小橋 健太選手(ノア)

鉄人と呼ばれる鋼鉄の筋肉を持つ小橋健太。青春の握り拳
長年の激闘がたたり、5度の手術を要する1年半の欠場に追い込まれていたが、7月にようやく復帰。
以前と変わらぬ熱い戦いを日々見せてくれている。
温厚で誠実な人柄から「この人本当にプロレス出来るのだろうか」と思ってしまうが、
一度レスラーとしてのスイッチが入ると鉄人の鉄人たる所以がわかるというもの。
ハーフネルソンスープレックスや滞空時間の長いブレーンバスター、
そして今や代名詞と言える剛腕ラリアット、そしてトドメのバーニングハンマー
気持ちいいほどに「強さ」を見せつけてくれる。

今は復帰直後でまだ本調子では無いが、最強と言われた彼が戻ってくるのはいつだろうか?
楽しみでならない。

彼はすごい人気レスラーだが、特に女性ファンが多い
ルックスの良さと人柄の良さが際だってるからだろう。

私も試合会場で一度握手してもらったことがあるが、彼の手はホントに熱かったよ。





●有明コロシアム 2000.12.23

ノアの一年目の集大成。

2002年12月23日。メインカード。ノアの船出の年を引っ張った秋山準と小橋健太が戦うステージ。
僕にとっては初めての小橋の試合生観戦だった。
いつものごとくゴージャスなファー付きのガウンで秋山選手が先に登場。
その後からピアノで奏でる入場曲で小橋が入場。

この時点で僕はこの試合を疑った。小橋が入場時から足を引きずっている。ベストコンディションとはほど遠い。
ゴングがなり、試合が始まった。
チョップとエルボーの打ち合い、グランドでの展開、ハーフネルソンとエクスプロイダーの打ち合い。
全くの五分五分の展開。どちらも引かない。
試合は場外戦で動き出す。秋山が花道を駆けて放ったエルボーが鈍い音とともに小橋の目を直撃する。
ガゴ!!!!
肉体の壊れる音を初めて聞いた気がした。みるみるうちに小橋の目が腫れ上がっていく。
おでこの辺りから頬の部分まで腫れ上がり小橋はまるで片目が見えない状態。足の状態も最悪でリングでもまっすぐ
歩けない。。。。。

しかし試合はここからだったのだ。
ハーフネルソン、ツバメ返し、パワーボム、花道でのDDT。
秋山も小橋の腕や痛めた足を壊しにかかる。鉄柵を使って故障個所を打ち付けていく。
試合は30分を越えた。秋山の必殺技をすべて受けきった小橋。まだ倒れない。
業を煮やした秋山は小橋をトップロープに乗せる。秘技中の秘技、雪崩式エクスプロイダー。非常に危険な技である。
しかしここから小橋が目覚める。トップロープからのラリアット。次に至近距離からものすごい剛腕ラリアットを打ち込む。
しかし秋山は負けない。
そして試合はクライマックス。もっとも危ない技とされるバーニングハンマーを小橋がしかける。
このバーニングハンマーという技、抱え上げて相手を垂直に落とすのだが、危険とされるのは首が背中側に折れる技だからだ。

場内総立ち。1万2000人の観客が足を踏みならす。そんな中公開処刑のようにバーニングハンマーは放たれた。

小橋の完勝。
あまりの興奮に息をするのを忘れた。

帰り際、もう見えなくなった目で場内を見回し、まともに歩けないので若手の肩を借りて小橋が客に深々と頭を下げた。
このシーンこそが小橋のなんたるかを物語っていると思う。

長い欠場をしていたのは他でも無いこの試合のせいだと思う。しかし小橋は決して後悔しないだろう。
小橋は身体をこの試合にささげたのだ。



●ファンを愛する男

小橋は冗談じゃ無く、リップサービスでも無くファンにいつも感謝している。

小橋の試合スタイルは相手に攻めさせるだけ攻めさせて耐え抜いて
「小橋さんには何をやってもかなわないのでは・・・」
と思わせた上で、周囲が55cmもある上腕から放たれる強烈なラリアットで相手を仕留める、というものだ。
怪我をしている選手としては無理な試合スタイルで戦っていると言える。

しかしあるインタビューで彼はこう語っている。
「俺の試合で喜んでいるファンがいる以上、俺はこのスタイルを貫く。
(怪我がひどいので大きい会場でだけ試合すればいいという意見も多く出ているが)全国で俺のファンが待っている
以上、俺はシリーズ全戦に出場し、俺の戦いをしなければならない」。
そう、さっき書いた試合後の小橋のおじぎはこういった意味合いのあるものなのだと思う。

誠実な人柄でルックスもよく、ファンに愛される男、小橋。
しかし何故か独身である(笑)
まだまだリングの上でやるべきことがたくさんあるからなんだ、、なんて僕は勝手に想像してしまうのだ。



●熱い青春の握り拳を握って

硬く拳を握って胸の前でガッツポーズ。小橋の有名なパフォーマンス。
ファンはそれを「青春の握り拳」と呼ぶ。
小橋はどんな試合でも青春の握り拳を握って戦う。
拳が握れなくなるまで。。

今後ライバルである秋山選手や高山選手との抗争が始まるだろう。
僕としてはまた、というかお互いの身体が保つうちにもう一度三沢と素晴らしい試合をして欲しいと思う。

小橋のプロレスを見ていつも思うことがある。
「シュートを越えたところにプロレスがある」
それを体現できるのは小橋だろうと。こちらまで熱い拳を見ながら観戦してしまうのだ。


                                                     2002.8.4




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