シーズー物語 くろう


第3話


僕は犬。それもシーズー。

だから結構遅筆です(言い訳)。

それはともかく。

僕らシーズ−の中でも色々毛質が違うタイプがあるらしい。
僕は基本的にさらさらストレートの潮風になびく長い茶髪なんだけど、新参者はぐりぐりぐるぐるの巻き毛ローリング系(?)だ。
そのせいかどうか分からないけど。
新参者の毛はからまりやすい。

この間じゃれてあげてた時も首筋に毛玉の固まりを発見したし、一緒に寝てあげてる時もおなかの下とか足のとことかにやっぱりいくつか毛玉を発見した。
単純にご主人様の女性以外にはずぼらな性格が諸悪の根源ではないかという気がするが、ご飯がもらえなくなるし、僕は大人なのでそれは言わない。
そんなこんなで、新参者は生まれて初めてご主人様に毛をカットしてもらうことになったらしい。
僕も以前に数回ほどあーでもない、こーでもないとご主人様にカットしてもらった上で、最終的にはぼろぼろの状態でトリミングに連れていかれたことを覚えてる。
過去の反省を少しも活かしてないなあ、この人。なんてことは僕は大人だから言わない。

ハサミとブラシを手にしたご主人様を前に、さすがに何か不安なものを感じ取った新参者は懸命にベッドの下に逃げようとしてたみたいだけど、所詮はシーズ−(僕もだけど)。
小型犬の抵抗なんて、あの無駄にでかい図体のご主人様にかかればひとたまりもない。
毛のカットに2時間かかるのが長いのか短いのか分からないけど、どちらかと言えば長すぎじゃ?という気が多々にするけど、一応何とか終わった後。
お風呂場から現れた新参者を見て、僕は犬だけど絶句した。

新参者の疲れきった表情はもちろん、その姿のものすごいことと言ったら。

ローリング系ながらも一応長目でシーズ−らしかった2時間前の面影はもう彼にはない。
皮膚から約0.5mmの長さでカットされた胴体。
カットしにくかったのか、そのままの長さで残されてしまった耳の部分。
彼はもうシーズ−じゃない。ていうか犬にも見えない。
それに加えて、ご主人様のなんとも言えない自責の念にかられきった目。

しっぱい。

その目ははっきりとそして静かにそう物語っていた。

だから言ったことじゃない(言ってないけど)。
最初からプロに任せてればこんな無残なことにはならなかったのに。
これで僕と同じように新参者もあの恥ずかしい姿で美容室に連れていかれるのだ。

「給料日まであと2週間か‥‥」

え。

2週間あのまますか?
それはあんまり飼い主としてどうかと思うけど、なんてことはもうすぐご飯の時間だから僕はやはり言わない。

※.トリミング光景は『Dog's PHOTO』へ


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