〜 濾過予備知識 〜

「魚を育てる=生きた濾過システムを育てる」とまで言われています。
魚を飼育していけば水は汚れます。そのため水槽には濾過装置がくっついて水をきれいにしています。
「濾過装置って汚い水をフィルターで濾してるんでしょ?」と漠然と思っていました。「濾過装置なんてたいそうな名前ついてるくせに換水しなくちゃいけないなんて、ダメダメじゃん。JAROに言いつけちゃうぞ!」などとまで思っていました。
魚を飼育していくうえで濾過の知識は必須だと思いますので、本やネットで集めた予備知識程度をまとめてみます。


[1.濾過サイクル] [2.バクテリア] [3.増殖] [4.海水] [5.その他補足]



1.濾過サイクル

濾過イメージ図

  1. 魚を飼っていくために餌を与えます。残り餌は水を汚すとともに、餌を食べた魚は糞尿を排泄し、非常に毒性の強いアンモニアが発生します。これが毎日発生するのでそのまま溜まり続ければすぐに魚は死んでしまいます。(なお、アンモニアの80%はエラから発生するという話もあり)

  2. そこで濾過装置の出番ですが、まず「物理濾過」(ウールマット等)で目に見える残し餌や糞等の汚れが取り除かれます。私のイメージではここまでだったのですが実際に重要なのは、次にバクテリアが活躍して行われる「生物濾過」(スポンジ、リング濾材等)なのです。

  3. 先ずバクテリアAが、アンモニアを毒性が多少低い亜硝酸(NO2)に変化させます。

  4. 続いてバクテリアBが亜硝酸をさらに毒性の低い硝酸(NO3)に変化させます。

  5. これで魚が日々生きていける水になるのですが、この硝酸も多量に溜まれば魚に悪影響を与えます。通常の水槽(濾過装置)では、この硝酸を換水で取り除くしかありません。
不定期でも換水が必要といわれているのはこういうことだったのです。

アンモニアニアを硝酸にかえるまでバクテリアが適正繁殖し、水質が安定した状態を"水槽が立ち上がった"といいますが、水槽を稼働させて1ヶ月から、海水水槽では半年程度かかるとまで言われています。
また同じ毒素1gでも、1Lの水に溶かすのと、1000Lの水に溶かすのでは当然与える影響(濃度)が異なります。つまり水容量の少ない小型水槽では水質変化・悪化が激しく、バクテリアが繁殖していない水槽セッティング当初は非常に過酷な状態と言えるでしょう。



2.バクテリア

前述のようにアンモニアを硝酸までにしてくれるバクテリアA/Bは硝酸菌と呼ばれ、好気性バクテリアであり十分な酸素が必要です。逆に硝酸を毒性の高い亜硝酸に戻してしまう嫌気性バクテリアも存在し、これは酸素がたりない水が留まっているところで繁殖します。(硝酸を無害な窒素ガスに替えてくれる嫌気性菌も存在します)
またバクテリアAは割と早く増殖し、それと比較するとバクテリアBはゆっくりと増殖するそうです。
このため魚をいれた初期水槽の推移は、

水質グラフ
  1. バクテリアがまだ繁殖していないため、アンモニアが増えていく

  2. 数日(?)でバクテリアAが繁殖しだし、1週間程度(?)でアンモニアは徐々に増加傾向から減少方向に移っていき、その代わりに亜硝酸が発生してくる

  3. 数週間後(?)に亜硝酸値のピークを迎えるまでは、魚の体力勝負。危険値に近づいている場合は換水が必要ですが、あまり早めだとバクテリア繁殖が遅れるかも

  4. ある期間後、バクテリアBの繁殖でやっと亜硝酸値が減少、硝酸が段々と高くなっていく

という推移をします。期間は水槽、濾過装置、魚数などで異なります。
うちの場合は、魚を1匹いれ数日後に微量ながら亜硝酸を検出、その後亜硝酸はほとんど検出しなくなり1週間後に硝酸を計ったところある程度検出できましたので、恐ろしく早いですが(魚1匹にたいする)生物濾過が稼働しだしたと思われます。

なおバクテリアは、生体数(アンモニア等の供給量)に応じた数までしか繁殖しません。このため水質が安定したからといって、生体を一気に増加させれば、ある期間は濾過不足となりますので注意してください。



3.増殖

それでは水槽をセッティングし、早期にバクテリアを繁殖させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
  • 魚を入れる

    当然えさ(この場合アンモニアニア等)が無いと増殖しません。このため餌を発生させる魚が必要となり、この魚をスターターフィッシュ(又はパイロットフィッシュ)と呼んでいます。危険な任務を負うスターターフィッシュは、水質悪化・病気に強く、また死亡する可能性があるため安価のものが適切で、海水だとスズメダイが有名です。
    汽水だと適当なものがいないようなので、ここは真打ちのミドリフグ君にスターターフィッシュを兼任してもらうことになると思います。但し1〜2匹程度にしておきましょう。
    また事前対応として、餌、肉などを少量水槽に入れて腐敗によるアンモニアニア発生を行う方もいらっしゃるようです。他の水槽をお持ちの方は、定期的に取り除く糞を入れても良いと思います。

  • 酸素

    硝酸菌は好気性バクテリアであり十分な酸素が必要です。魚への酸素供給というよりはバクテリア繁殖のためエアレーションを強めにしましょう。

  • 濾材

    繁殖するためには住処(濾材)が必要です。繁殖・定着がしやすいようまた効率があがるよう濾材は水の流れがスムースで表面積が多いものが望まれます。細かい穴がたくさん空いているセラミック濾材(リング型等)や、珊瑚砂、スポンジを使用する例が多いです。但し高価な濾材が価格に見合った性能かどうかは、各人の判断におまかせします。 また他の水槽をお持ちの方は、バクテリアが繁殖した濾材(底砂含む)・水(種水)を少々分けて使用すると立ち上がりが早いそうですが、当然エサとなるものも供給しないと死滅してしまうと思いますので注意。

  • バクテリアの素

    バクテリアの素というものが市販されています。目に見えないため効果の保証はありませんが、初めはおまじない的にも入れておきましょう。液体タイプが使いやすくてお勧めです。なお安定しつつあるときに使用すると水槽内のバクテリアのバランスが崩れ自然菌が激減してしまう場合があるため、使用は初期のみに限定した方が良いと思います。



4.海水

さてミドリフグは汽水(淡水海水の中間ぐらい)から海水濃度での飼育となりますが、海水水槽は難しいといわれています。ここで海水水槽の特徴を一部上げてみましょう。

  1. バクバクテリアの繁殖には十分な酸素が必要であるが、海水は酸素が溶け込みにくい。即ち重要なバクテリアが繁殖しにくい

  2. 海水はPH値が高いため、アンモニアが毒性の低いアンモイオンに変化しにくく、淡水より毒素がたまりやすくなる

  3. 魚と海水との間は浸透圧の差で水分が移動します。この差が激しいと魚にダメージを与えることとなります。比重は、自然蒸発や換水などで変化してしまいますが、急変しないよう比重管理が必要。
    またこの浸透圧の関係で、海水魚はほとんど尿は排出せず、濃度の濃い糞をする。

  4. 海水個体は、膨大な水量で水質変化の少ない一定の環境で育っている。このため水質の悪化・変化に弱いものが多い。1.、2.、3.、により水質悪化が急激な初期に落ちてしまう確率高し。

  5. 海水(人工海水の素でOK)を用意する必要があり、ちと面倒だしコストもかかる。またエアレーション等で塩ダレと呼ばれる塩等の結晶が発生してしまい、その影響は水槽内に留まらない場合がある。

いろいろ書いてきましたが、珊瑚砂や人工海水を使うことから微量元素やPH値をそれほど気にすることもなく、水槽が立ち上がってしまえば淡水より楽とまで言われます。(無脊椎除く)
またミドリフグは海に近い河口付近から浅い海で生息している汽水魚なのですから、比重を含めた水質変化に強いと推測できます。汽水なんていう言葉に臆することはありません。ずぼらで素人の私にできるのですから、貴方にもきっとできます。



5.その他補足

■濾過方式

濾過方式(?)は、以下の2種類または組み合わせて利用されます。
  • ウェット:濾材が水に常時つかっているタイプで、底面フィルターや外部密閉フィルターはこのタイプ
  • ドライ :濾材が常時水につかっているわけではなく、水が通過するタイプ

硝酸菌のためには、濾材に酸素が十分含まれた水を淀みなく供給する必要があるので、単純に考えるとドライ方式の方が有利なように思えます。ドライ方式は水が常時流れているのでヘドロ等が溜まることも少なくメンテナンスも容易とのこと。但し肝心の水がさらさら流れてしまうので、通過面積・スピードによっては効率的な濾過が行われない可能性があると思います。容量の少ない濾過器でドライ方式のみというのはちと無謀!?

■濾過フィルター

濾過フィルターとしては、上部式、底面式、水中フィルター式、投げ込み式、外部式、壁掛け式などがあります。いろいろ調べて自分の水槽にあった方式を見つけてください。なお清掃時やトラブル時のバクテリア全滅・水質急変を避けるため、及び濾過能力をUPさせるため複数の濾過ファイルターを併用すると安心です。
私を含めた初心者の小型水槽では、「上部式+投げ込み式」、「壁掛け式+投げ込み式」がメンテも用意でお勧めできると思います。投げ込み式はエアレーションも兼ねられるため小型水槽のサブとしては最適でないかと思います(超小型水槽では水槽内がせまくなるので使えないかもしれません)。
また上部式のストレーナーにはスポンジフィルターをつけると魚等の吸い込み防止も兼ねつつ効果が期待できます。但し短期間に汚れるそうなのでまめな清掃が必要とのこと。

私のタンクは上部式+底面式(直結)ですが、物理濾過を含め底面(珊瑚砂)による濾過がメインとなっているようです。なにせ上部濾過層の容量が小さい!リング濾材に変更しパワーアップを狙ったのですが、変更時の水質悪化も認められず既存はまるで役にたっていなかった様子。パワーアップも単なる自己満足で終わる予感。
底面式は安価で性能も良いのですが、物理濾過と生物濾過を水槽内で兼ねてしまっているため継続的な性能維持には底砂の掃除が必須。底砂(濾材)にはゴミやヘドロが溜まり、水が流れにくくなると水質浄化ではなく水質悪化となってしまいます。また底砂のゴミを下手にとろうとすると、水槽内にもうもうとゴミが舞い上がり魚が病気になることもあるそうです。私みたいなぐうたらが継続できるのか不安。

■エアレーション

濾過装置によっては落下水により酸素を取り込ませるものもありますが、余裕があるならばエアレーションを別途行う事がお勧めで、以下の効果が期待できます。

  • 酸素をより多く供給できるためバクテリアの繁殖に有効
  • 水温の低下に役立つ(少々だけど)
  • 気泡がはじけるときに窒素等の不純物をいくぶん空気中に排出してくれる・・・らしい

デメリットとしては泡がはじけることによる塩ダレが発生。他に水草のためCO2を添加している場合には抜けてしまいますが、ミドリフグ水槽に水草いれてる人は少ないと思いますので、水槽初期には強めのエアレーションをしてバクテリア繁殖につとめましょう。
なお水面近くに産卵箱等を逆にしてくっつけておくと泡はねが少なくなりますが、水槽内が狭苦しく見えるので外しちゃいました。

■吸着濾過

小型水槽では外掛け式のワンタッチフィルターがセットになっているものをよく見かけます。箱を眺めたりしただけなのですが、2種類(物理+吸着濾過)のフィルターを1ヶ月等で交換していくもののようです。
当然、今までお話していた「生物濾過」を期待しているものではなく、活性炭等で有毒なアンモニア等を吸着するタイプだと思われます。1か月毎の濾材交換というランニングコストを気にしなければ、初期から安定した効果を発揮しつつ簡単なメンテナンスでOKなので、小型水槽では便利だと思います。
なお使ったことがないので、これ一つでどこまで濾過できるのかは不明。できるだけ大きめフィルターを購入した方が安心でしょう。また趣味的(?)に改造を行い、生物濾過用の濾材を使用している方が結構いらっしゃいます。なおポンプの調子が悪くなることがモノによってはあるようですが、価格を考えるといたしかたない?

あと活性炭による吸着濾過の特徴は、即効性がある反面、不純物をため込む限界があるということです。限界を越えると、吸わないどころか今までため込んだものを逆に吐き出していく(実際は吸着分を吐き出すという説有り)ので、早めの濾材交換を忘れずに行いましょう。

■その他の濾過システム

世の中には長期的に換水を必要としないシステムがいろいろあるようです。
今まで話してきた生物濾過(正確には硝酸菌濾過)の最大の欠点は、硝酸が蓄積し定期的な換水が必須という点です。この硝酸を除去するためには、水草・海藻類を大量にいれて消費させるか、一部の嫌気性バクテリアにより硝酸を窒素ガスに変換し排出させるかが一般的なようです。
その中でも、メインの濾過器を持たず植物や微生物等の多種の生物を最大限に利用したナチュラルシステム(?)と呼ばれているものがあり、自然に近いサイクルを水槽内で実現しようとしています。海水水槽ではプロテインスキーマーとライブロック・ライブサンドを利用したベルリン方式が有名ですが、なかなか微妙な調整やバランス及び経験が必要なようで、特に小型水槽では難しいようです。興味ある方はいろいろ調べてみると楽しいでしょう。

ナチュラルシステムではないですが、YANO SYSTEMというところでは、水槽内で別個に嫌気性バクテリアを飼うエリアを利用したシステムが売られています。魚だけを飼いたい水槽であればこちらの方が容易な気がして、非常に興味があります。さてさて実際の効果はいかがなものなのでしょうか?使用している方がいらっしゃいましたら、ぜひご感想をお願いします。
(2002/09 海水水槽をヤノシステムで立ち上げました)

また前節ででてきた吸着濾過も考えようによっては非常に効果的な方法だと思います。生物的濾過に頼らなければ硝酸も発生せず、有害なアンモニアニア等だけを吸着するのであれば換水の間隔も延ばせるような気がします。超小型水槽であれば、下手な生物濾過にたよらず吸着濾過に徹した方がスマートなのではないでしょうか?濾過能力が足りるかどうかは不明ですけど(^^;

世の中には、いろいろな方がさまざまな方法で濾過に取り組んでいるようです。生物濾過(硝酸化濾過)に限らず、いろいろな面から自分の濾過を考えてみるのも楽しいでしょう。

■余談

市場には、濾過・水質添加剤関係に対する様々な製品があふれかえっています。効能書きを見るとどれも欲しくなってしまうものばかりです。
但し、ちょっと冷静になりましょう。企業は製品を売って儲けているわけですから、いいことばっかり書いています。それなりの価格で誰にでも同じすばらしい効果が現れる製品であれば、その製品は瞬く間に世の中に浸透し、他の製品を駆逐するはずです。私は残念ながらそんな製品を聞いたことがありません。
また効果が期待できるものでも、ピンキリでしょう。例えば、評判が良い麦飯石でさえ、産地によって効果(本当にあるか不明)が全く違うようです。業者の裏話で、「紛い物だけど、価格を安くすると効果が疑われるので、わざと高くすると売れる」という話まであります。ここまでひどくなくとも、効果を大いに謳っている製品は、まゆつばで眺めましょう。特に「これさえ入れれば水替え不要!」などというものは・・・(以下自粛)

中には良い製品があるのでしょうが、私の眼力では見分けがつきません。眼力が備わるまでは、できるだけ余計な製品は買わずに飼育したいものです。(金がないわけじゃ・・・無い・・)