●代わりにされた男
そもそも何故小川とあれだけの因縁を持って橋本が戦わなければならなかったのか?
何故新日の強さの象徴と言われた男があそこまで追い込まれたのか?
いろいろな説が流れ飛ぶ。しかしこうでは無いかと憶測される。
ここからは僕の説なので「そういうこともあるかもなあ」と思って聞いて欲しい。
まず新日内部には「猪木派」と「長州派」があった。
猪木派は会社のオーナーの立場から有名選手をリクルートし、ビックマッチに投入する。
また猪木の好みにより、総合格闘技向きの選手がほとんどだった。
反対に長州派は現場重視。道場で下積みを積みゆっくりでも力を付けていく。
年間130試合近く、全国を巡りながらこなし、いわゆるプロレスを追求する。
小川は猪木派の選手のトップ。長州はそんな小川を憎んだ。
しかし自分は引退しており、実際に真剣勝負を挑んだとしても勝ち目は無い。
そこで真面目で人が良く、しかも「猪木派」と「長州派」の真ん中にいる橋本に目を付けた。
「彼なら勝てるかもしれない。もし負けたとしても現場の平穏は保たれる」・・
(これは橋本がある雑誌でオブラートに包んで言っていたことを、僕なりに解釈したものである。)
●しょうがねえなぁ
橋本はVS小川戦の度に出てくる長州の名前が出る度にこう思ったという。
「汚いかもしれないけどこれも長州さんの魅力。しょうがねえなあ」
橋本、小川の戦いは猪木や長州、藤波、坂口と言った会社トップの人達をはじめ選手間でも多くの選手を巻き込み
どんどん泥沼化している。頭を剃り、ダイエットをして肉体改造にまで励む橋本。そこにかつて破壊王と恐れられた
面影は無かった。
しかしそんな橋本の努力を吹き飛ばすぐらい小川の強さは強烈だった。
橋本は戦う度にただの負けでは無く「完全KO失神」を味わうことになる。
そう、一つ断っておきたいのは小川という最強の選手相手にあそこまでの試合をしたのは橋本しかいないということ。
恐らく小川はこれから先も、対橋本戦以上の試合はすることは出来ないだろう。。
そして通算5度目のシングルを前に、小川との試合を実現するために橋本は一つの決断をすることになる。
●「負けたら即引退」というテロップ
それが「負けたら即引退」という言葉だった。まだ若くてトップにいるレスラーが一人の選手と戦うために
発する言葉としては重すぎる言葉だった。
しかしここでも橋本は利用される。テレビ朝日が橋本VS小川戦という試合を成功させるため、昼も夜も
このテロップと小川に叩きのめされ立ち上がる橋本の画像をCMで流し続けた。
注目の集まった試合当日のテレビ画面でも「負けたら即引退」というテロップが2時間の放送中ずっと張り付いていた。
この試合、橋本はかつての試合から考えられないくらい小川を追いつめる。
実際途中の攻防の時、小川の左腕は脱臼したという。
しかしそれでも小川は強かった。STO6連発。圧倒的な強さで橋本は敗れ去った。
テロップはあだとなった。
●引退、復帰、辞職、ZEROONE立ち上げ
そこからの橋本の人生の流れはすごいものがある。簡単に書いてみると
引退宣言に沿った引退→復帰→新日内部での対立→新日辞職、ノアと接近→自分の団体・ZEROONEを旗揚げ
→ノア上陸→小川との共闘→新日再上陸
小川がいなければ橋本はただの強い選手で終わっていたかもしれない。
しかし今、昔のような蹴って蹴ってDDTの時の強さとは違う精神力の強さが橋本には備わったと思う。
破壊王は永遠なり。辛かったり苦しくても「しょうがねえか」と開き直れる強さを身につけた気がする。
橋本は新しい団体についてこういう言葉で説明している。「破壊無くして創造無し」
そう、自分さえも壊してしまった破壊王が新たに強くなって帰ってくるような気がするのだ。
2002.8.6

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