『なおの多事争論』−M・シュナウザーなりに思うこと−
第4話 −大人の仲間入り−
こんにちは。今日僕等が住んでいる地域ではかなり大きな地震がありました。
ご主人もなんか色々怪しいことをしてる最中に
「む。俺のひげがうずくぜ」
などと鯰ばりに素早く察知していたみたいです。
ちなみにその時に周りにいた人達は一部しか気づかなくて、
気づいて辺りを見回してたのはなぜか比較的平均よりウェイトオーバー的な人が多かったみたいで。
やはり自分の特におなかの辺りの肉の揺らぎ方がいつもと違う分敏感なのでしょうか。
いやいや、ご主人様がどうとかこうとか言うつもりはありません。
ただ寝る前のカウチポテト(ふるっ)は止めた方がいいですよ。
さてさて、今回は僕のお嫁さんについてです。
僕もこの世に命を受けて早1年と3ヶ月。
そろそろそういう時期になってもおかしくはありません。
これまでは同居しているシーズー犬達(♂2匹、♀1匹)に不意に襲いかかって逆襲にあってたりしましたが、
今後はそういった方法での欲求不満解消をする必要もないようです。
「ふふふ。今夜は清め水かのう」
自分ではもちろん風呂なんて入れませんが、気持的にはそんな感じでうずうずとマイハニーの到着を待ちます。
そんなとこへ待ちに待ったご主人様のご帰還です。
「よおしよし、今出してやるからな」
ご主人の言葉が終わるのも待ちきれません。
早く早く早く早く早く早く。うずうずふりふりうずうずふりふり。
ご主人がかごのドアを開けるや否や飛び出す黒い疾風のような一陣の風。(む。表現がだぶった。まあいいや)
その風は僕の傍らを駆け抜けるや否やほんのわずか残されていた宝(エサ)の元へと。
って、おーい。
ま、まあいい。まずはじっくりと観察だ。慌てるな、慌てるな、僕。
生後半年だと聞いてはいたけど、やはり僕よりはかなり小さなその肢体。(あ。なんかやらしくなりそう)
ぎゅっと詰まったコンパクトなボディからすらりとのびた滑らかなその足。(毛だらけですが)
上向きにピンと上がったキュートな尻尾と、やはりコンパクトだがその質量は十分モノになりそうな臀部。
その全てが僕の心の奥底を刺激する。
「上玉じゃねえか」
明日異国に売り飛ばす生娘のあごを持ち上げて舌なめずりする悪党の親方もどきに、彼女の背後にそっと近づく。
その時僕の脇を黒い疾風のような一陣の風が。(あ、また)
しかし今度の風はただ脇をすり抜けただけではない。
「ふふふ。それ位元気な方があちらの御仁もお歓びになるってもんよ‥‥う!?」
確実に、そして正確にうすら笑いを浮かべていたこの僕にダメージを与えていったのだ。
「お安く見るんじゃないよ。風車のやひち(漢字分かりません。弥七?)の女房、疾風のお銀(これもあやふや)とはあたいのことだよっ」
「て、てめえっ、よくもっ。ええーい、皆のものであえ、であえー!!」
‥‥うん。こほん。
ちょっと表現がご主人の趣味的に走りましたが、とにかく僕も驚くようなスピードでマイハニーは僕に噛み付いてきたのです。
「ぬなっ!?」
驚く僕を尻目にマイハニーは今度は水の入った容器に小走りに向かいます。
「あ、ちょっと待って。その水古いから今入れ替えてあげるから」
ご主人がそう言って水入れの方に近づこうとしたその時です。
ご主人の脇を黒い疾風のような一陣の風が。(‥‥‥。)
驚くご主人を今度は横目にマイハニーがつぶやきます。
「わうわうわうわう」
あ、これじゃ分からないのでもう1度。
「ふん。お安く見るんじゃないよ。あたいは誰にも飼われない一匹狼なのさ」
「ぬなっ!?エサ俺からもらうくせに、しかもM・シュナウザーのくせに‥」
ご主人が後ずさりして次の一言を口にしたのは無理もありません。
「み、皆のもの(シーズー3匹)。であえ、であえー!!」