犬事情

おなじ「イヌ」とはいえ、場所が違うと、見かける犬種も全く違います。
そしておなじイヌでも、住む所が違うとその生活もずいぶん違うものです。

このコーナーでは、
日本で、
どれだけイヌたちが違った生活を送っているのかをご紹介していきます。

 日独犬事情大比較!
日本にあって、
にないもの
にあって、
日本にないもの
その1 持ち帰るべきか、置いてくるべきか
その2 つなぐべきか、放すべきか
その3 生体販売
その4 玄関の「犬」マーク
その1 イヌ税
その2 狂犬病
その3 国際予防接種パスポート

その4 専門獣医
思いつき次第、続けます。m(_ _)m

 ミュンヘン犬事件簿

 ドイツで出会ったワンコたち



日本
にあって、ドにないもの


その1 持ち帰るべきか、置いてくるべきか

「お散歩バック」がドイツにはない。
というか、本当はあるけれど、
今だかつてウン○を持ち帰るグッズを持って散歩している人を見かけたことがない。
みんな、手ぶらで散歩している。
ペットショップに行くと、一応お持ち帰り用の道具を売っていたりはする。
それに、建前上は、持ち帰らないと「罰金」を取られるらしい。

ミュンヘンに来て、最初の2日は、ちゃんと日本風に持ち帰っていたが、
なんだか、かえって拾っている方が奇異な感じがして、
それ以来、「ドイツ風(ミュンヘン風)」に手ぶらで散歩に行くことにした。


置き方のオキテ
今住んでいる周囲は、街路樹の根元だったり、公園だったり、そこら中に緑や、土がある。
遠目にはきれいな緑も、よくよく見ると、そこかしこにウン○が転がっている。
道ばたの緑に踏み入るときには、それなりの注意と覚悟が必要だ。
土の上に、置いてくることは、認められているらしい。

ところが、舗装された歩道上の街灯の根元に、置いてくるのはどうやらオキテに背くらしい。
ある時、レックスが、日本の慣れで、街灯の根元に、置物をしていると、
目の前の家から、おじさんが食べかけのパンを片手に握りしめたまま、
怒鳴りながら庭先に飛び出してきたことがあった。


「なんで、そんな所でしてるんだ、緑がそこら中にあるのに。
うちにもイヌはいたが、一度もそんな所じゃしなかったぞ!
イヌはしつければ、そんな所じゃしないんだ!!」

どうやら、道ばたでも土の上ならよいが、舗装してある所はよろしくないらしい。



ついでながら、いわゆる
ペットシーツも、
ドイツのペットショップでは見かけたことがない。
猫用トイレや、猫砂は売っているが、イヌ用室内トイレグッズは、見かけない。
イヌは、外で用を足すものらしい。



番外編


先日、ミュンヘン郊外の保養地にもなっているきれいな湖に行ってきた。
すると、そこに本では見たことがあったが、初めて目にするものがあった。
DOG STATIONと書かれた白いポスト状のもので、
上段には、イヌのウン○を回収するための無料のビニール袋が入っており、
下段は、回収したものを捨てるゴミ箱になっていた。

さっそくビニール袋をいただき、レックスの置物を久しぶりに回収した。
美観を気にする保養地、観光地ならではの設備といえよう。
このDOG STATIONは、湖畔の公園に2つ設置されていた。

レックスの置物を捨てる際に、
既にたくさんの袋が入っているのが見えたので、
それなりの成果は上がっているのだろう。
ただ、この公園にも、巨大な置物は散在していた。




その2 つなぐべきか、放すべきか

散歩時にイヌをつないでおく義務が、ミュンヘンにはない。

日本は、建前上はノーリードでイヌと歩くことは禁じられているが、
ここミュンヘンでは、それが許されている。
実際、大型犬は、人通りの多い街中でもリードを付けていないことが多い。
一部の公園では、ノーリードが禁止されているが、
そうでない公園でつながれている大型犬などまずお目にかかることはない。
ただ、これは十分にしつけられているからこそできることだ。
リードを付けられている大型犬を見ると、
逆に十分にしつけられていない危険なイヌ、と思ってしまう。

しかし、残念ながら事故を引き起こすことも時としてあるようだ。
先日、新聞に「英国庭園で、ブルドックが馬を襲う」という見出しがあった。
一応、ミュンヘンは、ドイツ第三の都市。
その街の中心の公園で、イヌがウマを襲う。
日本では、とても考えられない。

これと関係しているかもしれないが、ドイツでは、
室内サークルも見かけない。
ドイツのイヌは、室内でも自由の身らしい。

日本では、サークルがハウスだったレックスも、今や室内では自由の身。
彼のハウスは、日本のサークルの下にひいていたマットだ。
だけど、屋外で彼がノーリードで散歩する日は、
来ないような気がする。



その3  生体販売

日本のペットショップには、かわいらしい子犬たちが、
店によってその大きさは違うが、「水槽」の中に入れられ、陳列されている。
例のアイフルのCMのチワワのように。
ところが、ドイツのペットショップでは、あのような運命的な出会いは考えられない。
というのも、ドイツではペットショップにはイヌはいないのだ。
イヌがほしい場合は、ブリーダーから直接譲り受けることになる。

ミュンヘンの新聞には、週に一度ペット譲りますコーナーが掲載される。
日本の新聞に載る求人広告のように、ほんの数行のものだが、
あらゆる犬種の情報が何十件も掲載されている。
そんな情報を使って、子犬と巡り会うことになる。

聞いた話によると、ドイツでは生後8週までは、
母犬から引き離し子犬を売買することは禁じられているらしい。

だから、子犬に会いたければ、生まれた場所を訪ねるしかない。



その4  玄関の「犬」マーク

日本では、狂犬病の注射を打つと、
保健所から毎年「犬」マークのステッカーが送られてきて、
それを玄関など外から見えやすい所に張ることになっている。

ところが、ドイツに、そのようなステッカーはない。
ドイツでは、税務署から送付されたイヌ税の鑑札を携帯する義務があるが、
家に何かを張り出すというきまりはない。

「犬」マークなどたいしたことはないように思うが、
これが無いと意外と不便なこともある。

例えば、今歩いていた犬は、この家に住んでいるのか、
それともその隣の家だろうか、そんなことが、散歩していると知りたいことがある。
ドイツだと、犬が見えないと、それを知る術はない。
犬の気配がない限り、その家に犬がいるのかどうか全く分からない。
それだけ、犬が人間社会にとけ込んでいるということでもある。

ただ、その意義に多少の疑問を感じることもある「犬」マークだが、
無いと無いで、意外と役に立っていたような気もする。





にあって、日本にないもの

その1 イヌ税

ドイツでは、イヌに税金がかかる。
街によってその額は異なるが、ミュンヘンでは、年間76.80ユーロ(約1万円)。
もちろん、盲導犬などは免税であるし、
「番犬」も免税になるという話を聞いたことがある。
逆に危険な犬種、闘犬種とされると税金は一気に跳ね上がり、
613.60ユーロ(約8万円)と高くなる。

このイヌ税は、街に納める税金なので、
イヌを飼い始めたり、イヌを連れて引っ越しをすると、
その街の税務署に二週間以内にイヌを登録する義務が飼い主にはある。
登録すると、常にイヌに付けておかねばならない鑑札が送付されてくる。
日本だと、イヌの登録は保健所だが、
では、イヌは税務署に登録するのだ。



その2 狂犬病

ドイツでも、日本同様狂犬病の予防接種は行われている。
しかし、日本が今では狂犬病発生例のない、クリーンな地域であるのに対して、
ドイツにはまだ狂犬病がある。

実際、森の中の小道などを歩いていると、
「狂犬病汚染地域、注意!」
などというゾッとするような看板を見かけることがある。
これは、犬というよりは狂犬病にかかっている野生動物がいるので注意、
ということだ。
狂犬病は、犬だけでなくキツネやアライグマも感染する病気だから、
こういう看板が森の中に立てられることになる。

世界的に見ると、狂犬病のクリーン地域の方が実は少ない。
日本、オーストラリア、イギリス、ハワイといった島国や、北欧が
クリーンな地域として知られているが、
ヨーロッパ大陸はまだ汚染地域である。

こんな実情を考えると、
日本への帰国時に、成田で最低二週間の係留検疫が行われる事には、
ある意味、理由があるとも思える。

でも、予防注射を定期的にしっかり接種し、
狂犬病に感染していないことが獣医によって診断されていても、
2週間も係留検疫を行うというのは、
やはり頭が固いと言わざるを得ないだろう。




その3 国際予防接種パスポート

ドイツでは、狂犬病や、その他の混合ワクチンなどの接種を受けると
それが、予防接種パスポートに毎年記載されていく。
このパスポートは、接種を受けた獣医さんで、
無料でもらうことができる。

このパスポートには、接種内容など、同じ内容が、
英語、フランス語、ドイツ語の順でそれぞれ記載されていて、
外国に行く際にこれを持参していれば、
ヨーロッパの多くの国には、犬をそのまま連れて行くことができる。
相手国の条件によっては、獣医さんのサインだけではなく、
公立の獣医局の公印が必要となるが、それを押す欄もある。

ドイツから、日本へ帰国する際も、この予防接種パスポートに、
市の獣医局で公印を押してもらえば、それでドイツサイドの書類は整う。

陸続きで、外国に犬を連れて行く機会の多いヨーロッパの国ならではの
制度といえる。




その4 専門獣医


最初に誤解のないようにしておきたいが、日本にももちろん専門獣医さんはいる。
最近は、ネット検索をかけると、皮膚科等の専門領域を明示している獣医さんも少なくないが、残念ながら、そのような獣医さんは、まだごく少数派と言わざるを得ない。

ドイツの獣医さんは、その専門化が進んでいる。
電話帳を見るとそれが一目瞭然だ。
「獣医」という、いわゆる獣医さんの項目に続いて、
「獣医・眼科」「獣医・皮膚科」「獣医・ホメオパシー」「獣医・薬物学」
「獣医・鍼灸」「獣医・歯科」「獣医・行動療法」等が並ぶ。

日本にも、これらの領域を専門にしている獣医さんはいるのだろう。
だけど、ミュンヘンという一つの街の中に、
電話帳に載せるだけの人数がいるということと、
専門領域の情報が開示されているということが、実にすばらしい。

以前、レックスは誤診をされた上、
連続投薬は一週間以内と定められた薬剤を、
二ヶ月半近く投与され、
その薬の影響で、体調を大きく狂わせたことがある。

それが誤診と分かったのも、危険な薬であることが分かったのも、
得意分野を明示した獣医さんに移ったからだ。

この様な不幸なことが、少なくなるように、
日本でも、獣医さんの専門化と、その情報開示が進むことを強く期待する。



つづく