猫の独り言(その六)
我輩はにゃんである。
ふはぁ〜〜〜〜〜
我輩が家と決めた所は かなり朝が早い。
朝早くから 家族達はばたばたと走り回っている。
そのうるささに我輩も目が覚める うかうかしていると足や尻尾を踏まれかねないからだ。
(一度と言わず数回 経験者は語れるのだ)
ボスへの挨拶もそこそこに緊急避難する。
この家にはいくつか部屋があるが その中の一つに大きな窓が沢山付いている部屋がある。
部屋の中にいて外の様子が 何でも一目で見渡せるところが我輩のお気に入りなのさ。
(よくアホな動物は 気付かずにぶつかってしまうらしいが もちろん我輩は大丈夫)
ボスの話によると ここの場所は通称「お店」という部屋らしい。
始めの頃はなぜか我輩がここに入ることを 邪魔されたり嫌がられたりしていたが最近では
根負けしたのか何も言われなくなった。
そこで窓に一番近い椅子に陣取って 見張りをしたり昼寝をしたりして過ごしている。
そうそう我輩が他の猫と違って
人間の言葉をかなりの確立で理解するようになったのも長いことこの部屋に居たからだ。
お店という部屋はホントに人間が沢山やってくるところだった。
いろんな奴が入ってきては ぺちゃくちゃと話をする。
そのたびにお母さんは忙しい忙しいと言いながら
それでも人間が入ってくるとニコニコしながら
飲み物や食べ物を出している。
外が暗くなる頃には疲れたと座り込む。
だったら人が来ても何にもしなければいいのにと
我輩は思うのだがそうもいかないらしい。
人間の世界も 結構大変なんだと思った。
カラン〜 カラ〜ン
母「いらっしゃいませー」
ほーら 噂をすれば今日も誰かがやってきた。
こいつは見知った顔だ いつも同じ時間にやって来る。
上下同じ色の服を着て首にヒモを結んだやつだ
お母さんがお水を持っていき二〜三事話して奥に下がる。
朝のうちは同じような人間がいっぱい来る。
この時間から一時間がてんてこ舞いらしい。
カラン〜カラ〜ン
母「いらっしゃいませ」
カラン〜カラ〜ン
母「ありがとうございました」
入れ替わり立ち替わり。
人間てのはそんなに忙しいことが好きなのか?
我輩の素直な意見である。
店の中が静かになり一息つくかつかないかの頃
我輩の鼻がひくひくする。
ああ〜〜〜〜
この時間がやって来たのだ。我輩がもっとも苦手としているニオイが 今日もやってくる。
カラン〜カラ〜ン
母「いらっしゃいませ」
客1「こんにちは〜〜 今日もいい天気ね〜〜〜」
大きな声で話しながらそいつは まっすぐ長テーブルに向かっていく。
客1「あら今日は私が一番なのね」
我輩はこの人間が店に来るたびに思うことがある 人間の嗅覚はいったいどうなってんだ〜〜〜〜!!!
長テーブルから一番遠い場所にいる我輩の所にまで まとわりつくようにやってくるこの
”ニオイ”
人間はあのぐらいの年になると
こんなニオイ発する様になるのか?それとも
なんか変な物を頭からかぶったんじゃないか??
我輩は寝たふりしながら 急いで鼻を前足で押さえた。
(でもお母さんはこんな へんてこにおいじゃないしぃ)
ハッキリ言って我輩達猫族は 人間達より鼻がいい。
じゃなかったら生きていけないからな。
とってもいいにおいしてる人間もいるのに この通称
”おばさん”
と呼ばれる人間は猫の鼻も曲がるってもんだ。
客1「あら! 今日も寝てるの〜残念ね たまには相手して欲しいのに 」
母「そうですか?今まで起きてたんですけどねぇ」
そう我輩は寝ている
たとえふりでも寝てるのだ。
冗談じゃない!!
お願いだから我輩のことはほっといてくれ。
初めてこのニオイを嗅いだときあまりの驚きに
つい凝視してしまった我輩はその後地獄を見たのだ。
このニオイの軍団に囲まれ
抱えられ、、、
なで回され、、、
もう少しで失神するとこだった。
解放された後全身に取り付いた
このニオイを取るために我輩がどれだけ苦労したか。
庭にでて何回もその辺りを転げまわったり
なめ回したりハッキリ言って泣きそうになったんだ。
あんな思いはもう絶対に
ご免だ!!
猫好き猫好き言ってるけど 本当に好きならそのニオイ消してきてくれ。
カラ〜ン カラン〜
母「いらっしゃいませ」
客2「こんにちは あら今日は早かったのねぇ〜」
客1「おそかったわねぇ」
来た来た通称おばさんずが そろった。
客1「ねえねえ 今朝のテレビみたぁ〜」
客2「見た見た でも途中からだったのよね〜 あれなんだったの?」
客1「それがねぇ〜 絶対へんなのよ〜」
客2「やっぱり〜 私もそうおもったのよねぇ〜」
何が変なんだ? 思ったってぇ わかんなかったんじゃないのか??
しかし毎日毎日よく話す事があるもんだ 人間のおばさん族はこうも暇なもんなのか?
うちのお母さんなんて毎日 忙しい忙しいって走り回ってるのに。
そう言えばいつだったか 二人がやっと帰った後に新鮮な空気が吸いたくて外に出て見たら
こんどは道ばたで立ったまま話し込んでるのを見たっけ。
よっぽど暇なんだと そのとき我輩は理解したんだが。
まっ確かにこんな臭いニオイさせてるようじゃぁ 家に誰もこないのも解るがな。
だからってうちに来て うるさくしなくてもいいんじゃないか??!
人の猫の迷惑ってもんを考えろってんだよ。
それからも永遠と続く
おばさんずのニオイ&話攻撃に
我輩は尻尾で鼻を両前足で耳をふさいで
寝たふりを続けた。
(お願いだ 早く帰ってくれぇ〜〜〜〜〜)
我輩の心の声が二人に届くことはなかった。
{臭い=化粧の臭いです}(ボス談)


