甦れ、フクロオオカミ!
 

 

 

 

 

 


かつてオーストラリアにフクロオオカミと呼ばれる奇妙な動物が生息していた。全体が黄褐色で、背中には黒い縞模様。トラを思わせるその配色から「タスマニアン・タイガー」とか、鋭い牙をもつオオカミのような風貌から「タスマニアン・ウルフ」などとも呼ばれている。体長は約1.5〜1.8m。体高約60cm。実際はネコ科のトラ、イヌ科のオオカミの仲間でもなく、カンガルーやコアラと同じ有袋類に属する。肉食有袋類では最大の動物だった。フクロオオカミは古代よりオーストラリア本土及びニューギニアに生息する動物だったが、ニューギニアでは有史以前に、オーストラリア本土では紀元前2600年頃に姿を消したと言われる。1万1千年前にオーストラリアの先住民が残した壁画にはフクロオオカミの姿が描かれていた。オーストラリアでは人類の入植(現在のアボリジニの先祖)と、その人間が持ち込んだディンゴ(野生化したイヌ)がフクロオオカミの絶滅の原因と考えられている。しかしオーストラリア本土では絶滅したものの、タスマニア島には20世紀の初めまで生息していた。

 

しかしながら人間の入植は留まることを知らず、やがてタスマニア島にもその波が押し寄せて来た。フクロオオカミは林や草原に生息し、カンガルーやワラビー、鳥類などを主食とした。人間の入植と共に彼らはその生息域を追われ、かつ人間の飼育するヒツジを襲うと言う理由で迫害を受けるようになった。1888年政府は懸賞金を付け、1914年までの26年間で2268頭のフクロオオカミを殺した。更に人間の飼い犬のジステンパーの伝染により、絶滅の一途を辿った。ようやく1938年に政府によってタスマニアにフクロオオカミの保護区が設けられたが、皮肉な事にその2年前の1936年

9月にタスマニア島のホバート動物園で飼育されていた最後の一頭が死亡。この時、既にフクロオオカミは絶滅してしまっていたと言う訳だ。

 

ところで近年、興味深いニュースが入ってきた。オーストラリア博物館が1866年からアルコール保存しているフクロオオカミの幼獣標本の心臓と肝臓から採取した組織からDNAを抽出する事に成功。クローン技術によってフクロオオカミが復活する可能性が出てきた。この後DNAを全て複製し、染色体の構造を作るなど、復活への道のりは遠いが、興味は尽きない。また今回抽出されたDNAはマウスの受精卵に入れられた。その後、このDNAがマウスの軟骨細胞で機能し始めるのが確認されている。全ての基礎が整い、母体となる有袋類(カンガルーやタスマニアン・デビルなどが考えられる)の腹から絶滅したフクロオオカミが復活する日は来るのだろうか?素人の想像だが、わくわくする。

 

■参考資料

・『失われた動物たち―20世紀絶滅動物の記録』

プロジェクトチーム編 (広葉書林)

 


・『ムー特別編集 世界UMA未知動物大百科』

(学研)

 

・『ナショナル・ジオグラフィック 日本版 1999年2月号』

(日経ナショナルジオグラフィック社)

 

・『朝日新聞記事』

映像(You Tubeへ)                                                

 

 

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