宮沢賢治『イーハトーブ童話』の中のオオカミ
 

 

 

 

 


                                                                          

 

 

 

賢治の作品には少なからずオオカミが登場する。西洋の童話に見られる恐ろしい狼とは対照的で、

自然の象徴として描かれていることが多い。

 

『狼森と笊森、盗森』

狼(オイノ)はみんな歌を歌って、夏のまわりの燈籠のように、火のまわりを走っていました」

狼森(オイノモリ)に棲む狼は森の守り神のような存在で描かれています。

 

『水仙月の四月』

「二疋の雪狼(ゆきおいの)が、べろべろ真っ赤な舌を吐きながら、象の頭のかたちをした、雪丘の上の方あるいていました」

冬を連れてやってくるモノとして描かれているが、正体は不明。賢治が創造したものだと言われている。

 

『茨海小学校』

「卓の上には地球儀がおいてありましたしうしろのガラス戸棚には鶏の骨格やそれからいろいろのわなの標本、剥製の狼や、さまざまの鉄砲

の上手に泥でこしらえた模型、猟師のかぶるみの帽子、鳥打帽から何から何まですべて狐の初等教育に必要なくらいのものはみんな備えつ

けられていました」

狐の学校に狼の剥製?何とも皮肉な設定です。現在東京大学に展示されているニホンオオカミの剥製は岩手県産と言われているが、賢治は

あの剥製を見たことがあるのだろうか?非常に興味深いです。

 

『楢ノ木大学の野宿』

「ただその時に、僕らが何かの都合のために、たとえばひどく疲れているとか、狼に追われているとか、あるいはひどく神経が興奮しているとか、

そんなような事情から、ふっとその引力を感じないというようなことはあるかもしれない」

ものの例えとして狼が引用されている。

 

『蜘蛛となめくじと狸』

「ある日、狸は自分の家で、例のとおりありがたいごきとうをしていますと、がお米を三升さげて来て、どうかお説教をねがいますと云いました」

この話ではなんと狼は狸に食べられてしまいます。ここでも狼は恐ろしい存在ではなく、犠牲者として描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                                     ←トップへもどる