あわよくば「アメマスが釣れれば良いな〜」と
まずは本湖で手慣らしを兼ね、ワクワクしながらキャストを始めるオラ。
答えはあっさりと返ってきました。
それは、ワカサギが騒いでいるような所(ボイル状態)をいち早く見付け
すぐさまキャストをすると、何らかのコンタクトが返ってくるのだった。
もうオラはコレで有頂天となり、このミノーさえあれば
「鬼に金棒」とばかり毎日御所湖に通いはじめ
あらゆるポイントを開拓しては釣果を上げ、一人で悦に入っていたものでした。
そしてしばらくは誰にもミノーの事はしゃべらずに、オラだけで、御所湖のアメマスを
一人占めにしようと考えたセコイおらではありました。


ザットこんなモンでしょ。

その当時では珍しいハンドメイドミノーを誇らしく思ったオラは
どうしても皆に自慢したくなって来たのです。(天狗って奴ですな。)
毎日御所湖に通い、安庭岬に渦が出きる絶好の日を伺いました。
そしてキキミノーのデビューの日は明日に決まりました。
シカシお間抜けなオラは決行のその朝
一時間も寝過ごしてしまい慌てまくりで御所湖にすっ飛んだのでした

一番ポイントである安庭の岬沖に出来ているのICポイントには
ピーターパンのマスターをはじめとしてルアーマンが
好ポイントを独占しオラの入る余地はまったくありませんでした。 
仕方なく誰か空けてくれるのを待っていると
なんと沖合いで30mでワカサギのボイルが始まっているというのに。
もちろんそれにめがけて皆さんキャストを繰り返すのですが
スプーンには簡単にはヒットしてくれないようでした。

「あ〜クッソ〜俺のミノーを投げたら一発なのにな〜」と
地団駄踏んでいるオラに
心やさしい岡田さんが場所を少し空けてくれました。
お礼もそこそこに、おもいっきりキャスト一発。
すかさずグンという大物特有の当たり
「こりゃ今日はオラのハンドメイドミノーが
またも爆発しそうな予感」そして華々しくデビューを飾れそうだネと予感。

2投目でゴックンと鈍い当たりがあったと思ったら
ぐんぐんとラインを引っ張って行くのじゃございませんか。
すかさずオルビスのスピニングリール(結構自慢の一品)の
頼りないドラグを緩め応戦体制に入りました。
程無くして寄せてきたアメマスは丸々とふとった
推定50cmはあろうかと思われる大物でした。
まだまだ余力がありそうなので
慎重にシンチョウにと心がけたちょうどその時でした。
ミノーのベリーについてるフックが口に浅くかかっていたのか
「ポスッ」と外れてしまいました。
万事休す。
もうこのの攻防戦は終わったか、に思われましたが
「天は我を見放さず」ミノーのテールのフックが
かろうじてアメマスのエラの部分に引っかかっているんじゃございませんか。
こうなりゃもっとリールのドラグを緩め応戦。
しばらくやり取りの末、やっとの思いでネットイン。
本当に疲れるな〜と感じるも、周囲のルアーマンの羨望のまなざしを受け
ますます広がる鼻の穴に耳の穴。
これでめでたくも、キキミノーのお披露目を兼ねたワンマンショウ
にぎにぎしく無事にとり行われたのである。  


お披露目の1本

そしてキキミノーの噂はあっとゆうまにかけめぐり
本業がなんなのか分からなくなるくらいの注文を受け
釣りに行く時間を割いてまでミノー作りに没頭しなければならない日が続きました。