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♪ 1匹のイシガメ『イシコロちゃん』との出会い ♪
2年前の秋、田舎の用水路で子供達がカメの子供を拾った。
生き物好きではあるが、カメは飼った事がない。
あまりの愛くるしさに迷うことなく家につれて帰ることにした。
イシガメ(甲長4.5cmほど)の「イシコロちゃん」との生活が始まった。
カメのスターターセットを購入した。 浮島もついてる。 餌もついてる。
万全だと思っていた。1日見ていても飽きない。我が家の期待の★だった。
飼育本を読む事もなく、冬がやってきた。南向きの部屋に水槽を移した。
イシコロちゃんはほとんど食べなくなった。
「冬眠するもんね、カメは。」
と何の心配もわかず、冬の日差しの中時々甲羅干しする姿を微笑ましく見つめていた。
その甲羅干しの姿の優雅な事ったらなかった。
カメってこんなに可愛いものなんだ。
春になりまた食べ始めた。
「よかったわ〜。ほんまに春になったら餌食べだすねんねぇ」
が、梅雨のある日突然動かなくなった。
生きているけどほとんど動かない。
驚いて、診て下さるところを探しまくった。もう必死だった。
あるペット屋さんがカメに詳しいと聞いて藁にもすがる思いで連れて行った。
一目見て「紫外線不足、寒さ、栄養状態不良」と言われた。
私の飼い方、特に冬越しのさせ方はあまりに小亀にとって過酷だったらしい。
バスキングライトをあてると、すぅーっと首を出してきて動き出した。
「本当に寒かったんだね」
ペット屋さんは、親切に教えてくださいました。。
イシガメがミドリガメやクサガメより、皮膚が弱い事。
水の汚れに敏感な事、
甲羅干し、日光浴の大切さなど等
そして、イシガメ飼うんなら
夏場など1日中エアコンつけて部屋を25度くらいにキープするくらいじゃないとと。
私がイシコロを暖かくなったらベランダで飼ってたというと「何を無茶な〜」と。
ずーっと後にオオクワガタの事を相談した時になってわかった事だが
その方はとにかく、最高の飼い方をという方でした。
が、その頃の私はなんでも真面目に
「そーかそうしなかったからあかんかってんな」
と受けとっていました。
「カメはきちんと飼えば、何年も生きるよ」
とバスキングライトを貸してくださった。
帰りの車の中で「それなら、これから成長記録をつけよう」「それならパソコンでデータを管理しよう」等など、
大盛り上がり大会!!
よかったー!
危機一髪でイシコロは助かったわ〜と・・・・。
その夜遅く、バスキングの下で気持ちよく手足をのばしたまま
イシコロちゃんは逝ってしまった。
子供達はもうとっくに夢の中の時間。
寝る前に、水の確認をしようとみてみると
なんか、さっきと全然変わってない姿勢。
眠っているのだろう。気持ち良さそうだなー。
ずーっと見入ってしまう。
そして、鼻の先を指でチョンチョンとつついてみた。
「お休み〜」と言うつもりだった。
でも・・びくともしないのだ。ピクリとも動かない。
どういうことかすぐ理解できたが、驚きの声すら出ない。
すぐ後ろで旦那が仕事をしていた。
でも、私はそのまま固まってしまった。
次の動作ができないのだ。後ろを向いて旦那に伝える事が出来ない。
涙も出ない。
10分ほどイシコロを見つめていた。頭の中は真っ白け。
そして、背中を向けたまま「死んでるわ」とつぶやいた。
旦那はたいそう驚いて、「そんなわけない。眠ってるん違うんか?」
と大きな声で言う。
「寝てるの違うよ。死んじゃったんや」と言って
私はバスキングライトのスイッチをパチンと消した。
布団に入った私の頭の中は明日の朝の事で一杯だった。
どう言って子供に報告しよう。どんなに悲しむやろう。
そればかりがグルグルと出て来ては消えていく。
翌朝、子供を起しにいった。
「あのね、悲しいお知らせがあるねん」
そういうと、すぐに長男が「カメ死んだの?」
「うん」
走って見に行く2人。
イシコロは昨夜のままの姿勢。
「これ、甲羅干ししてるんやろ。死んでへん」
私は首を横に降った。
長男がワーワー泣き出した。
それを見て、私もポロポロ泣いた。
2人の顔を交互に見つめて、5歳だった次男はオロオロと
「僕、泣きたくても涙出ーへんねん」と困っている。
長男は「今からラグビーに行ってくる。だから行ってるうちにお墓に埋めといてや。絶対そうしてや!」
何故なのか、そう言って泣きながら支度をしてそのまま出かけてしまった。
次男と二人でお墓を作った。
寒くないように一杯草を敷いた。
イシコロをその上において土をかけた。
「もう、会われへんな〜。イシコロちゃん」
手を合わせて次男にも促そうと見ると
声も出さずにボロボロ泣いている。
何か言ってやりたかったけど
何と言えばいいかわからず、二人で長い事しゃがんでいた。
しばらくして旦那が次男を連れて外出した。
公園にでも連れて行ってくるわと。
一人になった私は、ペット屋さんに電話しなければならなかった。
昨日、「大丈夫やろうけど、心配やったら明日もう一度連れてきて」と
言ってはったし、飼育器具も頼んでたし・・。
「昨日イシガメでお世話になったんですが」
「うんうん、どーお?」
「昨日の夜遅くに死にました。」
「エッ、そうか。思ってた以上に体力持たなかったかぁ。」
「はい。ありがとうございました。それで、頼んでた飼育器具ですが・・」
「そんなん、取り消しとくから、気にせんとき。でも、、、、ほんまに残念やったねぇ。
昨日夜遅くまで、あの子(イシコロ)にはどんな水槽レイアウトがいいか考えてた。」
『残念やったねぇ』という言葉が効いたのか、気持ちをわかってもらえたからか理由はわからないが
恥ずかしながら、30才とっくに過ぎた私はワーワー泣いてしまったのだ。
昨日初めて会ったペット屋のおっちゃんにである。
こらえてたものが一気に噴出すようだった。
どーにも止まらない。オイオイ嗚咽する。
「あんたねぇ、自然にいても農薬やら外敵やらにさらされてるんやで」
「この子は寒かったやろうけど、最後は暖かくなって逝ったんやから、それだけでもよかったよ」
慰められると余計に涙が出てくる。
「私が無知やったから、そのせいです。ちゃんと飼ってたら」とか
「子供もすごく悲しんで、もーなんかたまらんくって〜」とか
しまいには「ほんまに、可愛くって可愛くって・・なのに」
もうこうなったら、人騒がせなおばさんであるが
「でもさ、あんなに小さい子(イシコロ)がね、息子さんたちに命が大事って教えてくれたんだから」
と最後までつきあってくださった。
そのペット屋さん、なんと知る人ぞしる「変わりもん」やったらしいんです。
大事に飼ってくれる人にしか売らないとか、
友人などはハムスターを買いに行って、「もー懲りたわ」と言ってました。
「慣れてへんハムスターはこうやって人の指を噛む」
と言って、目の前で自分の指を噛ませたらしくって、友人は信じられへんかったそうです。
事実、私がイシコロちゃんを連れて行ったときも、先に来ていたお客さん(多分常連さん)との話に夢中で
40分以上待たされました。
でも何故か私には親切にしてくださって、そのうち電話すると
「イシガメの人やろ?」
と声だけでわかってくれるようになりました〜。
名前は覚えてくれないんだけど・・。
ワーワー泣いたからかなあ??
神戸の街中にあるそのペット屋さん(とってもマニアな店)にもイシガメは年に数回入荷したら
いい方だとおっしゃってました。
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