シーズー物語 くろう子供時代


第11話


あのう、僕、くろう。えへへ。
いつもはぷうさんが担当しているこのコーナー。
「いいよな、ただのシーズーは。ふ〜がが(あ〜あ)、僕のような天才シーズーになると文章書きまでしなくちゃいけないからなあ」
とかのたまったり、ちゃぶ台に向かってたと思ったらいきなり原稿用紙をまるめて
「ふがが、ふがが(だめだ、だめだっ)」 とか言い出したりする始末なので、今回はぷうさんがお風呂に入れられてる間に僕がペンを持ってみようと思う。

初めてなので痛くしないでね、じゃなかった間違えてもごめんね。えへへ。


僕とご主人が出会ったのはもう1年程前になる。
ぷうさんは更にその前からいたらしいけど、まあそんなことはどうでもいいや。えへへ。

ぷうさんの書いた話を見ると、どうも僕のことめちゃくちゃに書いてあるみたいだけど、これを読んでくれてるみなさんに言いたい。
決してそんなことはない。多分。

臭いとか、舌が長すぎるとか、巻き毛ぐるぐるローリング系だとか色々言われたが実はまったくそんなことはない。と思うのだ。

その証拠に僕自身まったく僕の匂いなんて感じないし(当たり前だ)、舌が長すぎるのも大人になったら色んなことに便利だし(えへへ)、巻き毛ぐるぐるローリング系も地肌が水に濡れにくいという長所を持っているのだ。
例えばご主人が溺れていたときにはぷうさんよりも僕の方が寒さを感じにくいだろうし、さらに僕の毛は濡れると本当にくるくるになるので足にまとわりついて泳ぎのじゃまになることなんかもない。

え?
人間が溺れているところにシーズーが助けに行っても意味ない?
それが何か?いいんです。どうせ、僕泳げないし。えへへ。

そういえばぷうさんも書いてたけど最近家に女の子が同居することになった。これで、ご主人と僕とぷうさんとの男同士の蜜月同棲時代にもピリオドが打たれたわけだ。

ご主人とぷうさんはその彼女を「ぷうさんの奥さん」と勝手に位置づけているみたいだけど、そうはいかない。
僕だってもう体重2.2kg。十分立派な成犬のオスなのだ(うそです)。

今この瞬間。
ぷうさんがご主人にお風呂に入れられている間が僕にとっての最大のチャンスだ。
僕の長い舌を使う願ってもないチャンスなのだ。

へ、へい、彼女ぉ、こ、こここ、こっちにおいでえ。な、なにもしないよ、えへえへえへ。

ガブッ!!!

‥‥え?
なんか耳痛いんすけど。
あ。
なんか血出てるんすけど。
いやん。
女の子ってこんなに怖いの?
そう言えばご主人様がいつか言ってたなあ。

「地震、しめきり、彼女、女子社員」って。

‥‥やっぱり、僕にはまだ色恋沙汰は早いみたい。
くわばら、くわばら。


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