第12話
僕は犬。それもシーズ−。
今回はご主人様が嫌々仕事に出かけた後、でろんでろんに酔っ払って帰ってくるまで僕達がどうやって家の中で過ごしているか書いてみたいと思う。
ご主人様の出勤時間にはムラがある。
大体午前9時頃から嫌々出かけていくのが常なのだが、何を思ったかたまに朝7時頃からのそのそ出ていくときもあるのだ。ふんふん鼻歌歌いながらシャワーを浴びて、鏡に向かってああでもないこうでもないと髪型を整えている様は我がご主人様ながらけったいなことこの上ない。
まあ、そんなこんなでご主人様が出かけて(正確に言うとドアを閉めて、その後車の発進する音が聞こえて)から僕達の本来の活動が始まるのだ。
ご主人様は自慢じゃないがとてつもなくずぼらで、テーブルの上に昨日の夕食の残りなんて置いてあるのはざらだから、まずはその物色から一日がスタートする。
ご主人様の前では登れないふりをしているテーブルの上にひとっとびで上り、そして置きっぱなしの怪しげな袋やらケースやらを逐一調べていくのだ。
大体多いのがピーナッツ系のお菓子類、さきいかなどの残骸、枝豆などなどだ。
こうやって挙げてみると、どうもいわゆる「酒のつまみ」系だけだが、あの年にもなって一人身のご主人様、酒にでも逃げずにはいられないのだろう。
うむ。きっとそうだろう。
そんなこんなで食べられるものの物色が一通り終わり(食べ終わり)、テーブルから降りると、次は新参者を相手にじゃれあう時間だ。
新参者はご飯を食べた後はほぼ確実に自分のベッドで眠っているのだが、僕にとってはそんなことは関係ない。
あからさまに嫌な顔をする(本当は嬉しいのだと思う)新参者のしっぽや耳をしばらく噛んでいると、そのうち彼も段々と抵抗する素振りを見せはじめるのだ。
ただいくら彼が本気になっても僕にはまだかなうはずがないので、結局は10分程で決着がついてしまうのだけれど。
そんなことをやっているうちに、結構つけっぱなしだったりするTVから「タ○リ」か「み○○んた」の声が流れてきて、しばらくそちらに見入る時間となる。
「今時の素人はあがるなんてないな。よっぽど芸能人らしいじゃん」
とか
「そんな相談の電話するひまがあったら自分で解決したら?」
とかは犬なりに思ったりもするが、まあそれはもごもごもご‥‥。
お腹もいっぱい、適度な運動もした、娯楽心も満たされた。
そんな後はもちろん眠るのだ。
ご主人様がでろんでろんに酔っ払って帰ってくるのが大体午前1時過ぎくらいだから、今から約12時間ほどある。
今のうちにたくさん睡眠をとっておかないと、いざご主人様が帰ってきた時に、いかにも「ずっとお利口にして起きて待ってました」態度が取れなくなる。
台所の方では、僕の奥方がゴミ袋の中の何かを物色してて出れなくなりもがいているが、そんなことは気にしない。
そろそろ眠くなってきたし、それでは、また。
おやすみなさい。
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