第5話
僕は犬。それもシーズ−。
唐突だけど、僕は寂しがり屋だ(ほんとに唐突だ)
ご主人様が2〜3日帰ってこなかったり(どんな飼い主だ)、たまに別の犬を連れてきて一緒に遊んでたりすると、もうパニック状態だ。
あの犬め〜!めらめら。
ご主人め〜!お腹すいた。
僕等(僕と新参者)はとあるマンションに住んでいるため、小さい頃からほえちゃだめって教わってきた。
でも、そんなときだけは別だ。
吠えて吠えて吠えまくって他の住人に迷惑をかけてやるのだ。
ふがっ。ふがっ。ふががっ。(※編集部注:鳴き声です。念のため)
確かとなりの部屋には単身赴任のちょっと怖面おじさんが住んでたはずだし、そのまた隣にはちょっと色っぽい水商売系のお姉さんが住んでたはずだ。
あのお姉さんとなら是非是非お近づきになりたい。
じゃなくて、お姉さんの方が苦情を言ってくるとご主人様のことだから、逆に喜んで部屋の中に招き入れそうだし、なんとかとなりの怖面おじさんだけに聞こえるように吠えてやらなくちゃ。
ふがっ。ふがっ。ふががっ。(※編集部注:鳴き声です)
あ。
懸命に吠えながら僕はふとあることを思い出した。
そういえば怖面おじさんが引越しの挨拶に来た時に何かかたわらに黒いけむくじゃらの物体がいたような‥‥‥。
「‥‥吠えないと思いますがもしご迷惑をおかけしたらすぐおっしゃって下さい‥‥」
あ。そうだ。
確かにあの日怖面おじさんの横にはプードルの女の子がちょこんと座っていた。
あのおじさん、単身赴任に犬連れてくるなんて本当に変態、じゃなくて犬好きなんだなって、犬ながら微笑ましく感じてたんだった。
それに言われてみればたまに隣の部屋からかすかに犬の鳴き声もしてたし、ん?ということは‥‥。
だめじゃん。
計画だめじゃん。
僕は途方に暮れながら、また一昨日から戻ってきてないご主人様の帰りをじっと待つのだった。
TITLE
MAIL
TOP