ネズミザメ目 ミツクリザメ科 ミツクリザメ属 ミツクリザメ
Mitsukurina owstoni Jordan 1898
ミツクリーナ オーステン  ジョルダン 1898年発見

和名:ミツクリザメ(箕作鮫)
英名:Goblin shark(ゴブリンシャーク:悪鬼鮫、妖魔鮫)

 ミツクリザメは深度1,200m程度の深海に住む鮫で、日本では東京湾、相模湾、駿河湾、
土佐湾、海外では南アフリカ,オーストラリア、ポルトガル等で捕獲されている。

 体長4m程度まで成長し、体は非常に柔らかい。
体色はピンクがかった透き通った白色で、死ぬと栗色に変色する。
吻は著しく長く平べったくてロレンチーニ瓶が多い。
頭部上面に松果体窓があり、光を感知する事が出来る。
鼻孔は筒型で魚雷発射管の様に見え、よく目と勘違いされてしまう様だ。
には瞬膜が無く小さい。
口は著しく前方に突き出す事が出来て、内側に曲がった鋭い鉤爪状の歯を持つ。
鰓は5対、噴水口は小さく目の真後ろに位置するが、口を突き出すとかなり下方に移動してしまう。
胸鰭、背鰭等は小さくふちが青い、尾びれは上葉が長くて、下葉はほとんど無い。

 食性は海底にいるイカや小魚を、その特徴ある口で泥ごとすくい、首を左右に振って歯の間から
泥を出し、餌をこしとって丸飲みすると考えられる。
この為ミツクリザメの胃袋からは、しばし木片やら植物の種等が見られ、海底に沈んでいるゴミを
誤飲してしまう様だ。
実際にミツクリザメの胃から出た物は、

・イカや魚の目多数
・魚の浮き袋多数
・ソコダラ(深海性のタラの一種)2匹
・木の実や木片

などである。

ミツクリザメは餌を丸のみするタイプの鮫であり、他の鮫の様に消化出来ない異物を飲みこんだ場合、
胃袋を反転させて口から出す、「胃袋洗い」をすると推測される。
海外で見つかった固体は、胃袋が口から出ていたそうです。

 生殖については成体の子宮形状から、卵胎生であると言われているが、まだ誰も胎児を確認して
いない。
交尾の方法は良く分かって無いが、ヨシキリザメの様に雄が雌に噛みつく方法はとらないと予想される。
(歯が鋭すぎる、雌に噛み傷が無い、雌の皮膚が厚く無い)
子供は約1m程度の大きさで生まれると思われる。


(管理人のう・ん・ち・く♪)
 ミツクリザメは管理人が一番好きな鮫です。
その為深海鮫調査の際には、必ずミツクリザメを捜し求めるのである。
ミツクリザメ発見のエピソードは、なかなか面白いお話なのでここで紹介しよう。

 英国の動物学者Owston(オーステン氏)は快速ヨットを使用し相模湾の魚を採取していた。
すると見た事もない不思議な鮫が採れたので、甲板上で驚き転んでしまう。

『オー!!ステンッ!!』

・・・・・失礼、そこでオーステン氏は、帝国大学(現東京大学)の三崎臨海試験場の館長であった、
箕作佳吉(ミツクリカチキチ) の元へ持ち込んだ。
長い吻、飛び出す口、ぐにゃぐにゃな体、日本を代表する動物学者、箕作博士もこんな鮫見た事無い。

『こりゃ、ミックリ!!(びっくり)』

・・・・・失礼、そこで1898年に米国のオットセイ会議に標本化(剥製?)し持ち込み、
Jordan(ジョルダン氏)に鑑定を依頼した。さて、ジョルダン氏も

『こんな鮫見た事ナイデース、ジョルダン(冗談)ジャナイ!!』

・・・・・失礼、と言う訳で新種として認められたのだった。
翌年、箕作氏、オーステン氏、ジョルダン氏の名前から、Mitsukurina owstoni Jordan 1898
(ミツクリーナ オーステン ジョルダン:ミツクリザメ科ミツクリザメ属オーステン種)
とし、ミツクリザメが誕生したのだった。

しかしその後、ミツクリザメの歯が古代の鮫の化石と類似しているとして、ミツクリーナを廃止し
Scapanorhynchidae(スカパノリンクス)とされてしまった。
古い書物にはこのスカパノリンクスの名が付いているが、最近の図鑑ではミツクリーナに戻っている。
箕作博士等が猛抗議したかどうかは、知った事ではない。

箕作博士が標本化したこの初めてのミツクリザメ、『ミツクリーナアダム』は現在行方知れずとなっている。
第2次世界大戦、関東大震災で多くの学術資料が紛失、焼失したのだ・・・・・・
フィッシュデータによると、ロストつまり失われたとなっている。
しかし私は、東京上野にある科学技術館のミツクリザメ剥製がこの標準標本では無いかとにらんでいる。
固体プロフィール不明なのだ、これがミツクリーナアダムに違いない!!

(ミツクリザメのイメージカラー)
ミツクリザメの体色は透き通ったピンクがかった白色であるので、このページのバックカラーは白、文字色はピンクとなっている。
当初コメントが見にくいのでは無いか?との危惧もあったが、意外とそんな事は無かった。
ちなみにミツクリザメは死後体中が充血し、赤みを帯びるがその後急激に栗色になり、ホルマリンで保管中どんどん灰色っぽくなって、最後は真っ白になる。
充血して、顎を突き出した姿は正に悪鬼鮫である。



ミツクリザメの生物学
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