第18話
僕は犬。それもシーズー。
2月14日。
バレンタイン。
想像に違わずご主人様は大荒れだ。
(※.執筆時期と掲載時期に若干(かなり)のずれがあることをご了承下さい。ふたたび)
朝起きてからもぶつぶつ言ってるし、TVで「ところで今日は‥」みたいな話が出ただけですばやくチャンネルを切り替えたりしている。
たかがチョコレートをもらえないだけで何をそんなに悲しむことがあるのか犬の僕にはさっぱり理解できないが、まあ微妙な独身男心、色々あるのだろう。
チョコといえば前にどこかで僕達犬がチョコレート食べると中毒症状を起こすみたいなことを聞いた。
人から伝え聞いた話では(誰からだ)、とても甘くて舌の上でとろけるような素晴らしい味わいらしい。
本当に危険かどうか分からないけど、少なくとも僕達の家にはふがいないご主人様のおかげでそんな危険なものが置いてあることは有り得ないので僕達犬にとってはありがたいことこの上ない。
ありがとう、ご主人様。(嫌味)
ところで。
前にも書いたけれども僕達は子供の頃から吠えちゃだめって教わってきた。
新参者も僕の奥方ももちろん同じように教わっているのだけれども、新参者はともかく、僕の奥方がどうも言うことを聞かないらしい。
「吠えちゃだめだからな」
「わふ」
「だからそんな風にほえちゃだめだって」
「わふわふ」
「だめだっちゅーてんねん」
「わふわふわふ」
「だーかーらー」
「わーふー」
みたいなやり取りをよくやっている。
彼女も、何もないときには特別吠えることもない。
ただ、マンションのチャイムが鳴ったり、前の道を救急車が通ったときなどがどうしても我慢出来ないらしい。
「ぴいんぽおんっっ」
「わあふうん」
「ピーポーピーポー」
「わーふーわーふー」
彼女としては警戒してるとか留守番してるつもりとかではなく、聞きなれない音が怖くて反応しているだけみたいなのだが、
「馬鹿だなあ、僕がいるじゃないか?」
などと僕が彼女の肩をやさしくそっと抱き寄せても効果がない。
おかげで最近ご主人様は隣人からじっと見られてるような気がして少し睡眠不足気味らしい。
ていうか僕の奥方ってまだ小さいし、少々吠えようが多分周りに聞こえることなんてないと思うのだが。
そんなに小心者で自意識過剰だから甘いとろけるようなチョコレートももらえないんですよ、ご主人様?
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