第7話
僕は犬。それもシーズ−。
みんな(犬のみんな)がどうやってご飯を食べてるか知らないけど。
僕はいつも丸のみを心がけている。(心がけるな)
横に置いてある水には手もつけずに、まずはドッグフードをごくんごくんとやる。
これが最高なのだ。
え?
のどがつまるから、普通はドッグフードと水を交互に食べる(飲む)のが普通?
ふがっ(否!)
僕はそうは思わない。
シーズ−が心配しても仕方ないけど(確かに)、せっかくご主人様の薄給の中から買ってきてくれる無添加・無着色のドッグフードだ。
水道水となんて、とても一緒に口になんてできない。
どんなに喉がカラカラの状態でも、とりあえずドッグフードを一気に飲み込む。
これが薄給のご主人様とドッグフード職人の方に対する最高の敬意だと思うのだ。
一粒一粒カリカリ食べるなんて、とてもとても。
子犬じゃあるまいし(でも体重は2.5kg)
で、つい数日前のこと。
いつものように豪快にごくんごくん飲み込んでた僕の喉に異変が起こった。
ふ、ふががっ(ふ、ふががっ)
くっ、苦しい。
のっ、のどにつまった。
だっ、だれかっ。
ご主人様は「ちょっと、そこまあで。ちょっと、そこまあで」ってさっき出かけたばかりだし、新参者は僕のトイレでふんばっている途中だ。
僕の頭の中では今までの想ひ出が走馬灯(走犬灯?)のようにかけめぐった。
ママ、僕をこの世に生んでくれてありがとう。ぷうは幸せだったよ。
いよいよもうだめだと思った時。
どうやらタバコを買いに出てただけだったらしいご主人様が戻ってきた。
ふ、ふががっ(ご、ご主人様っ)
僕の必死のまなざしにまったく気づくことなくタバコに火をつけたご主人様。
ふ、ふがががががっ。(て、てめえ、このやろうっ)
いつもより長目にほえた(?)のがよかったのか、ご主人様がやっと僕の異変に気づいたようだ。
慌てて僕の体を宙吊りにすると、僕の口に指を入れてつまったドッグフードを取り出してくれた。
た、助かった?
涎で顔はべたべただし、失禁でお腹もべたべただけど、何とか助かったらしい。
と、とりあえず、み、水を‥‥。
かーっ、うまいっ。この一杯のために生きてるなっ。
そんなサラリーマン的な余裕はなくて、水道水がこんなにおいしいと思ったのは初めてだ。
いつもの倍以上水を飲み終わって、やっと一息ついた時。
「クロウ、よしっ」「え?」
ご主人様と新参者は何事もなかったかのように、いつもの光景を繰り広げているのだった。
てめえら、このやろうっ。
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