●超新星・秋山準の苦悩
殺人鬼。
キレイな戦い方、そしてフェアな戦い方をする選手。
三沢・小橋の後継者で生粋のベビーフェイス。
リングの上で身体以上に頭を使いクレバーな動きを見せる選手。
そんな若手の秋山が一夜にして「殺人鬼」になったのだ。
1998年7月、小橋対秋山、三冠戦。
秋山はこの日を境にラフ攻撃もするヒールの一面を見せるようになる。
試合は凄惨なものだった。痛めている小橋の足を徹底して一点集中攻撃。
足を引きずりやっとの思いで立ち上がる小橋の足をおもむろに蹴りつける秋山。小橋のうめき声が武道館に響いた。
30分を越える激闘。その間中秋山は小橋をいたぶり続けた。
破壊力で上回る小橋が最後は強烈なラリアットで勝利を収めるが、そのラストシーンより這いつくばる
小橋を冷たい表情で眺める殺人鬼のようなレスラー、秋山の誕生の方が僕には衝撃だった。
秋山がトップを取るために取った選択、それは決して馬場が教えたものでは無かった。
「ボクは三沢さんでも小橋さんでも無い。ボクはボク。ただ誰にも負けない」
そんなメッセージを秋山が送っているように見えた。
●ノアの方向性を変えた秋山革命
それから2年の歳月が過ぎ、三沢が選手を引き連れ全日本プロレスを退団。
新たにノアという新しい団体を立ち上げた。
旗揚げ戦のチケットは開始20分で完売。プロレス界全体の今後を占うことになる新団体ノアの注目度は
非常に高いものがあった。実は僕もこの試合のチケットを取るためチケットぴあに朝6時から並んだのだけどなんと
僕の前に3人もの人が、、その全員がノアの旗揚げ戦希望。結局初めの一人しかチケットを手にすることが出来ないと
いう異常事態だった。
ファンはみんながみんな、ノアプロレスというのは因縁も何もなくただリング上でフェアに熱いプロレスをする全日時代からの
スポーツマンシップに乗っ取ったプロレスだと思っていた。この男が暴れなければ。。
その男が秋山準。
開幕戦の入場では往年のリックフレアーを思わせる豪華なファーのついたコスチュームで登場。
花道途中で会場全体を見回し両手を広げて観客を盛り上げる。文句無しのかっこよさ。
他の三沢、小橋、田上が全日時代とあまり変わらない格好での入場だっただけにそのインパクトはすごいものがあった。
試合も秋山一色!
ノアの社長であり日本プロレスのエースである三沢光晴を3分間で締め上げ失神させる。
続く古豪、田上明にも急角度のエクスプロイダーでKO。
翌日にはライバル小橋健太を失神KO。
荒れるリングの上で観客に向けて秋山はこうシャウトする。
「いいか、ノアを知りたければ俺を見ればいいんだ!!」
この後も全日時代は考えられなかった抗争劇を彼が演出することになる。
・小橋健太を徹底的にいびりまくり、屈辱に屈辱を味わせ、ついに「怒りの小橋健太」という新しい小橋の一面を引き出す。
・力皇、森嶋、金丸、志賀、橋というデビューしたての若手選手達をあるときは敵となり、ある時は味方となり育て上げトップ
へと育て上げる。
・三沢からGHCのベルトを奪取。以後何回も防衛を繰り返しノアを名実共に引っ張る。
・新日の永田と共に決起。タッグを組んで武藤と戦ったり、直接熱い戦いをしたりする。
そして何より新しかったのは秋山がリング上だけで無く、リングを降りマイクを握っても自己主張をどんどんしていった
こと。新日との厚い壁を破ったのは秋山の言葉に寄るところが大きいし、若手にも厳しい言葉を浴びせることでそれぞれ
の個性を伸ばしていった。秋山にマイクを向けられた瞬間プロレス界の流れが変わっていく、という現象が起きたのだ。
過去に例を見ないまるっきり新しいタイプのレスラーなのである。
●この一言と今後への期待
割とマスコミ向けに言葉を選ぶ秋山だが、一度だけ本当に素でコメントしたことがある。
2000.12.23対小橋戦の試合後。試合は負けはしたもののプロレス史に残るような試合をした後、ライバル小橋に
対する正直な気持ちを打ち明けている。
「(大会を終えて)ノアは最高?・・・・・最高なんじゃ無いですか。ノアは最高。。。
いやノアが最高なんじゃ無くて小橋健太が最高。それがノアにいる小橋健太だからノアが最高。
ボクの中ではこの二つがイコールになっているんです。」
まるで恋人に打ち明けるようなこの一言(笑)。これが今後のノアの指針になることは間違い無い。
そして秋山が「最高」と称する小橋が5度の手術、一年半の治療生活を終えてリングに帰ってきた!!
期待せずにはいられない。。もう一度熱い戦いを!
僕の中でも小橋選手は最高。しかし秋山選手が忘れているのは「秋山に対抗するから」小橋が最高なのである。
二人の頂上対決はいつ実現するのだろうか?プロレスファンはこの二人から目を離してはいけない。
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