犬にまつわる雑学

環境省が平成15年にまとめた「ペット動物流通販売実態調査報告書」という調査報告があります。
これは、平成11年に改正、平成12年より施行されている「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)において動物を取り扱う業者(動物の販売、保管:ペットホテル、貸出し、訓練、展示、その他政令で定める業)は都道府県知事又は指定都市の長に届け出なければならなくなり、 更に、その改正法の採決に際して、業者の実態を含めて状況を把握検討して改正法施行後5年をめどにした見直しに反映させることが求められたため行われた実態調査報告書です。

犬の流通の話

この「ペット動物流通販売実態調査報告書」では、2001年度に犬・猫、その他のペットを取り扱う業者へのアンケート、聞き込み、文献調査を基にして行った調査結果が報告されています。
この調査を読めば、ペットショップに並ぶ可愛らしい子犬や子猫たちの実態が少し見えてきます。

犬、猫の年間生産数
まず、ペットショップにいる犬たちはいったいどこでどの位生まれているのでしょうか?
2001年の犬猫の推定年間生産数 約97,800頭(犬:89,300 猫:8,500)だそうです。
これらの子犬、子猫たちは1307件の生産業者(ブリーダー)のところで生まれています。

犬、猫の流通
生産者のところで生まれた子犬、子猫たちはそのままペットショップの店頭に並ぶのかというと、そうではありません。
97,800頭の子犬、子猫のうちの約36%の34,800頭は直接飼い主さんのところへ、約26%の25,300頭がペットショップ(業者数5,521件)などの小売店に行きます。
残りは、卸売業者(業者数421件)、せり(業者数15件)を経て、ペットショップに送られます。
この、生産者から流通にわたる子犬・子猫の数は約88,900頭だったそうです。

飼い主さんのもとへ
最終的には、この子犬、子猫が飼い主さんのもとへ渡るわけですが、この調査の年の統計では飼い主さんの手に渡ったのは約77,000頭だったそうです。

どういうことか??
ここまでの数字をもう一度良く見てみたいと思います。
生産→流通→飼育者の流れの中で子犬・子猫の数は確実に減っていきます。

●生産 → 流通 = 90.9% ( 8,900頭の減少)
・・主な理由は病死などによるものだそうです。
●流通 → 飼育者=86.6% (11,900頭の減少)
・・主な理由は病死、及び流通業者が繁殖用に確保。

多分、繁殖用に確保される頭数はそう多くないと思われますので、生まれた子犬、子猫たちの2割強にあたる約2万頭の子犬・子猫たちが飼い主さんの手に渡る前に病死していることになります。

飼い主さんのもとへ
この報告書ではこの実態を報告しているだけで、その数が多いのか少ないのか、その理由は何か?については言及していません。
ただ、同じ報告の中に、犬・猫の販売日齢を調べたものがありました。
これによれば、
●犬の販売日齢:生後40日から50日未満が全体の53%
●猫の販売日齢:生後50日から60日未満が全体の41%
生後1ヶ月から2ヶ月以内に親元を離されて販売されているケースがもっとも多い実態が示されています。
同じ報告の中でも「幼齢期における販売は健康上大きな問題があるとの声が聞かれた。」
一方、「なるべく小さいうちから飼いたいという飼育者の強い要望があり」、
「業者も早く販売することで効率的な経営ができる」
という実態の問題点をあげています。

そのほかにも問題が・・・
環境省の報告には書かれていない事ですが、子犬を親元から離すタイミングとして生後3ヶ月位のタイミングが推奨されています。
この理由として、犬が社会的な生活を営む生き物、群れの生き物であることがあげられています。
子犬は、生後3ヶ月位の間に母親や兄弟と過ごす事で犬社会における犬同士の付き合い方を学んでいくのです
ところが、実態はこの大切な時期に多くの子犬たちは親元から離され、たった一頭で狭いケージに入れられた状態に置かれているわけです。
子犬が飼い主さんの所に渡った後で、「犬同士の付き合いができない」「他の犬を見ると喧嘩してしまう」などの問題行動の原因もこんなところにもあるように思われます。

犬との付き合いを考えよう
今の子犬、子猫の流通の実態には多くの問題を抱えていると思います。
動物愛護管理法は平成11年に改正され、5年後をめどにした見直しを行うとされています。
子犬の販売時期(日齢)などに制限を設けるなどの法的な規制なども必要な気がします。
一方、テレビのCM等の影響でチワワが大人気となっていますが、その前にはシベリアン・ハスキーのブームがありました。
そのブームが「売れ行きの良い犬種」をよりたくさん生産し、たくさん販売する流通の実態を作り出している事。
子犬が可愛いという理由で、より幼い子犬を求めようとする事。
これらの実態を作り出しているのは、生産者や流通業者だけではなく、飼育者(購入者)の側にも責任のあることだと思います。
犬を飼うという事は、犬の生涯に責任をもって付き合うという事でもあるのです。
「可愛い」という理由だけで犬を飼えるものでは決してありません。